声優・俳優・歌手、ドラマやバラエティ番組など、様々なフィールドで活躍し、今年アーティストデビュー15周年を迎える宮野真守さん。8月23日にデジタルシングル『Sing a song together』をリリース。9月からは4年振りに声援有りとなるライブツアー『MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023〜SINGING!〜』を開催します。そんな宮野さんに新曲への想い、様々な活動を通して経験したことなどを聞きました。
声優・俳優・歌手として様々なフィールドで活躍。2001年に海外ドラマ『私はケイトリン』の吹き替えで声優デビュー以降、『DEATH NOTE』、『機動戦士ガンダム00』などで注目を集め、数々の話題作で主演を務める。俳優としては、劇団☆新感線いのうえ歌舞伎『神州無頼街』にて主演・草臥を務め、最近ではNHK連続テレビ小説『らんまん』にて早川逸馬役で出演するなどテレビドラマの出演も増加。2008年にはキングレコードからシングル『Discovery』 で歌手デビュー。声優、俳優の現場で培った豊かな表現力を活かした楽曲でファンを魅了している。
—8月23 日にリリースされたデジタルシングル『Sing a song together』は、どんな楽曲になっていますか?
3年前に未知のウイルスで世の中が変わり、世界中でたくさんの方が大変な思いをし、エンタメ業界も活動を制限された部分がありました。そんな中でも、エンタメに関わる多くの方がファンの方と繋がる手段を考え、みんなの求める声に応えたいとここまでやってきて。今も新型コロナがなくなったわけではないけれど、みんなが手段を見つけて、僕自身も昨年やっと有観客で無声援のライブをやることができ、ついに今年声を出せるライブができるまでになりました。まだ手放しに喜べる状況ではありませんが、ここまで頑張ってきたことを分かち合い、讃えあいたい。そして、エンタメをこれからもやっていく以上、エンタメを楽しむということを僕から伝えたいと思い、希望を込めて新曲の作詞をしました。また、みんなと一緒に歌って、想いを共有することを大事にしたかったので、『Sing a song together』というタイトルにしました。
—9月から4年ぶりに声出しありのライブツアーが開催されますが、心境を教えてください。
コロナ禍に入って初めて有観客でライブをした時、ファンのみんなが目の前にいるのに声が聴けず不思議な感じがしました。芸術やエンタメはピンチの時にこそ新たな楽しみ方を見つけられると思うんですね。当時もその時できる状況下で最大限に楽しんでもらえるものを目指していて。ただ、ステージに立つ僕から声は届けられるけれど、ファンのみんなも声を出したいだろうなという気持ちは伝わってきたし、僕自身もみんなの声が聴きたいと思いました。そしてみんなで頑張ってきた結果が、今回の声援可能のライブに繋がっているのなら素敵なことだし、その時間を最大限に楽しんだほうが絶対幸せな空間になると感じています。まさに『Sing a song together』したいですし、ツアータイトルも『SINGING!』にしたので、ライブで声を出せること自体を喜び合いたいです!
—アーティスト活動を始めたきっかけを教えてください。
25 歳の時に「アーティスト活動をしてみませんか?」と声をかけていただき、自分で曲は書けないけれど、何かできることはあるのではないかと思い挑戦しました。当時、プロデューサーからは「楽曲から受けた色やにおい、景色なんでもいいから言ってほしい」と言われて。楽曲から感じる色合いや想い、曲を通して僕が伝えたい気持ちを共有して曲を作りました。それでも、音楽をやる以上は作詞をしてみたいという思いを抱えていましたね(笑)。
ご自身で作詞をやってみようと思ったきっかけを教えてください。
今回の『Sing a song together』を一緒に作ったJin Nakamuraさんの楽曲がきっかけです。もともとJinさんの楽曲が大好きで、他のアーティストさんに提供されている曲も聴いていて。大好きなJinさんの楽曲で、大好きなバラードが歌えるとなったときに自分から勝手に作詞をしていました。それが4th Singleの『REFRAIN』です。その時は衝動だったのですが、「こういうのが書きたい」、「こういうのが歌いたい」、「あぁ、こういうふうに言葉が出てくるもんなんだな」というのを味わった時に、自分もアーティストとしての一歩を踏み出せた気がしましたね。それから15年、経験値や知識量が増えていく中、僕にとって切り離せないのがアニメーション作品の存在。僕が出演する作品やそのタイアップ曲での作詞が多く、作詞においていつも作品に助けられている部分が多いです。自分では紡げなかった言葉もキャラクターや物語の思いを頂きながら作詞できるのはとても特殊な活動の仕方かなって思います。そういうことを続けていたら、言葉のレパートリーがいつのまにか増えていたり、今の素直な気持ちを歌詞にしてみようと作品と関係ないところでもできるようになっていました。
—高校時代の宮野さんはどんな学生でしたか?
1年生の頃から目立ってやろうと思っていました。文化祭や体育祭で先輩たちの楽しそうな姿を見ていて、実際に自分で行動したのは3年生を送る会。有志でステージ上で出し物ができると聞き、サッカー部でコントをやりました(笑)。そこから味をしめて、2、3年ではバンドをやったり、ダンスをやったり。とにかく目立つキャラでしたね。
—幼少期から芸能活動を行う中で将来への不安はなかったのですか?
めちゃくちゃありました。ただ僕の場合、本当に運が良くて。声優の仕事にたどりつけたことは感謝しかないんだけれど、もしかしたら、どこかで何かきっかけや繋がりがあったのかもしれないなって思います。高校に進学する際も、先を見据えないと学校も決められないじゃないですか。僕は、芸能活動をやるって考えていたから、活動やレッスンに通いやすいという理由で高校を選びました。高校って、1年生の時から進路のことが常に周りにあるわけです。“自分は進学しない”って思っていたけれど、周りを見た時に自分には技術や経験が足りないと思って、所属事務所の歌やダンスのレッスンに行き始めました。今になってみると、自分で足りないと思った時に勇気を出して一歩踏み出す、アクションを起こしたことがいかに大事だったか。足りないながらもアクションを起こしたことが、きっと今に繋がっていると思います。高校生の皆さんには、今自分が少しでも抱えている“好き”とか“夢”、“希望”に対してちょっとでもアクションを起こしてみてほしいです。それは、理想通りの結果とはいかなくても、将来に良い影響を与えていて、これから先に繋がってくるから。僕自身、高校時代に仕事はあまりなかったけど、目立ちたいから学校の行事では色んなことをやろうというモチベーションに変わっていたし、それがレッスンをしようという衝動に変化していきました。これまでやってきたことが今のアーティスト活動に響いています。ありがちだけど、無駄なことなんてないと思います。
—行動を起こせずに悩んでいる高校生にメッセージをお願いします。
勇気が出ない、踏み出せないと思っている人がいるなら、“僕”を理由に使ってほしいです。「宮野が言ってたしな」それくらいでいいんです、きっかけなんて(笑)。アドバイスって言われた時は意外とわからないけれど、あるときに「ハッ」とするんですよね。僕もたくさんの先輩にアドバイスをもらい、その言葉に背中を押されて挑戦してきました。挑戦して何を見つけるかは自分次第で、きっかけがまず大事なんです。僕自身全部うまくいったわけではないけれど、今に繋がっていると思えた瞬間があったと胸を張って言えます。やってみることは大事だよ、怖くても。ぜひ、一歩を踏み出してほしいです。
—これまでリリースされた曲の中で悩んでいる時に聴くおすすめの曲はありますか?
4th Albumに収録されている『passage,』という曲です。30歳の時に作った曲なのですが、当時その年齢になることが自分の中ですごく大きなことだったんです。それでこの曲はこれまでの自分を振り返ってみようと思って作った曲で、 “無駄なことなんてない”ということを歌っています。振り返ると、悩んで歩いてきた道のりが全部、今の「宮野真守」を作っていると感じました。遠回りだと思っていても、自分にとって必要な道だと気づけたので、高校生の皆さんにはどんどん迷って挑戦してほしいです。
—ライブを楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
気軽な気持ちで遊びに来てください!僕のライブは特にルールがない分、やってほしいことは僕の方から声をかけたり、皆さんが一緒になって楽しめることをやってきています。一人はもちろん、お友達やご家族、皆さんで一緒に楽しみましょう。
『Sing a song together』
NOW ON SALE!!
8月23日に配信が開始された『Sing a song together』。ライブで宮野がファンと一緒に歌うイメージを彷彿とさせるコーラスワークの曲になっている。
約4年振りとなる声援ありのライブツアーを開催。9月16日から10月22日にかけて全国4都市にて行われる。