第29回目のSpotlightは吉備高原学園高等学校の「古武道部」です。古武道とは、1867年(慶応3年)以前に発祥した武術の総称。吉備高原学園高校では、地元岡山に発祥した「竹内流」という流派を学んでいます。全国的にも珍しい、古武道に打ち込む高校生を紹介します。
古武道・竹内流って?
天文元年(1532年)、一ノ瀬城主、竹内中務大輔久盛が創始。小具足と呼ばれる小刀を用いた体術、六尺棒(約180cm)を用いた棒術、刀を用いた「斉手」と呼ばれる剣術、武器を持たず行う「羽手」と呼ばれる柔術など、戦国時代に発祥した様々な技を伝承しています。岡山市北区建部町に相伝家道場があり、古武道部は「吉備高原学園高等学校支部」という形で活動しています。
―古武道部に入ったキッカケは?
高橋:4月に吉備中央町内で “さんさん祭り”というお祭りがあって古武道部が演武をしていたんですけど、それがすごくかっこよかったんです。そこで古武道部の存在を知って入部を決めました。
古南:私は本校古武道部のOBなのですが、当時他の学校にはない部活だと思い、興味を持って入部したことを覚えています。
―実際に入部してみてどうでしたか?
高橋:すごく礼儀を重んじる部活だと感じました。目上の人への礼儀とかをしっかりと学べていると思います。言葉遣いや、先輩に対する気遣いなどは、古武道部に入部して鍛えられていると感じます。
古南:同僚の教員からも、古武道部員たちが普段の生活で礼儀正しい言葉遣いや動きをしていると、“さすが古武道部だね”と言われることがあります。“あの子はTHE古武道部って感じだね”と、誉め言葉のように言われることもあって誇らしく思います。そうした部員たちの言動は私達顧問が指導することもありますが、どちらかというと歴代の先輩たちが身を以て後輩たちに教えてくれているので、すごく良い流れだと思いますね。
―古武道部の魅力は?
高橋:1600年代から伝わる古い武術なので、戦国時代の動きを実際に体得できるところが魅力だと思います。先人がどうやって相手を倒していたのかも学べるし、そこに想いを馳せて体を動かせることがすごく楽しいです。
古南:古武道は厳密に言うと“武道”ではなく“武術”なんですよね。剣道や柔道などは安全を考慮してスポーツ化された武道なんですけど、武術は戦国時代の思想を残している動きなので、相手の急所を突きに行く考え方が残っているんです。そういった武道と武術の違いに魅力を感じてくれた生徒が、古武道部に入ってくれたんだと思います。
―今後の目標は?
高橋:文武両道を頑張りたいと思います。進路は大学進学を目指しているので、大学に進学しても古武道を続けたいと思っています。
古南:私は部員を増やしたいですね。古武道は今の若い世代の趣味趣向からは対極にある活動だと思います。今の子はすぐに結果を求める子が多いんですけど、古武道は分かりやすい結果は出なくて。そんな中でも最後まで続ける子は“自分に勝つ”ということを糧にやっているんです。そういった他の部とは違うところをアピールしていきたいと思っています。
卒業した先輩方へ
2年間という短い間ですが、ご指導ありがとうございました。基本から丁寧に教えてくださったことは忘れません。古武道部として伝統と古武道部の自覚を守っていくので、これからもよろしくお願いします。
顧問の先生へ
いつも丁寧に教えてくださりありがとうございます。何も分からず古武道部に入った私にその奥深さと礼儀を教えていただき、今では自分の自信に繋がりました。これからもよろしくお願いします!