【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作

全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第33回目は、大阪府にある建国高校。学校の強みを活かした外国人向け防災パンフレットの制作について紹介します。

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作
当日は、発表の様子を各クラスに同時中継。発表会には府会議員の方や、住吉区役所の防災担当の方なども出席されていました。

 

”困っている人のため”が自身の知識向上に

大阪府大阪市にある建国高校は、幼稚園から高校までが同じ学舎で過ごす私立校。そんな建国高校の大きな特徴の一つが、中学校から始まる“トリリンガル教育”です。“トリリンガル教育”とは、日本語・韓国語・英語の3ヶ国語を学ぶ教育のこと。建国高校には日本籍の生徒はもちろん、韓国籍の生徒が多く在籍しており、グローバルな学校としても有名です。そんな建国高校の強みを活かして作られたのが、外国人向けの防災パンフレットです。

3月某日、建国高校では、外国人向け防災パンフレットの制作発表会が行われました。防災パンフレットは、地震・津波・台風・火災の4つの分野に分かれ各1冊、さらにそれぞれが日本語・韓国語・英語・中国語の4ヶ国語に対応しているため、計16 種というバリエーションになります。

このパンフレット制作が企画されたのは、今から約2年前。建国高校がある大阪市住吉区には、4,500名程の外国人が住んでおり、そんな人たちに向けた防災パンフレットを作りたいという想いから、当時2年生の生徒会の生徒たちが、パンフレットの制作に取り掛かりました。

まず大事にしたのが、“日本人の中での常識”を取り払うこと。例えば、“避難時にはエレベーターを使用しない”などといった、災害に慣れている日本人としての常識を忘れ、災害に慣れていない外国人に向けた“イチからの常識”を伝えるようにしました。また、それぞれが担当する災害について調べていく中で生徒自身が初めて知ることも。地震のパンフレットを制作した李さんは「日本で過去に起きた大きな地震を調べていくうちに、地震そのものの被害だけではなく、地震が起きた後の津波や火災などの被害の大きさを知った」と話します。

最後に、起ち上げメンバーの中居さんは、今後のパンフレットの活用について「公共施設に置いておくだけだと意味がない。今後は自分達が制作したパンフレットを自分たちで配りに行ったり、住吉区に住む外国人の方に直接届けて、災害時に活用してほしい」と話します。自分たちの強みを活かし、日本で不自由をする外国人のために制作したパンフレットは、外国人だけではなく、制作した自分たち自身の気づきにも繋がり、ここで得た知識もまた、今後多くの人を救うことになるのです。

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作
パンフレットの内容は4ヶ国語に対応。翻訳は大きな壁の一つだったそうです。

 

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作
パンフレットには、災害時によく使う言葉が各言語に翻訳されている項目も。

 

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作
今回話を聞いた4名。写真左から:中居さん、岸本さん、小林さん、李さん。

 

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作

【建国高等学校(大阪府)】外国人向け防災パンフレットの制作
災害時避難場所にもなっている建国高校。発表会前に行われた避難訓練では、学校に外国人が避難してきたことを想定し、多言語を話せる高校生が4ヶ国語に対応して受付や誘導などの練習を行いました。

 

建国高等学校(大阪府)
大阪府大阪市にある私立高校。韓国籍の生徒も多く在籍し、授業では日本語・韓国語・中国語・英語の4つの言語を学習できる環境が整っています。日本の国公私立大学はもちろん、海外への進学も視野に入れた「特別進学コース」、重点的な語学学習で海外の大学進学を第一目標とする「総合コース」の2コースを設定。豊富な選択授業も整え、生徒たちが望む未来へ飛び立つ力を育んでいます。