Touch food VOL.7 オリーブ

旬の食材に触れるTouch food。第7回目の食材は「オリーブ」。国内で圧倒的な収穫量シェアを誇る、香川県「小豆島オリーブ」を紹介します。

世界におけるオリーブの歴史
オリーブは地中海地方原産のモクセイ科の常緑樹で、温暖な気候、水はけのよい土壌とたっぷりの水を好みます。オリーブの歴史はとても古く、一説によると野生種の起源は約8000年前、栽培が始められたのは約6000年前で、人類が最初に栽培した植物の一つと言われています。原産地域である地中海沿岸には、今でも樹齢1000年以上のオリーブの樹がたくさん残っています。
オリーブの果実を搾って出来るオリーブオイルは、人類が手にした初めての食用・美容オイルと言われ、長きに渡り重宝されてきました。2010年11月には、オリーブを中心とした地中海沿岸の食文化が健康的な食生活であるということから、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

樹齢1000年のオリーブ大樹
2011年3月にスペイン・アンダルシア地方より1ヵ月間約1万kmの海路を経て小豆島へ運ばれてきました。今でも青々と芽吹き、その存在感は他を圧倒する力に満ち溢れ、この地を訪れる人々に元気と希望を与えています 。
加熱処理を加えていないエキストラヴァージンオリーブオイル

日本におけるオリーブの歴史
歴史資料によると、日本に初めてオリーブの果実・オイルが持ち込まれたのは、安土・桃山時代の1594年、ポルトガル人のキリスト教宣教師が、長崎県平戸に渡航した際に持ち込んだのが最初だと伝えられています。オリーブの果実はスペイン国王からの献上品だったようで、初めてオリーブの果実を食べた日本人は豊臣秀吉だったそうです。
江戸時代、鎖国政策によりオリーブと日本の関係性は薄くなっていきましたが、明治41年、当時の農商務省が※オイルサーディン用のオイルを国内で生産する為に、三重、香川(小豆島)、鹿児島の3県を指定し、アメリカから輸入したオリーブの苗木の栽培が始まりました。小豆島の気候・風土が地中海地方とよく似ていたこともあってか、3県の中で香川(小豆島)のみが栽培に成功、明治43年には果実を収穫し、その直後から搾油が始まりました。
大正3年頃になると、オリーブ栽培は小豆島全体に普及し、オリーブオイルの需要増と共に生産は年々大幅に拡大していきます。しかし、昭和34年、貿易自由化により安価な外国産オリーブオイルが大量輸入されるようになると、生産価格が下落、栽培面積は急速に減少します。その中でもオリーブへの情熱・愛情を絶やさなかった人々の想いや栽培への努力が、今の小豆島オリーブの礎となっているのです。
※イワシ等の小魚をオイル漬けにした保存食。

生産者の声>>>小豆島ヘルシーランド株式会社 取締役副社長・オリーブオイルソムリエ 柳生忠勝さん

オリーブオイルソムリエとは何ですか?
オリーブオイルの専門家として知っておくべきことのほぼすべてを網羅した人が持っている資格です。それとは別に、小豆島には「小豆島オリーブ検定(マイスター)」という検定もあります。
オリーブ栽培でこだわっている点は?
私達には「3つのこだわり」があります。1つ目は「生産者」です。どんなオリーブオイルにも生産する人の人柄が表れます。「お客様に喜んでいただくためにはどうしたらよいか」。私達はオリーブの栽培における土づくりや、商品の届け方まで細部にわたって試行錯誤を重ねています。

2つ目は「品質」です。弊社に在籍するオリーブオイルソムリエが、その年の降水量や温度・湿度によって微妙に風味が異なるオリーブオイルの評価を毎年判定しています。
3つ目は「品種」です。主に爽やかな香りが特徴の※ミッション種をはじめとした小豆島に植付く品種をオリーブオイルソムリエが厳選して、使用しています。この3つがこだわりでもあり、小豆島産オイルの魅力でもあります。
※アメリカ(カリフォルニア州)で発見された、スペイン系の品種。本文中にも記載していますが、明治41年、当時の農商務省がオイルサーディン用のオイルを国内で生産する際に、日本に導入され、苗木の栽培が始まりました。

取材協力:小豆島ヘルシーランド株式会社

YTJPは一般社団法人エコロジー・カフェと共に食育・環境問題に取り組む高校生を応援します。
一般社団法人 エコロジー・カフェは、絶滅の危機にある野生生物の保護や消滅の危機にある生態系の保全などを適して地域社会に寄与することを目的としています。
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