さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第11 回目は、ドレッドをはじめとした“編み”が特徴の“ブレイディングヘア”を手がけるブレイダーの竹井さんに迫ります。
人と違うことをやってこそお金になる
ー仕事内容を教えてください。
私は“ブレイダー”という編み系専門の美容師になるのですが、今メインでやっているのは、ブレイディングヘア専門のサロンワークです。国内での専門的な美容室は本当に少ないので、お客様は北海道から沖縄まで全国各地からいらっしゃいます。あとはスクールでブレイダーの育成なども行っています。スクールは美容師学校のブレイダー版という感じで、現在も美容師をしている人から全くの初心者まで通えるようなスクールになっています。ブレイダーになるにはまず美容師免許が必要なのですが、それとは別に専門的にブレイズの勉強をしないとすごく難しくて。だからそういう人たち向けにブレイズの技術を学べるスクールを開いています。また、“ヘアブレイダーズ協会”という、ブレイダーに関する協会の理事長もしています。技術職ってどの業界も検定とかがあって、その人の技術を測る一定のラインがあると思うんですけど、ブレイダーにはそれがなかったので、ブレイダーのプロとしてお金をもらうための基準となる試験なども協会として作りました。
ー現在の仕事に至るまでの経緯を教えてください。
私がブレイズを始めたのは中学生の頃で、当時ヒップホップカルチャーとかが好きだったんですね。で、髪型にも興味を持って、見よう見まねで友達の髪を編んだりしていたのですが、これを仕事にするには美容師免許が必要だということに気づき、一般的な美容室で働きながら通信で美容師免許を取って、その後すぐに現在のお店を出しました。それは20 歳くらいの時だったんですけど、今思うと若いからこそあまり先のことも考えずにできたのかなと思います。当時はSNSとかもなかったので、アナログの口コミで“あのお店でブレイディングヘアができる”ということが広まり、徐々にお客様が増えていった感じです。あとこれも今思えばなのですが、普通の美容室ってお店の数が増えるとどうしても競争で減って行っちゃうので、ある程度特化したお店の方が結果的に残りやすいのかなとも思いますね。それに専門的な美容室だと価格競争に巻き込まれないというメリットもあると思っています。
ー専門的なお店だからこその魅力はありますか?
一般的な美容室と比べると、一人のお客様に時間をかけられるということがありますかね。ブレイディングヘアって短い人は1時間以内とかでも終わるんですけど、長い人だと1日がかりでやったりもするんです。だからその分お客様とコミュニケーションが取れるというのがあると思います。あとは作品として評価されやすいという点があります。今はSNSとかでもどんどん自分の作品をアップしていける時代で、ブレイディングヘアってアート性が高いものが多いので、見た人に“すごい”って思ってもらいやすいですかね。
ー今まで前例がないような新しいことに挑戦したい高校生にアドバイスをお願いします。
日本の教育って“みんな同じじゃないといけない”という風潮が強くて、自分が初めてやることに対してすごく恐怖心を感じる人が多いと思うんです。だけど人と違うことをやってこそお金になるんですよ。今までもそうだし、たぶんこれからもっとそういう社会になってくると思います。人と同じでいたら、そこの業界を複数人でシェアしないといけなくなっちゃうじゃないですか。逆に誰もやっていないことを考え付いたならそれは絶対に儲かることだと思うので、自信を持ってやりたいことをやってほしいなと思います。
お仕事言葉辞典>>>ブレイダー(美容師)編
【ブレイズ】 ぶれいず
編んだ髪のこと。“ブレイダー”という職業名にもなっており、髪を編んだ際のスタイル名でもある。また、“編む”を意味する名称としても使用されることもあり、ブレイダーの基本の言葉となる。
お仕事道具見せてください!
ブレイズの必需品エクステンション
編む専用のエクステンション。日本の企業・株式会社カネカで作られているこちらのエクステンション“カネカロン”はアフリカで約5割ものシェアを誇るそうです。
INFORMATION
竹井さんが経営されているお店
JUMBO
東京都荒川区西日暮里6-42-8 安藤ビル1F]
Instagram>>>mikajambo_braids
東京都出身。中学生の頃から独自でブレイディングヘアを学び、20歳の時にブレイディングヘア専門の美容室JAMBOを起ち上げる。現在はJAMBOの代表兼スタイリストをはじめ、ブレイディングヘアスクールの運営、一般社団法人日本ヘアブレイダーズ協会の理事長なども務めている。