さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第26 回目は、東京都南青山に2つの店舗を構える美容室“OASIS”の美容師・渡部さん。美容室の激戦区とも言える地で、トップスタイリストにまで上り詰めた渡部さんに迫ります。
東京都出身。美容師の父親の影響もあり、高校生の時に美容師を志し専門学校に進学。卒業後は3つのサロンを経て、南青山にあるOASISでスタイリストに。その後、トップスタイリストとなり、現在はOASIS南青山店の店長を務める。
お客様のライフスタイルに携わり、そこに寄り添うことができるのが美容師
ー美容師を目指したきっかけを教えてください。
父親が美容師だったのでその影響もあるんですけど、ちょうど僕が進路を決める時が、カリスマ美容師ブーム真っ只中で。そんな中で父親がキラキラと輝いて仕事をしているのを見て、その姿に憧れたのもあり、美容師を目指そうと思いました。僕は小さい頃から父親が仕事をしている姿を見ていましたし、ちょうどその頃、木村拓哉さんが美容師を演じたドラマ『ビューティフルライフ』が放送されていて、等身大の美容師の姿が描かれていたので美容師が大変な仕事という認識はありました。でもあまり深く考えないお気楽人間だったので、美容の専門学校に進学した感じです。
ー専門学校卒業後はどのようにキャリアを積まれていったのですか?
3つのサロンを経て、今このOASISで働いているのですが、最初は某超有名サロンで、新卒でキャリアをスタートさせました。そのサロンでは “雑誌を出す時にはお客様が履いている靴を見て判断しろ”なんていうことも習って。僕は不器用だったので、シャンプーの試験も3ヶ月くらいかけてようやく受かりました。そこで3年くらい働いた時に、ストレスで心身ともに弱ってしまい退社という形をとって。その後半年くらいフリーター生活をしていたんですけど、やっぱりキラキラしている美容師に戻りたいと思っていた時に、知り合いの知り合いの方が新しく起ち上げるサロンに誘ってくださって、美容業界に戻りました。そこには6年在籍して、カットもできるようになりました。今度はそのサロンが閉店してしまったので、別のサロンで4年間働いて。そのサロンはオリジナルの技術を売りにしていたので、イチからその技術を覚えないといけなかったんです。でもそこで学んだものは自分の技術にもなっているし、自分の強みになっています。その後は、現在のOASISの別店舗に行って、そのお店が統合するということで、現在のお店で働くことになりました。
ー美容師として大切にしていることを教えてください。
僕が美容師の先輩方に言われたのは「髪を切るだけではなく、髪を切った後のことまで考えなさい」ということで。お客様のライフスタイルに携わり、そこに寄り添うことができるのが美容師だと思うので、携わった方の日常を豊かにしていくことができたり、お客様が少しでも幸せになれるようなお手伝いをするということを、常に考えて仕事をしています。
ー美容師としての今後の目標を教えてください。
美容業界って暗黙のルールというか、守らないといけないことが良くも悪くもたくさんあって。最近でこそ異業種とも交わるようになってきたと思うんですけど、他の業種と比べると閉鎖的な部分もあるんです。逆に言えばやり方が少し変わるだけで、美容師という職業がもっと広まっていく可能性があるということなので、そういった中で美容業界の常識やルールを良い意味で壊していけるような美容師になりたいと考えています。
ー美容師を目指す高校生が、今からできることはありますか?
髪型だけではなく、造形物や写真、自然に触れることって、今後のインスピレーションに繋がってくると思います。だからいろいろなものに触れて、感じることが大事なのかなと思いますね。今はネットからすぐに情報を拾えるような社会ではありますけど、やっぱり自分の目で見て感じることをしてほしいです。
お仕事言葉辞典>>>美容師編
【レイヤー】 れいやー
髪の長さを部分的にカットして段差をつけることを表す言葉。真横に髪を引き出した後、毛束の上部を短く、下部を長くカットするスタイル。レイヤーの中でもハイレイヤー、ローレイヤー、セイムレイヤーなどさまざまな種類が存在する。
お仕事道具見せてください!
美容師の必需品・シザーケースの中には、カットの種類によって使い分けるハサミが5本と、コームが2本。カットの際にはその中から主に3本のハサミを使用するそうです。