みなさんは国債という言葉を聞いたことがあるでしょうか?国債というのは”国の債券”のことで、簡単に言うと国の借金です。ニュースを見ていると、国債に関するものがありますが、国債とはいったい何のために存在するのでしょうか。
8月10日の日経新聞の記事によれば、日本の借金は1,276兆円に達し、過去最大になったと報道されています。昔、「国の借金=国民の借金」と大々的に報道をされたことがありましたが、むしろ考え方としては逆で日本国民が日本国にお金を貸しているのです。もう少し詳しく解説しましょう。
繰り返しますが、国債というのは国が発行する債券です。なので、国が発行した債券を誰かが買っており、その多くは日本銀行や日本の金融機関(銀行・保険会社など)で、海外投資家や日本の個人投資家の国債保有比率は15%を下回っています。ではなぜみなさんが国に貸しているお金といえるのか?それは、国債を買っている銀行や保険会社は預金や支払われた保険料を元手に国債を購入して資金を運用しているので、間接的に日本国民が国にお金を貸しているということになります。
●公共事業によって、景気の循環を生み出す
●国債を日銀が買うことによって世の中にお金の流通量を増やす
まず、一つ目の公共事業によって景気の循環を生み出すという意味ですが、これについてみなさんは直近でとても良い経験をしています。コロナ禍において政府は緊急事態宣言を出し、国民の大半は家に引きこもっていました。するとどうでしょう?外出を控える動きから、飲食店では売り上げが上がらず、従業員に給料も払えません。このように人々の行動が停滞すると景気が循環せず、不景気になります。公共事業を行う意味として、国がポンプのように経済活動を押し出し、経済を循環させる役割を担っているのです。
次に二つ目です。日銀は金融機関が持っている国債を買い取ることによって新しい紙幣を発行します。要するに、金融機関は国から買った国債を日銀に売るのです。
これを行うことにより、日銀の国債残高は増えますが、銀行を通じて世の中のお金の絶対量は増えていきます。お金の絶対量が増えることによって、流動するお金も増え、経済が回るという理論です。
国債の発行の効果については理解をいただけたと思いますが、実は年々国債の発行残高は増えています。すなわち国の借金が増えているということですね。この問題の是非は様々なところで議論をされていますが、実際に公共事業は国民から集めた税金と国債発行で賄われています。必要な公共事業を行うためには、財源が必要。けれど税金を増やすと経済活動が停滞する、といったようなジレンマと闘いながら政策決定が行われています。ともすれば、国債の発行残高や税率だけを切り取って議論するのはナンセンスですし、肝心なお金の使われ方(公共事業の中身)にも注目が必要です。さらに日本は少子高齢化の一途をたどり、社会保障費も増えていくことが予想されます。みなさんも正しい情報の元、考え、選挙権を持ったらぜひ選挙に行って自分の意思を示してほしいと思います。