さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第1回目は、高校教師の中でも少人数のクラスを担う、桐生第一高等学校の仁井田先生に迫ります。
―お仕事の内容を教えてください。
私が受け持っているのは全日制の普通科ですが、他の学校と比べると少人数の特徴あるコースになっています。1クラスの人数が約20名、3学年で約60名のこぢんまりとした学舎です。校舎も本校とはちょっと離れた場所にあって、そこで担任を持ち、体育の授業を教えています。毎週木曜日には近所の山の登山や、カレー作りといった野外炊事などのイベントを行なっているので、そこには必ず引率として参加しています。
高校教師になられるまでの経緯を教えてください。
私は中学の時、高校に行く気がなかったんです(笑)。小学1年生の時から剣道をやっていたんですけど、中学校には剣道部がなくて帰宅部だったので、ろくな生徒に育たなくて(笑)。だから中学を出たら就職しようと思っていたんですけど、高校の剣道部の監督が“うちの学校に来い”と言ってくださったので、特待試験を受けて高校に行きました。大学に入学する時も剣道の世界チャンピオンの先生が“うちの学校に来い”と言ってくださって。その大学で教員免許を取ったんですけど、先生になろうとは全然思っていなかったんですよね。そんな時、大学の教育実習で母校の中学校に行ったんですけど、そこには中学生の時の私を知っている先生もいて。中学校では劣等生だったので、教育実習に来たことを先生たちに信じてもらえなかったんです(笑)。でもそこで中学の先生と打ち解けて面倒を見てもらって。そこからは教員もいいかなと思って、桐生第一高校の教員になりました。ここのコースには2018年度から来ましたね。教育相談の分野に興味があって、少人数で生徒との距離が近いところで教えてみたいという想いもあり、現在のコースに来ることができました。
―高校教師としてのやりがいを教えてください。
一般的には1年間が終わると“やり遂げた” という感じがあると思うんですけど、正直それはあまりなくて。1日1日のささやかなことにすごく感動するんです。ここの子たちには教師の姿勢がもろに伝わることは感じていますね。だから今は、毎朝教室の掃除もしています。生徒が過ごしやすい環境を整えることはこちらの仕事なんじゃないかなと思いますね。生徒が本当に行きたくなる学校を目指しているので、朝の掃除とか、そういった生徒のためにすることは全く苦にならないです。生徒以上のことをやってやろうと思っていますね。あとは本当に少人数のコースなので、教師同士、教師と生徒というように、常々いろいろな部分で十分なコミュニケーションを取りながら、みんなが過ごしやすい空間を模索して日々生活しています。
―高校教師としてのポリシーはありますか?
そんなにかっこいいものはないんですけど(笑)。教員になる時にこの学校を紹介してくれた当時の教育長が言っていた“生徒が自分の子供だったらどうするかを考えなさい”という言葉は自分のポリシーとしてあるかもしれないです。その言葉は未だに頭に残っていますね。
―高校生に伝えたいことは?
高校生のうちにたくさん失敗しなさということはいつも言っています。大人になってから失敗するよりかは、今失敗してたくさん叱られてたくさん反省すること。上手くいかない高校生活の方が将来役に立つんじゃないかなって思います。苦手なことから逃げたりするのではなくて、たくさん挑戦してたくさん失敗して欲しいです。その失敗に対しては先生方がいくらでも面倒を見てくれると思います。
お仕事言葉辞典>>>高校教師編
生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて、必要な基盤となる能力や態度を育て、それらを通してキャリア発達を促す教育。働くことや専門的知識・技術の習得の意義を理解させることが狙いとされている。
お仕事道具見せてください!
毎朝出席を取る際に使用。中には生徒の出席状況が記載されており、欠席はほとんどなく、クラス全員が揃う日が大半。先生と生徒との信頼の証の一つとなっています。
仁井田先生が教員を務める
桐生第一高等学校 普通科 文化教養コース
■桐生第一高等学校 普通科 文化教養コース https://www.kiriichi.ac.jp/admissions/course/bunkyo/