旬の食材に触れるTouch food。第6回目は日本の伝統的な食材「米」。今回はブランド米として名高い、新潟県「魚沼コシヒカリ」を紹介します。
コシヒカリに適した“土壌”と“気候”
新潟県魚沼地域は、1000メートルを超す山々に囲まれた山間地で、全国有数の豪雪地帯。積雪量が3メートルを超すことも珍しくなく、その大量の雪はミネラルを豊富に含んだ雪解け水となり水田を潤します。気温が高くなる夏は、清冽な水が土壌の温度上昇を抑え、稲の根に活力を与えながら健やかな成長を促します。
また、昼夜の温度差が大きいという点においても、魚沼地域は米作りに最適。夜間の低気温によって米の旨味となるデンプンの消耗を抑えて、味の良いお米が出来上がるのです。さらに、登熟期間と呼ばれる、出穂から刈取りまでの期間の平均気温がコシヒカリの最適登熟気温と言われる24℃に近い地域であるため、味に関係するデンプンのアミロース含有率が低くなり、お米の粘りが増します。
信濃川や魚野川などの河岸段丘※1や、扇状地※2に広がる魚沼の水田は、他の地域の水田に比べ、水稲に必要な窒素供給力が小さく、やや痩せた土壌。しかし、稲が大きく倒伏しやすいコシヒカリには、過剰な生育を抑制してくれるちょうど良い土壌となっているのです。
常に作業が続く田植えから出荷まで
まず5月初旬に行わるのが田んぼの耕起作業。トラクターで田んぼの荒起こしをします。それが終了すると田んぼの代掻き作業。田んぼに水を張って、土を細かくし、トラクターで土を水平にします。この作業を怠ると、田植え後に雑草が生えたり、田んぼ全体に水が行き渡らなくなるなど、苗の生育に支障が出てくるため、大切な作業の一つです。
5月中旬には田植えを開始。この時、同時に肥料を散布します。田植え後、稲に穂が出る8月上旬頃まで水田の水管理に手が抜けません。水田の水が少なくなると、雑草が生えて苗全体に肥料の栄養素が行き渡らなくなるのです。5月下旬から9月上旬までは常に草刈りが続きます。さらにこの合間に、苗の肥料が切れてくるため肥料の散布作業なども行われます。
9月中旬、いよいよ稲刈りから出荷。稲刈り機で稲を刈り、米を乾燥、調整、袋詰めしていきます。袋詰めされた米は検査員により食味、水分、外観等を細かくチェックされて等級が判定された後、出荷されていくのです。
このように、田植えから収穫までの4カ月~5カ月間、丹念に育てられたコシヒカリがみなさんの食卓に届くのです。
生産者の声>>>石坂良夫さん・幸子さん夫妻
草刈り後の草を堆肥にして、田んぼに戻しています。また、収穫は1反歩(300坪)8.5俵を目標にして、良質米の収穫に専念しています。
魚沼コシヒカリを育てる中で一番苦労することは?
一番手間暇をかけているのは草刈りですね。毎月1週間くらい、1日2時間~3時間かけて草刈りをします。春夏秋と温度差の激しい中での草刈りはやはり体に負担がかかります。
魚沼コシヒカリの魅力は?
三山からの冷たい水と、昼夜の温度の寒暖差からできる魚沼コシヒカリは、ご飯が覚めても甘味、粘りが変わらないため、おにぎりなどにしても最高です。ぜひ「魚沼コシヒカリ」を食べてみてください。
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おすすめのお米保存方法は?
簡単な方法として、ペットボトルに入れてしっかりとキャップを閉めて野菜室で保存するのが一番良いと思います。お米は匂いを吸うので、野菜室にそのまま置いておくと野菜室の匂いを吸ってしまって炊いたときにその香りがしてしまうんです。だからキャップを閉めてしっかりと密閉してください。
魚沼コシヒカリの魅力は?
魚沼コシヒカリの魅力は?
取材協力:JA全農にいがた、河村屋米店、石坂良夫さん・幸子さん夫妻
一般社団法人 エコロジー・カフェは、絶滅の危機にある野生生物の保護や消滅の危機にある生態系の保全などを適して地域社会に寄与することを目的としています。
http://ecology-cafe.or.jp/