【インタビュー】Worker’s file 特殊メイクアップアーティスト Amazing JIRO「カテゴリーにとらわれずに、とにかく自分がやりたいことを伸ばしていってほしい」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第35 回は、特殊メイクアップアーティストのAmazing JIROさん。テレビCMや舞台など、皆さんが目にする特殊メイクを数多く手がけているAmazing JIROさんに迫ります。

Worker’s file 特殊メイクアップアーティスト Amazing JIRO「カテゴリーにとらわれずに、とにかく自分がやりたいことを伸ばしていってほしい」

Amazing JIRO
大阪府出身。フェイス&ボディペイント/特殊メイク&造形/映像/広告/イベント/ファッション等、幅広い分野にてデザイン&クリエイティブ制作、およびディレクションを担当。東京芸術大学卒業後、特殊メイクの道に入り、有限会社自由廊を設立。過去には「TVチャンピオン特殊メイク王選手権」で2連覇するなど、その技術は多方面から評価されている。現在では特殊メイク・造形制作にとどまらず、クリエイティブディレクターとしても多方面で活躍中。

特殊メイクは、オンリーワンを作り出せる

仕事内容を教えてください。

特殊メイクアップアーティストとして、特殊メイクや特殊造形、特殊衣装など、特殊な作り物の制作を行っています。テレビCMやテレビ番組、映画や舞台、コンサート、屋外広告などさまざまなジャンルにおける特殊な制作物が仕事になっており、特にテレビCMで見かける特殊メイクの多くは弊社で制作しています。

現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

僕は高校時代から美術系の道に進みたくて、卒業後は多摩美術大学で1年間ガラス工芸を学び、その後大学を受け直して東京藝術大学で金属工芸を学びました。しかし、素材に縛られて何かを作ることが自分には合わないと思い、どんな素材も扱えて、何でも作れる人になりたいと思った時に、たまたまテレビで特殊メイクの特集をやっていて興味を持ちました。その後、特殊メイク科がある学校に行き、2年生になった時には、美容室が主催するヘアーショーで特殊メイクをする機会をいただけて。僕ら学生はヘアーショーの特殊メイク=妖精などのファンタジーな世界だと思っていたのですが、美容室のオーナーから発表されたテーマが『ベトナム戦争』だったんです。想像していたこととは真逆でびっくりしたのですが、僕らはそのテーマに沿うよう、血が出ているようなメイクを施して。その時に美容室のオーナーに言われたのが、アインシュタインの言葉である「常識とは18 歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」ということだったんです。そこから僕は“こういう機会があればまたやりたい”と思い、美容室のオーナーに会いに行き、オーナーも僕を名指して呼んでくれていて、「これから一緒にやっていきましょう」と誘ってもらい、そのオーナーと共同代表で会社を起ち上げました。現在はその会社の代表を務めつつ、特殊メイクのスクールの代表や講師なども行い、プロから直接技術を学べる場所を作ったりもしています。

仕事をする中でやりがいを感じる瞬間を教えてください。

何もないところから新しいものを生み出す時ですかね。特殊メイクアップアーティストって、誰もイメージができないものや、誰も作り方がわからなかったものなど、オンリーワンを作り出せる仕事だと思うんです。今まで誰も見たことがないようなものを作り出せた時は、やりがいを感じますね。

特殊メイクアップアーティストという職業の魅力を教えてください。

作品を作る時には、基本的に全て想像から始まるという点です。完全に架空のキャラクターを作る場合は、そのキャラクター自体がどういう生活をしているのか、細かい部分でいうと何呼吸なのかとか、そういうことをしっかりと想像してから形にしていかないとリアルなものってできないんですよね。そういった想像を形にしていくというのが、この仕事の面白い点だと思います。

高校生にメッセージをお願いします。

カテゴライズされた世界の中から選ぶもので自分の人生を決めるのではなく、自分がやりたいことを追求することで自分らしい道にたどり着けるはずです。自分がやりたいことがわからないという人は、悩んでしまうかもしれませんが、今はどんどん多様化していく時代なので、本当に自分がやりたいと思うことを見つけて伸ばしていってください。それが将来仕事として繋がることがあるはずなので、カテゴリーにとらわれずに、とにかく自分がやりたいことを伸ばしていってほしいです。


お仕事言葉辞典 特殊メイクアップアーティスト編

【ブロッキング】 ぶろっきんぐ

特殊メイクの技術を使って人の顔などを制作する際、粘土などをブロックごとに配置し、ベースとなる形を作る作業。頬や額、鼻といった顔の部位はもちろん、筋肉や骨などを細分化してブロックごとに配置し、粘土を削ったり掘ったりしていくことで、徐々に形成していく。

お仕事道具見せてください!

Worker’s file 特殊メイクアップアーティスト Amazing JIRO「カテゴリーにとらわれずに、とにかく自分がやりたいことを伸ばしていってほしい」

特殊メイクに必要なツール
特殊メイクに欠かせない、数多くの道具。表面をならすためのハケや、毛穴などのテクスチャーをつける道具、粘土を掘ったり削ったりするための彫刻ツールが、20〜30本ほど一つの容器に収まっています。

INFORMATION

Instagram>>>amazing_jiro