Touch food VOL.5 さんま

旬の食材に触れるTouch food。第5回目は秋の風物詩のひとつ「さんま」。そのなかでも漁獲量全国1位の北海道のさんまを紹介します。

余すことなく楽しめる今が旬のさんま
秋の味覚の王様、さんま。一般的なさんまの食べ方としては塩焼きや煮つけが定番となっていますが、北海道から三陸沖で水揚げされるさんまは体が大きく、脂も乗っているため刺身として楽しむことができます。さらに水揚げされたさんまは、水揚げ後すぐに海水を用いた氷で冷やすなどして、全国へと出荷されていきます。鮮度を保つ技術と流通の発達によって、最近は食卓でも新鮮なさんまを刺身にして食べることができるのです。
さんまを使った加工品も多く、さんまの旬である7月~10月のものは余すことなく楽しむことができます。

さんまに含まれる良質な栄養素
さんまには血液をサラサラにする働きのあるEPAや、脳の発達を促すDHAなどが豊富に含まれています。さらには骨を丈夫にするビタミンDや、成長促進作用があるビタミンAなど、ビタミンも豊富。苦味が多い内臓部分には疲労回復効果のあるタウリンがたくさん含まれており、さんまは良質な栄養をたっぷり含んでいると言えます。ちなみに、さんまに付き物の大根おろしには、焼き魚の焦げ部分の発ガン物質を分解する酵素が含まれているので、さんまと合わせて食べると一石二鳥なんです。

さんまの特性を活かした漁法
さんま漁はロシア海域やオホーツク海に群れがいる7月中旬から始まりますが、ピークを迎えるのは9月~11月。北海道の根室から襟裳岬沖が主漁場となり、太平洋東沿岸を拠点とするさんま棒受け網漁の漁船が集まります。漁船は40トン以下の船が半数を占め、大型船としては120トン~130トンクラスのものが多く見られます。棒受け網漁の漁船は、集魚灯、誘導灯のランプと船体横の網を取り付けた長い棒が特徴です。
さんまの棒受け網漁は夜間に行われます。まず右舷の光で群れをおびき寄せ、魚が寄ってきたら右舷の光を消灯。網のある左舷の集魚灯を点灯すると、魚は船主を回って網に追い込まれるのです。夜間に行われる漁のため、夕刻に漁港を出て、沖の漁場に向かい翌日の明け方までの漁が中心ですが、漁獲の状況などによって日中も沖合で待機してそのまま漁を続ける場合もあります。魚が光に集まる習性を利用する棒受け網漁は、安定的な収穫と供給を果たす画期的な漁法です。魚群探知機やレーダーによる水温図データの活用、魚を網から吸い上げるフィッシュポンプなど機器の発展もあり、さんまの水揚げ量は大きく伸びました。

氷詰めされて新鮮なまま出荷されていくさんま
船に取り付けられたライトを利用して行われる棒受け網漁

 おいしいさんまの見分け方を教えてください!>>>内山敦史さん(ビック築地)

①目が澄んでいる
さんまだけではなく魚全般通して言えるのですが、まずは目が澄んでいること。鮮度が悪くなると魚の目ってどうしても色がボケてくるんです。だから目が透明であればあるほど鮮度が良いと言えます。
②体全体に光沢がある
 次に体全体に光沢があるもの。これも魚全般に言えることではありますね。魚の体を覆っている粘膜のようなものがあるんですけど、鮮度が落ちるとそれも同時になくなってしまって体が乾いていってしまうんですよね。だから光沢があるものは新鮮ですね。

③魚を縦に持った時にピンと立つ
これもよく言われることだとは思いますが、新鮮なさんまは身が固いので縦に持った時にピンと立ちます。これは死後硬直がまだ残っている状態ということなので、新鮮だと言うことができます。ただ、魚は死後硬直がなくなるとタンパク質や脂質を分解していくので、旨みがどんどん出ていくのです。
④うろこがついているもの
さんまってあまりうろこがついているイメージはないと思うのですが、さんまにもしっかりとうろこはあるんです。さんまは獲った時に暴れるのでうろこは取れやすいんですけど、やっぱり鮮度の良いさんまにはしかりとうろこがついています。
⑤下顎が黄色い
これも新鮮なさんまにはよく言われることですが新鮮なさんまは下顎が黄色くなっています。鮮度が落ちてくると茶色く変化してくるんです。新鮮なさんまの下顎が黄色いのは当然とも言えます。


取材協力:ビッグ築地、一般社団法人 全国漁業就業者確保育成センター
画像提供:北海道漁業協同組合連合会(ぎょれん)

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