熊本県教育委員会は、2023年4月、県立高森高校に『マンガ学科』を新設する。マンガ学科の設置に当たっては、2021年9月に県立高森高校、高森町、マンガの出版やアーティスト育成事業等を手掛ける株式会社コアミックスと「マンガを活用した高森高校の魅力向上に関する連携協定」を締結し、現在、4者で連携して準備を行っている。
■公立では全国初となる『マンガ学科』新設
第一線で活躍する民間企業と県立高校のタイアップというまたとない取組
マンガ学科では、コアミックスの助言によるプロ仕様の機材を使って、現役編集者や漫画家が授業を行います。また、都内・熊本県内の編集部とオンラインでつながり「地方にいながら都心と同じ」教育環境を提供します。
◇コミック市場の拡大
県立高森高校にマンガ学科の設置を決めた背景は、出版業界を取り巻く現状にある。『出版不況』と言われるなか、漫画の売れ行きを示すコミック市場は2018年から4年連続過去最高額を更新。スマートフォンなどで読む電子コミックが紙媒体を逆転し、市場を大きくけん引している。
※参考:『出版月報』2022年2月号 (出版科学研究所)
◇県立高森高校を地域振興拠点に
県立高森高校は、南阿蘇地域唯一の高校です。長年「地域になくてはならない学校」として、教育的な役割のみならず、文化・地域振興の中心的な役割を担ってきた。しかし、少子化の影響等により、10年以上定員割れが続いている。
そこで、熊本県教育委員会では、高森高校の魅力化の目玉としてマンガ学科の設置に踏み切った。学科設置に当たっては、協定に基づき、高森町はプロの漫画家が使用する漫画制作機材の提供や寮の整備、通学支援等の強力なバックアップを行い、(株)コアミックスは専門的知識・ノウハウで学科設置のサポートを行うほか、講師派遣や高校生への同社施設の開放等を行う。
マンガ学科の設置は、漫画家になる夢を叶えたい生徒へのチャレンジの場の提供、高森高校の魅力化・定員割れの解消(県教委・高校)、交流人口の増加による地方創生(高森町)、アーティストの育成(コアミックス)と、それぞれの思いがシンクロした取組であり、地方の高校の活性化や地方創生のモデルとなりうるものです。それぞれの組織がそれぞれの立場で熱い思いで取り組んでいる。
2022年7月27日、高森高校でマンガ学科のオープンスクール開催
高森高校では、2023年入学者向けの説明会を開催します。コアミックスの講師によるマンガ作画体験や、コアミックス第二本社の施設「アーティストビレッジ阿蘇096区」での創作風景等の見学を予定し、マンガ学科の魅力を肌で感じることができます。全国各地から多くの中学生やその保護者に来ていただき、高森高校を受験するきっかけにしてほしいと考えています。
なお、高森町では、オープンスクールの開催に合わせ、当日の町内での宿泊費の全額補助や、阿蘇くまもと空港・JR熊本駅からの無料送迎バスの運行に加え、全国からの参加者に高森町の自然や観光、くらしの魅力をPRするイベントを開催し、マンガ学科設置の機運上昇に町をあげて取り組みます。
◇高森高校オープンスクール参加フォーム
https://bit.ly/3mwT8L7
◇アーティストビレッジ阿蘇096区HP
https://aso096k.jp/