■調査背景
2022年4月に施行された、成人年齢引き下げに伴い、18歳から親の同意なく金融商品への投資が可能となりました。自分の判断で投資ができるようになる一方で、その責任が求められることになります。18歳以下の子供を持つ親は、子供が投資詐欺などのトラブルに巻き込まれる不安が多いという背景から今回の調査を行いました。
■トピックス
・成人年齢引き下げに対する賛否は、7.6ポイント差で賛成派が多い結果に。しかし男女間で意見が分かれ、賛成を選んだ男性は59.9%、女性は40.1%と、男性は賛成が多い一方で、女性は反対が多かった
・賛否それぞれの理由を整理してみると、賛成は「大人としての自覚ができる」84.0%、反対は「十分な判断力がない」61.0%という回答が最多となった
・「資金計画・管理」や「ライフプランニング」について、学ぶ機会が必要だと思うと回答した人が8割を超えた一方で、気軽に相談ができる先がないと回答した人が7割を超え、学ぶ機会が必要だと思いつつも、相談先がないことが明らかになった
・相談先として相談がしやすい・便利と感じるポイントトップ3は、相談料がかからないこと・長い付き合いができること・複数の金融機関のサービス情報を保有していること
■調査結果詳細
① 成人年齢引き下げの賛否は7.6ポイント差で賛成が反対を上回る。しかし男女で意見が分かれる結果に!
「民法改正により2022年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これに対しご意見をお聞かせください。」と質問したところ、賛成が53.8%、反対が46.2%と僅差で賛成が多い結果となりました。
ただ、男女で分けてみると賛成を選んだ男性は59.9%、女性は40.1%と、男性は賛成が多い一方で、女性は反対が多く、男女で意見が分かれる結果となりました。
・男性:賛成:59.9%(161人)・反対:38.1%(88人)
・女性:賛成:40.1%(108人)・反対:61.9%(143人)
② 賛成理由は、「大人としての自覚ができる」が最多
「(Q1で賛成と回答された方へ)どのような理由から賛成ですか?」という質問をしたところ、最多の回答が「大人としての自覚ができる」84%、次いで「経済的自立のため」33.8%という回答となりました。
また、賛成と回答したその他の理由で、「犯罪抑止になる」という回答もありました。今回の成人年齢引き下げを受けて、少年法が一部改正になり、起訴をされた場合の実名報道が解禁されたことから、このような回答がでてきたと考えます。
③ 反対理由は、「社会経験が不足している」と「十分な判断力がない」が約6割
「(Q1で反対と回答された方へ)どのような理由から反対ですか?」という質問をしたところ、最多の回答が「社会経験が不足している」61%、次いで「十分な判断力がない」59.3%という回答になりました。
④ 親権者の同意なく金融商品への投資が可能に!不安に感じることは「社会経験がなく、投資詐欺などに遭わないか」が最多
「成人年齢引き下げに伴い、18歳から親権者の同意なく金融商品への投資が可能となりました。それにあたり不安・心配に感じることはありますか?」と質問したところ、最多の回答が「社会経験がなく、投資詐欺などに遭わないか」60.8%、次いで「経済的に余力がない、経済的自立をしていないこと」57.6%という回答になりました。親の同意なく投資が出来ることに対し不安なことはないと回答した人が、5.4%に止まったことから、成人年齢引き下げに対しては賛成でも、何かしら不安はある人が多いことが分かります。
⑤「資金計画・管理」や「ライフプランニング」の教育ができる自信がないと答える親は、77.6%
「ご自身がお子様に資金計画・管理やライフプランニングの教育をできる自信があるか」という質問に対する回答は「いいえ」が77.6%となり、7割を超える人が教育をできる自信がないことが分かりました。
⑥ 一方で、学ぶ機会が必要と考える人は、85.2%
「資金計画・管理やライフプランニングについてご自身やお子様も含め、学ぶ機会は必要だと思うか」という質問をしたところ、「はい」が85.2%となり、学ぶ機会が必要だと考えている人が8割を超える結果となりました。
⑦ 学ぶ機会が必要だと考える人が8割を超えるも、相談先はない人が7割超
「資金計画・管理やライフプランニングについて、ご自身が気軽に相談できる・教えてもらえる先があるか」と質問したところ、「いいえ」と回答した人が76.2%と、気軽に相談ができる先がない人が7割を超えていることが分かりました。
また、気軽に相談できる先がある人とない人で、Q1の賛成・反対の回答に29.8%の差が開いており、相談先がないことによって不安があることから、反対と答えた方が多いと考えます。
・賛成、はい(相談先がある):76.5%(91人)・賛成、いいえ(相談先がない):46.7%(178人)
・反対、はい(相談先がある):23.5%(28人)・反対、いいえ(相談先がない):53.3%(203人)
(単一回答・全体回答者数500人・相談先あり回答者数119人・相談先なし回答者数381人)
⑧ 相談がしやすい・便利と感じるポイントトップ3は、相談料がかからないこと・長い付き合いができること・複数の金融機関のサービス情報を保有していること
「(Q7 で「いいえ」と回答した方へ)資金計画・管理やライフプランニングについて、どのような形で金融のプロに相談ができると便利・相談がしやすいと感じますか?」という質問をしたところ、最多の回答が「相談料がかからない(もしくは安価である)こと」で60.3%、次いで「ライフスタイルの変化に合わせて長い付き合いができること」42.5%、「複数の金融機関のサービス情報を保有しているコンサルタントがいること」24.4%の順となりました。
■まとめ
2022年度から高校の家庭科の授業に金融教育が導入されましたが、今までは学校で十分な金融教育が行われてこなかったり、社会人経験がなかったりと、正しい判断がしにくい中、成人年齢引き下げによって突然権利が与えられたことで、持て余してしまう方も少なくないと思います。
また今回の調査から、親御様自身も金融教育に対して自信がない・気軽にお金周りについて相談できる先がないと答える方が多く、成人年齢の引き下げに反対される親御様も少なくないことが分かりました。
今回の成人年齢の引き下げは、若者の自己決定権を尊重することで、積極的な社会参加を促すことを目的にしている施策です。金融について正しい情報提供をしてもらえる信頼できる相談先を見つけることで、本施策に対してもポジティブに受け止められる方が増えることを期待し、当社でも幅広い知見を活かした金融教育を行うことに尽力して参ります。
■調査概要
調査概要:「成人年齢18歳引き下げに伴う、資産運用に対する意識調査」
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年4月14日~同年4月15日
有効回答:18歳以下の子を持つ親(20代-50代の男女500名)
※データは小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
出典元:ブロードマインド調べ