さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第53 回は、千葉県茂原市にある株式会社さくら印刷の専務取締役、鎌田貴雅さん。印刷業だけにとどまらず、地域に根ざした事業を幅広く展開する鎌田さんに迫ります。
千葉県出身。大学では建築を学び、卒業後は営業職を経て地元である千葉県茂原市に戻る。その後、家業である印刷会社“株式会社さくら印刷”に入社し、高校生向けの就職応援メディアの制作や、IT人材の育成を行う“デジタルハリウッドSTUDIO千葉”の設立など、地域活性化に向けた事業を幅広く行っている。
街づくりは人づくり。ITに強い人材を地域で育成していきたい
仕事内容を教えてください。
印刷会社なので、パンフレットや名刺、封筒、伝票などの印刷を全般的に請け負っています。また自社で出版物を制作することもあり、千葉県内の高校に配る、地元の企業の情報をまとめた就職応援メディアなどを発行しています。あとは、Webや動画クリエイターを育成するスクールの運営も行っています。
スクールを作られたきっかけを教えてください。
“地域の活性化をしたい”と思ったのがキッカケです。僕は一度東京に出てから地元に戻ってきたのですが、その時に“若者が少ないし元気がないな”と感じ、若い人たちに地元に残ってもらいたいという想いから、まずは地元企業を紹介する雑誌を作って高校に配り始めました。また、当時は弊社の採用があまり機能していなかったので、自社のホームページを作って求人をするようにして。それをキッカケに求人への応募が増えてきたので、そういったノウハウを地元の中小企業に伝え、採用支援を始めることにしたんです。そこで出てきた壁が人材不足ということです。採用支援などの事業には、ホームページや動画の制作が必要だったのですが、それをできる人がいない。さらに、この地域内で募集してもなかなか人がいなかったんです。それなら人材を育てようと思い、千葉市にスクールを作ることにしました。そこで技術を身につけてもらって、卒業後はそれを活かして仕事をしてもらおうということですね。僕は、街づくりは人づくりだと思っているので、ITに強い人材を地域で育成していきたいと思い、スクールを作りました。
現在の仕事に就かれるまでの経緯を教えてください。
建築に興味があり大学では建築学科に入っていたのですが、最後の一年間をほとんど研究室で過ごし、納得いくまでやれたので満足感があったんです。だから建築の道ではなく、営業職をやってみようと思い、卒業後は保険会社の営業職に就いたのですが、すぐに飽きてしまって。当時は将来のことも考えていなくてお金もなかったので、地元に戻ってきました。そこからはアルバイトとして家業の仕事を始め、ある程度仕事の中身がわかってきたところで、自社出版物の制作や、web制作の事業を立ち上げ、スクールを作りという形で進んでいった感じですね。
鎌田さんが思う、さくら印刷の強みを教えてください。
仕事をする中でのやりがいを教えてください。
正直、やりがいというよりかは使命感でここまで動いてきた感じなんです(笑)。70年守られてきたこの会社を残さないといけない、従業員を守っていかないといけないという使命感。でも、新しい事業を立ち上げて、それが実際に形になった時にはやりがいを感じますね。まぁ、99%くらいは大変なことの方が占めますが(笑)。
高校生にメッセージをお願いします。
僕は学生時代、“自分って何だろう”と考えることがよくあって、自分探しをしていました。だけど、そんなものを探しても見つからないなと大人になってわかりました(笑)。だから自分探しをするよりかは、まずは何でもいいから興味を持ったものにチャレンジしてみる。一生懸命いろいろなことに取り組むことによって見えてくるものってあると思うので、やりたいことがあるなら、まずは挑戦してみてほしいです。
お仕事言葉辞典 印刷会社編
【クレド】 くれど
“信条”を意味するラテン語“Credo”が由来となる言葉で、企業理念をより具体的なものにした信条や行動指針のこと。さくら印刷では、社会的な使命『ミッション』、企業の将来像『ビジョン』、企業としての価値『バリュー』を定め、それらをまとめてカードにしたものを“クレド”と呼んでいる。
お仕事道具見せてください!
メモ用のファイル・ペン
IT人材の育成を行う鎌田さんですが、メモをする際はアナログ派。アイデアを書き留める時や、打ち合わせのメモなどには、A4のコピー用紙をファイルに挟んだものを使用するそうです。
INFORMATION
鎌田さんが専務取締役を務める会社
公式HP:https://sakura-insatsu.co.jp
鎌田さんTwitter:@bagabondo34