さまざまな若者の声を届ける「Youth voice」。
今号の2人目は、自身が住む江戸川区役所のコールセンターにマスクホルダーを寄付し数々のメディアで取り上げられた湯野くんと石田くん。寄付するに至った想い、寄付先にコールセンターを選んだ理由などを聞きました。
東京都立工芸高校に通う高校3年生。工芸高校ではデザインの授業などを受けており、自身のデザイン技術を活かして、今回のマスクホルダー制作を実施。マスクホルダー寄付の発案後、小学校からの友人・石田翔梧くんを誘ってマスクホルダーを制作。
石田翔梧(写真右)
東京都内の私立学校に通う高校3年生。湯野拓也くんとは小学校からの友人。現在もお互いの学校の授業や課題について意見交換を行うなどの交流をしている中で、マスクホルダー制作の相談を受け、湯野拓也くんとともに一緒に制作・寄付する運びとなった。
大変な人たちに少しでも楽になってほしいなという想いがあった
マスクホルダーを寄付しようと思ったキッカケを教えてください。
湯野: 石田くんと、お互いの学校の課題や授業について話していて、その時にマスクが品薄になっているというニュースを見たんです。社会問題にもなっているし、それに対して自分はどれだけのことができるだろうっていう好奇心があって、石田くんに「こういうマスクホルダーがあったらどう?」と相談し、作ろうということになりました。最終的にはコールセンターの方にお渡しすることを目標にしていて。ニュースを見ていてコールセンターの方たちは専門知識があるわけじゃないのに、難しい電話にも対応していることを知り、自分たちが住む江戸川区役所のコールセンターに寄付しようという話になりました。
石田: コールセンターに寄付する前に、近所の保育園にも渡しに行きましたね。最初は不思議な目で見られたんですけど、後日保育園のブログにも「ありがとうございました」というメッセージが載っていたのでやって良かったなと思いました。
湯野: 僕たちは高校生でお金もないので、“身近にある素材”というのと、2人で加工するので“加工しやすさ・量産しやすさ”というのを考えた時に、素材はクリアファイルが最適だということになりました。
石田: だいたいのデザインは湯野くんが作ってくれて、そこからは2人で試行錯誤を重ねながら形にしていった感じです。自宅でもオンライン授業の合間とかに休憩も兼ねて作っていきました。
湯野: 最終的には保育園に15 個、江戸川区役所のコールセンターに30 個寄付できました。1つの完成品を作るのに30 個くらいは失敗した気がします……(笑)。
区役所にマスクホルダーを渡しに行った時はどんな状況だったのですか?
湯野: 最初は「この子たちどうしたのかな」みたいな感じだったよね。。
石田: うん。区役所の受付に行って事情を話したら、「総務課に連絡します」と言われて、総務課の方に渡してって感じでした。。
湯野: 直接コールセンターに行こうとしたんですけど住所がわからなかったので区役所に行って、総務課の方からコールセンターの方に渡していただいた形です。
その後区役所やコールセンターの方からどのような反応があったのですか?
湯野: まず僕が家にいたら、僕らの対応をしてくださった総務課の方が訪ねて来てくださって。それで「本当に大変な時だったのですごくありがたかったです」というお話をしてくださいました。あと江戸川区長さんから電話もいただきましたね。
石田: この件でいろいろな取材も受けさせていただいて、その中で区役所に行く機会があり、区長さんやコールセンターの方に直接お会いすることもできました。
湯野: コールセンターが大変なことは想像していたのですが、“1時間電話を切ってもらえない時もある”みたいな話も聞いて。想像していた以上の大変さがあったので、すごくびっくりしましたね。
今回のマスクホルダー寄付に込めた想いを教えてください。
石田: やっぱり困っている人、今回はコールセンターの方の救いに多少なりとなればいいなという想いを込めて作りました。
湯野: 僕はテレビを見ていて、今回のコロナで大変な想いをしている人、例えば医療従事者の方だったら、その方だけではなくてその家族の方もきっと大変な想いをしているだろうし、そういう人たちが少しでも救われればいいなというか。マスクを作るのにも、気力や時間がかかっちゃうし大変なので、適当な布とかキッチンペーパー1枚でマスクになれば楽だし、大変な人たちに少しでも楽になってほしいなという想いはありました。
最後にお二人の将来の夢を教えてください。
湯野: 僕は本当にデザインが好きで、ずっとデザインのことしか考えていないような人間なので、もっといろいろなことを勉強して、いろいろな人の考え方を自分の中で吸収して、日本だけじゃなくて世界で活躍できるデザイナーになりたいです。世界で一番になれるくらいのデザイナーになりたいと思っています。
石田: 僕は具体的な職業までは決まっていないんですけど、感動を作り出したり、人がより豊かになれるようなことをしていきたいなと思っています。