全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第36回は、自身が育てた花の販売を行う、栃木県立栃木農業高校の“模擬会社フローラTOCHINOU”です。
◆花を通して経営を学び、地域と繋がる
『高校生が自ら育てた花を販売する』。この一連の流れを模擬会社として行い、経営を学ぶことができるのが、栃木県立栃木農業高校の“模擬会社フローラTOCHINOU”です。 彼女たちの主な活動は“花の栽培・販売”。毎年11 月に開催される文化祭“栃農祭”での販売会をはじめ、季節ごとの花々の販売も定期的に行っています。取材を実施した5月下旬に行われていたのは、春夏用花壇苗の販売。マリーゴールド、サルビア、ニチニチソウ、ベゴニア、メランポジウム、ジニアなどといった花の苗が用意されていました。
季節の花々の販売は対面ではなく、学校のホームページを通して注文してもらい、後日学校に取りに来てもらうという方法。というのも、取材時点での予約・販売数は9,600ポットにのぼり、大口の注文だと800程の苗を一気に購入する方もいるため、 “フローラTOCHINOU”の活動に参加する9名の生徒で一気に対応することが難しく、注文という形を取っているそうです。購入者には、学校の近くに住む個人の方はもちろん、地元の小学校や中学校、ゴルフ場など、施設内で植える花を大量に購入する企業・団体も多数。購入者が花を学校へ受け取りに来る際の対応は生徒たちで行います。“フローラTOCHINOU”メンバーの髙田さんは、「購入していただく方には、生産者である私たちを直接見てもらえるため、安心感を持ってもらえる」と話してくれました。その言葉の通り、購入者はリピーターがほとんどのようで、この日花を受け取りに来た地元の中学校の先生は「花が長続きして枯れないんだよ」と、笑顔で生徒に話しかけていました。 また、“フローラTOCHINOU”の大きな特徴の一つが、全ての工程に生徒が関わることで、受注から販売までの一連の流れを学ぶことができるという点。“フローラTOCHINOU”メンバーの島田さんは、「栃農祭で実際に対面で販売する際には、どのように並べたら買いたいと思ってもらえるかなど、経営の重要性を学ぶことができた」と語り、続けて「ここで学んだ知識を、実家の農家の経営に生かしていきたい」と話してくれました。高校生が授業などを通して丹念に育てた花々は、地域の人々の手に渡り大切に育てられ、さらに高校生たちはここで得た知識を今後の人生の糧にすることができるのです。
栃木県栃木市にある農業高校。植物科学科・動物科学科・食品科学科・環境デザイン科の4つの学科を設置する、栃木県内唯一の農業単科高校です。令和3年度からは『栃農INNOVATION 〜ユネスコスクールで探求×SDGsの実践〜』をスローガンに、社会活性化の担い手として活躍する生徒、世界を見つめグローバル化の中で羽ばたける生徒の育成に力を入れています。