全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第48回は、自分たちの強みを活かし、数多くの地域貢献活動を行っている和歌山県立那賀高校の放送部です。
◆部活で得た経験が、自身のため、そして地域のために
学校行事の司会や校内放送のアナウンス、映像制作など、“放送”にまつわる活動を幅広く行う放送部。そんな放送部ならではの“強み”を地域のために役立てているのが、和歌山県立那賀高校の放送部です。
那賀高校の放送部は現在、学校の目の前に位置する岩出警察署、そして地元のJR・和歌山線と連携し、広報活動を進めています。同放送部は、大会に出品するドキュメンタリー番組の制作で地域の文化や歴史、伝統産業を取材する機会が多かったそう。しかし、コンテストへの出品が完了するとともに、取材を通してできた繋がりが途切れてしまうことにもったいなさを感じていました。そこで、自分達でSNSやホームページを立ち上げ活動を発信。すると、その情報を見かけたJR和歌山線から“PRの動画を一緒に作ってほしい”と声がかかりました。和歌山線は、地元の方達に欠かせない交通手段であるとともに、那賀高校の生徒も利用している線。自分・そして身近な人々の生活に欠かせない路線を存続させるために、那賀高校の放送部はPRを目的としたCM制作をはじめ、車内や駅のホームでのアナウンスを担当するなどして連携を果たしました。
その後、和歌山線との活動を目にして声をかけてくれたのが、岩出警察署。コロナ禍ということもあり、交通安全にまつわる広報活動が思うようにできていないという地元警察署からの“一緒に広報活動をしてくれないか”という依頼でした。それをきっかけに放送部は、岩出警察署の高校生広報員“フローリアサポーター”として活動を開始することになります。交通安全の大切さを伝えるためのポスター制作や動画制作をはじめ、小学校での交通安全教室の開催、岩出警察署の方とのラジオ出演、さらには地元のスーパーの店頭に立ち、110番の正しい使い方を伝えるためのアナウンス活動などを担当。フローリアサポーターのメンバーには、広報活動に貢献したとして、岩出警察署から感謝状が贈られました。
部員の神德さんは、「放送部の活動を通じて身に付けたアナウンスや動画制作の技術などが、こんな形で人助けになるのだと、活動をしていく中で学ぶことができた」と話します。また、部長の武田くんは「先輩方が守ってくれた伝統的な活動は残しつつ、新しく地域のためになる活動もしていきたい」と語ってくれました。
地域に根ざした部活動として、日頃の活動を通じて培った経験を存分に地元のために活用している那賀高校放送部。彼らの地域に対しての前向きな気持ちは、自身の経験の幅を広げるとともに、地域の未来を拡げていきます。
和歌山県岩出市にある公立の高校。普通科・国際科の2つの学科を有し、クラブ活動では多くの部活動が全国大会・近畿大会に出場。また、スクール・ポリシーに“地元和歌山に誇りを持ち、将来地域社会のリーダーとして貢献しようとする意志のある生徒”という一文がある通り、地域に根ざした学校として、貢献活動にも取り組んでいます。