新型コロナウイルスも一旦の落ち着きを見せ、お花見など季節のイベントも楽しめるようになってまいりました。私の住んでいる地域では桜まつりが開催され、多くの屋台も出店し賑わっていました。そこでイカ焼きを買ったときにお店の方に現金を渡したのですが、ふと、久しぶりに現金を触ったことを思い出しました。最近ではキャッシュレス決済が一般化し、現金を触る機会が減っていますね。昔からお金は“社会の血液”と言われ、次から次へと無数の人の手に渡っていきます。この“お金は社会の血液”と言われる所以について少し考えてみましょう。
血液は人体を循環し、体の隅々に酸素や栄養素を届ける役割を持ちます。一方でお金も社会全体を循環します。
みなさんが持っているお金を使ってコンビニでジュースを買えば、ジュースの代金がコンビニの運営会社に渡ります。運営会社はそのお金を使って従業員の給与に充てたり、国に納税をします。
このように、基本的にお金は一つのところにとどまらず常に社会を循環しているのです。
コロナ禍において「経済を回す」という言葉がよく使われましたが、これはまさにお金が社会を循環している状態を指します。
多くの人々がお金を使い活発な消費活動が行われることによって、その消費活動の裏に生産活動が発生し、より多くの仕事を生み出すのです。
コロナ禍においては、外出自粛により人々は必要最低限の消費活動しか行わず、また生産活動にも制限がかかりお金の循環が滞ってしまいました。人体でも血行が悪くなると健康を維持できなくなるのと同じですね。
お金には「尺度・交換・保存」3つの価値があると言われています。
突然ですが、質問です。みなさんがケーキを作って売るとしましょう。ケーキを一つ作るために300円の材料が必要だとします。みなさんはこのケーキをいくらで売りますか?
私なら、材料費300円に加え、誰かに手伝ってもらうのであればその人の給料、さらには自分が働いた分の利益を上乗せした価格で販売するでしょう。おそらくこのコラムを読んでいる大半の方はそう思うのではないでしょうか。このように人の手が加わることにより材料を超えた価値を生み出すのです。これを付加価値と言います。世の中の人全員がこの付加価値が付くように値付けをすれば、少しずつ物の値段が上がっていきます。これを経済成長と呼び、正常に血液循環が行われている証拠になります。
今回は社会の血液としてのお金と、循環から生み出される経済成長についてお話しさせていただきました。経済成長にインフレやデフレといった景気の波も影響します。今がインフレなのかデフレなのか、ぜひニュースをチェックしてみてください。