全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第40回は、“対話”による校則見直しを進める、愛媛県立丹原高校の“ルールメイキングプロジェクト”です。
◆プロセスを学び、課題解決の即戦力に
昨今ニュースなどでも話題になることが多い、いわゆる“ブラック校則”。“前髪は眉毛より上でなければいけない”、“男子は髪の毛が耳にかかってはいけない”など、疑問視される校則やルールは、多くの学校で現在も存在しています。愛媛県にある丹原高校は、そんな校則に関する課題を解決するために“ルールメイキングプロジェクト”を起ち上げました。このプロジェクトには、有志の生徒が40 名ほど“ルールメイカー”として参加しており、生徒や先生だけではなく、学校のOBや地域の方を巻き込んで校則を見直す活動を行っています。
ルールメイカーが中心となり行われるこのプロジェクトですが、校則について意見ができる場を校内に設置するなど、全校生徒が気軽に参加できるための仕掛けも多数。それにより、生徒それぞれが校則に関する課題を“自分事化”することができます。ルールメイカーの一人、2年生の田中朝陽くんは「参加当初は、本当に自分たちで校則を変えられるのか疑問だったが、活動に参加することで“自分事”として考えることができた。他のみんなにも校則の見直しを“自分事化”してもらうことで、活動に勢いをつけていきたい」と話してくれました。
校則の見直しを進める“ルールメイキングプロジェクト”ですが、活動の中で大切にされていることは他にも。それは、生徒同士、生徒と先生、生徒と地域の方など、さまざまな“対話”を通して、課題解決までのプロセスを経験すること。プロジェクト担当の谷口大祐先生は「地域にあるさまざまな課題を解決していくにあたり、今の高校生たちは将来的に重要な年代になっていく。そのためにも、今ここでプロセスを学び、課題解決の即戦力となってほしい」と話してくれました。
そんな丹原高校は、愛媛県の県立学校振興計画により、他校との統合の可能性がある学校の一つ。もし統合されたとしても、丹原高校の校則を見直すというプロセスを経験することで、新しい学校のルールづくりに携わることができると考えているそうです。
校則などの身近なルールに関する課題解決に向け、“対話”によって皆の“納得解”を得るプロセスを構築することで、自らの成長につなげていく丹原高校の“ルールメイキングプロジェクト”。学校のため、学校の将来のため、自分の将来のために、活動は続いていきます。
校内に設置されたサマーツリー。ルールメイカー以外の生徒が、“見直したい校則”、“残したい校則”を付箋に書きツリーに貼ります。ルールメイカーはその付箋をもとにワークショップなどで話し合いを行い、プロジェクトを進行していくそうです。※写真撮影時のみマスクを外しています。
愛媛県西条市にある公立高校。“地域に近い 先生と近い 海外に近い”をキャッチフレーズに掲げており、「丹原高校をおもしろく!」を目的としたプロジェクト「tanomo」では、ルールメイキングプロジェクトをはじめ、竹林整理ボランティアや丹原七夕夜市の開催など地域に根ざした活動、グローバルGAPの取得やブドウの輸出など世界とつながるための活動など、多岐にわたった活動を展開しています。