【大阪市立高校】新型コロナウイルスと“探究”の授業

全国の高校生のNEWSをお伝えする“全国高校生NEWS”。第17回目は、「総合的な探究の時間」の中で、新型コロナウイルスを発想のはじまりとし、探究を行った大阪市立高等学校を紹介します。

授業を通して伸ばす生徒それぞれの考える力

高校の“総合的な学習の時間”は、2019年度入学生から“総合的な探究の時間”(以下“探究”)に変更されました。それに伴い、各高校で独自の取り組みが始まっています。今年度、大阪市立高校の2学年では、探究の手法を段階的に学びながら、「探究のサイクルを回すこと」にチャレンジしています。2学年には8クラスがありますが、それぞれのクラスを1チーム4人程度の約10 チームに分け、学年80 チームがそれぞれの視点から探究を進めました。今回は、“新型コロナウイルス”を発想の始まりとしましたが、そこからさらに探究を深めていく方法はチームでさまざま。あるチームは“新型コロナウイルス”から発想を広げ、出てきた単語から「自分たちの課題」を決めたそう。その課題についてはそのまま調べるだけではなく、そこからさらに深堀りしていき、新たな疑問点が見つかれば、新しい課題設定に変えていくというような、生徒たちが主体的に課題を設定し、情報の収集や整理・分析を進める能力を高めることに重点を置きました。

これまで、大阪市立高校の2学年では「遭難をした場合、どうやって生き残るか」「歌で、どのような感情がゆさぶられるか」といった課題を設定し、“探究”の授業を行ってきました。担任の秋本先生は、「この生徒はこんな発想ができるのか、と普段の姿とは違う面を見ることができるのも“探究”の授業の面白いところです。」と話してくれました。自分たちで設定した課題を整理・分析して新たな発見をする探究の思考は、これからの激動の時代を生きていくために必要な「自分の価値観に従って、自分で考えて道を切り開く力」となるはずです。

生徒、先生の投票によって選ばれた2つのチームにインタビュー!

生徒投票 1位✨
課題設定:「なぜ人はゲテモノを食べるのか」

【大阪市立高校】新型コロナウイルスと“探究”の授業

―この課題に決めた理由は?

今井: 新型コロナウイルスは中国で食べられていたコウモリが原因だとする説もあることを聞き、なぜ中国ではコウモリをはじめとするゲテモノ料理を食べるのかというところに注目しました。

政田: 私たちの班では“新型コロナウイルス”から連想ゲームを行い、その中で出てきたのが今回の課題でした。発表後は先生方からも“なかなかない着眼点”という意見をいただくことができました。

―探究していく中で学んだことは?

松本: 僕は世界のいろいろなゲテモノ料理を調べて、動物の脳みそ類や、ねずみの赤ちゃんを生きたまま食べる国など、衝撃を受けるものがたくさんありました。

政田: 世界のいろいろなゲテモノ料理を見ていく中で、日本では当たり前に食べる生卵が、他の国から見るとゲテモノ料理だったということも、探究を通して知ることができました。

垣内: 最初のテーマである“新型コロナウイルス”とは少し離れたテーマのようにも見えますが、ゲテモノ料理に対する食文化の差別も起きているということがわかり、新型コロナウイルスに対する差別と共通する部分も見えてきました。

―探究で学んだことで今後の生活に活かせることは?

今井: 探究の授業を通じて、世界のさまざまな差別の根っこにある心理を目にしました。日常生活でもお互い文化が違う人たちが理解し合って、少しでも差別を減らせていけたらいいなと思うことができました。

先生投票1位✨
課題設定「インフルエンサーの行動で私たちは変わったのか」

【大阪市立高校】新型コロナウイルスと“探究”の授業

―この課題に決めた理由は?

原田: 新型コロナウイルスによる自粛期間中に、芸能人をはじめとしたさまざまなインフルエンサーが“ステイホーム”を趣旨とした動画などを発信しているのを見て、これによって私たちの行動は変わったのかが気になり、このテーマに決めました。

横山: 吉村府知事が“イソジンがコロナに効く”という旨の話をした直後から、イソジンが爆発的に売れるのを見て、発信力のすごさを感じたのもこのテーマに影響しています。

―探究していく中で学んだことは?

石下: SNSでインフルエンサーからの情報が発信されていた時には、SNSを使う10代の感染率が下がっていることがわかりました。また、実際に新型コロナウイルスに感染した有名人として、志村けんさん、伊野尾慧さん、数原龍友さん、大倉忠義さん、広瀬すずさん、横浜流星さん、白井悠介さん、トランプ大統領を挙げ、その人たちが感染したことによる影響なども調べましたが、こちらは特に感染者の推移などはありませんでした。

岡: あとはニューヨーク在住の日本人の方がコロナの状況について話している動画があるのですが、それが発端となり、世界各地から情報が発信されたことなどもわかりました。

―探究で学んだことで今後の生活に活かせることは?

原田: インフルエンサーの人たちも間違った情報を流してしまうことがあるということを、探究の授業を通じて再確認したので、受け取る側が情報の取捨選択をしっかりとするべきだと改めて実感することができました。

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大阪市立高等学校
大阪府枚方市にある公立高校。“高校生としてふさわしい「知・徳・体」のバランスの取れた人格形成に努めながら、より一層の学力向上に取り組み、生徒ひとりひとりの進路希望の実現につながる教育をめざす”を教育目標に掲げています。令和4年度より、大阪府立いちりつ高等学校に校名が変更予定です。




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