全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第46回は、学校の屋上でミツバチを育て、採蜜、ハチミツの販売までを行う正則学園高校の“SGBees!!”です。
◆学校の立地を活かした都心の養蜂場
広告や街中など、さまざまな場所で目にするようになった言葉“SDGs”。探究の授業などで取り組む学校も増え、SDGsをテーマにしたコンテストなども多くありますが、東京都千代田区にある私立男子校・正則学園高校では一風変わった“SGBees!!”という活動に取り組んでいます。この“SGBees!!”とは、別名“みつばちクラブ”のこと。正則学園高校では、2年前から学校の屋上にてミツバチを飼育しており、採蜜、商品にする際の瓶詰め、ハチミツの販売等を、68 名の有志の生徒と複数の先生で行っています。
学校で養蜂が始められたのは、現在のみつばちクラブ担当である小嶋徹議先生の提案がきっかけ。当時既に養蜂に取り組んでいた都内の私立校・安田学園高校から女王蜂を譲ってもらい、みつばちクラブはスタートしました。さらに譲り受けた女王蜂から新たな女王蜂が生まれ、正則学園高校生まれの女王蜂が誕生。ミツバチの越冬を経て、今年度の5月から採蜜が始まりました。
ハチミツが採れるようになると、近所で行われるマルシェや文化祭にて販売も実施。5月に収穫したもの、6月に収穫したものの2種、計60 個ほどを売り上げました。そもそもハチミツとは、ミツバチが集めてきた草花の蜜が巣の中で加工・貯蔵されたもの。ミツバチが集める蜜の種類によって味が変わるため、時期や養蜂する場所が味を左右します。正則学園高校は都心に位置し一見自然はあまりないようにも思えますが、学校から2km 圏内の距離には皇居もあり、ミツバチたちは豊かな都心の自然から蜜を集めてくるため、桜が咲き乱れる4月には、香り高い桜の風味がするハチミツが採蜜できるのだとか。また、5月と6月のハチミツの味を比べた際にも全く味が違うため、食べ比べセットという形で販売をし、味の違いを楽しんでもらったそうです。
みつばちクラブに参加している瀬田くん・早田くん・進士くんの3名は「採れたハチミツを自宅に持ち帰り、家族が食べた際、市販のものより味がしっかりしていて美味しいと言われた」と話します。また、マルシェで商品を手に取った養蜂家の方は、その美味しさに商品をリピート購入するほどだったとか。生徒・先生の手によって丁寧に育てられたミツバチは、都心の豊かな自然の蜜を集め、濃厚なハチミツを生み出しています。
東京都千代田区にある私立の男子校。運動系14、文科系14の部・同好会があり、自由参加にもかかわらず全校生徒の約75%が参加するなど、部活動が盛んな学校としても知られています。生徒一人ひとりの個性を大切に考える正則学園高校では、みつばちクラブをはじめ、花いけ男子部やe-sports部など、多種多様な部・同好会が設けられ、授業の中だけでは得られない貴重な体験ができる場となっています。