【インタビュー】お笑い芸人 世間知らズ「マイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになる」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第65回は、お笑いコンビ・世間知らズの西田さおりさん、椎木ゆうたさん。個性の強いキャラクターでTikTokなどのSNSでも人気上昇中、今話題のお笑い芸人に迫ります。

【インタビュー】お笑い芸人 世間知らズ「マイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになる」

世間知らズ
ボケ担当の西田さおり、ツッコミ担当の椎木ゆうたの2名からなる男女お笑いコンビ。NSC東京19期生の同期で、2016年にコンビ結成。西田扮するキャラクター“味あじ美”や、日常を舞台にしたショートコントなどがSNSで話題を呼び、TikTokのフォロワーは27.5万人(2023年2月時点)。現在は、文化放送にて放送中のラジオ番組『おいでよ!青春る』にて、水曜パーソナリティを務めている。

 

◆マイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになる

仕事内容を教えてください。

西田:普段は劇場でライブをしたり寄席に出たりしています。あとはラジオやテレビへの出演、イベントへの出演、営業、生配信とかですね。
椎木:僕らはSNSの中でもTikTokの登録者が多くて、若い世代は時に「TikTokで知りました」という人が多いんです。そういう部分から僕らの認知を広めていければなと思っています。

 

お笑い芸人を目指したきっかけを教えてください。。

西田:私はもともとお笑いが大好きで、高校生の時には、吉本が開催している高校生の漫才大会“ハイスクールマンザイ”にも出場しました。お笑いの劇場にも通っていて、そこで「芸人さんかっこいいな、付き合いたいな」と思って養成所に入りましたね(笑)。
椎木:僕は小さい頃から「テレビに出たい」という夢があり、何になろうかなと考えた時に芸人しかないと思って。“とりあえず吉本興業に入ればテレビに出られるかな”というざっくりしたイメージのまま学生時代を過ごして、その勢いのまま養成所に入った感じですね。

 

そこからどのようにしてコンビを結成されたのですか?

西田:私たちはもともと養成所の同期でめちゃくちゃ仲が良かったんです。だけどコンビはそれぞれ別の人と組んでいて。養成所を卒業した後にお互いコンビを解散したので、2人で新たに世間知らズとしてコンビを組みました。
椎木:僕は一度、西田が別の人とコンビを組んでいる時に「一緒に組もう」と誘ったのですが断られて。西田が解散した直後に「組んでやる」みたいな感じで上から目線で来られましたね(笑)。

 

仕事をする中でのやりがいを教えてください。

西田:私たちの場合は椎木がネタのほとんどを作っているのですが、ネタ合わせをした時とかに悩むこともあって。“ここはこれで大丈夫かな”って不安になったりもするのですが、実際にお客さんの前でやってウケたりした時にはやりがいを感じます。悩んだところや変更した部分がウケるとやっぱり嬉しいですね。
椎木:西田が言ったネタがウケるというのももちろんなのですが、やっぱりお給料をちゃんともらえることですかね(笑)。昔は舞台に立って数百円という時もあったのですが、今は徐々にお給料をいただけるようになってきたので、しっかりとお仕事をこなしてその成果としてお給料がもらえるというのはやりがいを感じます。

 

相方のすごいと思う点をそれぞれ教えてください

西田:私が面白いと思うネタをスムーズにポンポン書いてきてくれることですかね。椎木が書いてきたネタを面白くないと思ったことが一度もなくて。あとは絶対に怒らないし、人の悪口を言わないところもすごいなと思います。
椎木:西田はめちゃくちゃ愛想笑いが上手いんですよ。
西田:(笑)。
椎木:これは西田さんの特技なんですけど、愛想笑いで爆笑するのがすごく上手くて、それが愛想笑いだとバレたことがないんです。あとはまぁお笑い面で言うと、ひよらずにガンガンボケたりできるのですごく頼りになりますね。

 

男女コンビでよかったと思うことはありますか?

西田:思ったことを遠慮なく言えることは良い点だと思います。以前は女性コンビを組んでいたのですが、その時はギクシャクしそうと思って何も言えず、お互いにストレスが溜まって解散してしまって。それが対男性だとめちゃくちゃ言いやすいので、そこのストレスは全くないですね。
椎木:男性・女性の2つの目線で見られるのは男女コンビならではかなと思います。ネタにしてもトークにしても、男女両者の意見が出るのでそこから先に広がりやすいとは思いますね。

 

仕事をする上で持たれているポリシーはありますか?

西田:絶対にスカさない、ネタ中に降りない。漫才の中でもしゃべくりではなくコントを盛り込んだコント漫才というものがあるのですが、そういう時に役から降りて急にお客さんに話しかけたりしたら絶対にウケるんですよ。だけどそれは絶対にやりたくなくて。めちゃくちゃスベったとしてもスカさず降りず、最後までやり切るというのは決めています。
椎木:僕は良い意味で適当に。肩の力を入れずにやるようにしていますね。今まで気負っちゃうと上手くいかないことが多かったので、気楽にふざけながら自分らしくやるようにしています。

 

お笑い芸人という職業の魅力を教えてください。

西田:本当にずっと楽しいです。舞台上だけではなくて舞台裏でも楽しい。今の芸人って先輩とかに対して「○○さん怖いから嫌だ」みたいなこともなくて、本当にみんな仲間意識が強いんですよ。だから人間関係で揉めるみたいなことは聞いたことがないですね。どこの職場よりも穏やかだと思います。
椎木:日常の中で普通に考えたらマイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになるんです。それは芸人ならではの特殊な関係だし、幸せだなと思います。
西田:たしかに高校生の時には誰にも言えなかった悩みとかも、芸人に話したらめっちゃウケるみたいなことはよくありますね。

 

お笑い芸人にはどんな人が向いていますか?

西田:実は私、高校時代はクラスの端っこにいるような誰とも喋れないタイプで。ずっと閉じこもっていたんですけど、芸人って意外とそういう人が多いんですよね。だからそういうタイプの子も、面白くなりたいと思うなら芸人には向いていると思います。

 

お笑い芸人を目指す高校生が、意識的にできることはありますか?

西田:いっぱいお笑いを見ておくといいと思います。私は養成所に入ったらネタ作りとかもイチから教えてもらえると思っていたんですけど、そんなことなくて。自分達が書いたネタに対してアドバイスはしてもらえるのですが、何も知らなくてもネタは自分自身で書かないといけなかったんです。だからいろいろな芸人さんのネタを見ておいた方が良いと思います。私は本当にお笑いが好きだったので、昔のお笑い番組とかもDVDを借りて観ていましたし、大阪までお笑いを観に行くということもしていました。
椎木:僕は高校生の頃、人気者になった自分をめちゃくちゃイメージしていました。当時、東野幸治さんが考案されたアプリがあって、マネージャーから仕事のスケジュールが送られてくるというものだったんです。毎日「この仕事が入っています」という架空のメッセージが来るんですよ。それを見て、芸人になった時のイメージを膨らませたりしていましたね。

 

ラジオ番組『おいでよ!青春る』ではパーソナリティを務められていますが、約4ヶ月出演されてみていかがですか?

西田:ゲストとしてラジオに出演することは何度かあったのですが、パーソナリティとしては初めてで。2時間生放送ということもあり、最初の頃は緊張してどう喋ればいいのか迷っていたんですけど、今はすごく楽しくやらせていただいていますね。

 

毎回番組には高校生がゲストで出演していますが、高校生と接する中での印象を教えてください。

椎木:とにかくしっかりしているなと感じます。みんな自分の意見を持っているし、毎回新鮮でとても刺激的です。
西田:今の高校生の流行りや考え方を教えてもらえるので、芸人としてお客様の前で喋る時にとても役に立つし、勉強になりますね。

 

高校生にメッセージをお願いします。

椎木:僕自身芸人になりたいという夢は持ってはいたのですが、実際にはめちゃくちゃ漠然と考えていて。だけど今こうして芸人になることができたので、意外になるようになるなと思います。どんな道に行こうが、これは自分に合った道だと信じて、突き進んでいってください。
西田:もしかしたら高校生に言うことではないかもしれないですけど、私のモットーに“適当でも生きていける”というのがあります。あまり考えすぎず、気負わないでいいと思いますね。

 

 

お仕事言葉辞典 お笑い芸人編

【マンキン】 まんきん
“最後まで全力でやりきる”という意味を持つ言葉。お笑い芸人発祥の言葉と言われ、現在も主にお笑い芸人の間で使われることが多く、世間知らズの2名も芸人になってから知ったそう。「マンキンでやれ!」等の使われ方がされる。

 

お仕事道具見せてください!

【インタビュー】お笑い芸人 世間知らズ「マイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになる」

アイシャドウ、 イヤホン
西田さんの必需品は、ファンの方からいただいたというアイシャドウ。濃いピンク色のものを使って自身でメイクを施します。椎木さんはイヤホンで音楽を聴き、気分を上げているそうです。

 

INFORMATION
世間知らズが 水曜パーソナリティを務めるラジオ番組 『おいでよ!青春る』

【インタビュー】お笑い芸人 世間知らズ「マイナスなことでも、芸人仲間に話すと全部笑いになる」

Twitter:@oideyo_aoharu