【インタビュー】Worker’s file VOL.2 映画監督 長久 允

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第2回目は、今月のCover Storyで紹介している映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』の監督を務める、映画監督の長久さんに迫ります。
Worker’s file VOL.1 映画監督 長久 允
―お仕事の内容を教えてください。

映画の原案を考える、映画を制作するためのお金を集める、脚本を書く、監督をする、仕上げる、宣伝方法を考えるという具合で、一つの作品ごとに、最初から最後まで責任を持って背負いこんで仕事をしています。今回の『ウィーアーリトルゾンビーズ』という映画の企画は、公園で音楽を聴きながらふと思いつきました。子供の頃に自分が考えてきたことや経験してきたことを投入して、脚本として仕上げたのが今回の作品ですね。そこからは自分が好きなスタッフやキャスト、クリエイターの皆さんにお声掛けをして、撮影準備を行いました。撮影や編集、“カラコレ”と言われる映像の色彩の補正作業、音の仕上げ作業では僕のイメージを具体化して、皆さんの力で僕の想像を超えた表現に定着させていきました。

―映画監督になられるまでの経緯を教えてください。

20歳の頃まではジャズに没頭していて、漠然とミュージシャンになりたいと思っていたのですが、ある日プロにはなれないと気づいて挫折してしまって。そんな時、大学の近くの映画館でたまたま観た映画から、“映画ってこんなに自由で面白いんだ”と感銘を受けて、映画監督を志すようになりました。20歳からは映画の専門学校に通ったのですが、卒業後は映画とは関係ない会社に就職したので、映画からは一度遠ざかったんです。その会社では、営業職や広告制作などをやっていたんですけど、やはり映画を撮りたいという想いがあって。3年前に仕事を休んで短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』を撮りました。この作品で海外の賞をいただいたこともあり、今回、初めてとなる長編映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』の制作へと繋がりました。

―今回の映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』を制作された経緯を教えてください。

とある10代の若者たちの自殺のニュースを目にして、10代の若者たちが絶望しないで済むための物語を作らなければという使命感が降ってきたんです。またその時に、エレクトロバンドの音楽を聴いていたこともあり、子供のポップチューンバンドのイメージが浮かんだので、そこから自分の人生での経験や考えてきたことを配合して、ストーリーにしました。“とにかく生きろ。そして、いつも心にユーモアとニヒリズムを”というメッセージを作品を通じて伝えていきたいと思っています。

―映画監督を目指している高校生が今からできることはありますか?

 音楽をたくさん聴いたり、漫画を読んだり、ライブに行ったりして、たくさん遊ぶこと。そして楽しい想像をたくさんすること。それを書き留めたり形にして、さらに人に伝えて評価を聞いて、客観性を持つことが大事だと思います。

―高校生にメッセージをお願いします。

たくさん遊んでください。つらい経験をしたとしても、その経験は自分にしかできない何かを生み出すための資料なんだと思うと楽になりますよ。

Worker’s file VOL.1 映画監督 長久 允

【パイロット版】ぱいろっとばん
一般公開に先行して、試験的に製作される映像作品のこと。映画をはじめ、テレビドラマ等の映像作品に対して使用される。主に製作関係者で視聴し、様々な意見を基に修正を加え、本編を製作する。



Worker’s file VOL.1 映画監督 長久 允

Worker’s file VOL.1 映画監督 長久 允
書き留めに便利なスマートフォン
アイデアの書き留めをするのは、スマートフォンのメモ機能。毎日、電車の中や歩きながら思ったことを、このスマートフォンのメモに書き留めているそうです。

長久さんが監督を務める映画
『ウィーアーリトルゾンビーズ』