全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第60回は、課題研究授業の『HAKOSHOP』で 地元・函館の企業と共同で商品開発をしている北海道函館商業高校の流通ビジネス科を紹介します。
◆先輩たちの思いが込められた商品は、後輩へと受け継がれる
北海道函館商業高校の流通ビジネス科には、3年次に選択できる課題研究で地元企業と共同で商品を開発する『HAKOSHOP』という授業があります。企業の特色を研究し、大人と肩を並べながら自由な発想で商品を企画。1年かけて商品販売を目指し学んでいます。そして、今年は昨年の卒業生が開発した商品が商業高校フードグランプリで大賞を受賞。商業高校で学ぶマーケティングの知識を活かしコンテストに出場するなど実践に繋がる勉強をしています。
流通ビジネス科には、『HAKOSHOP』に興味を持って入学した人が多いそう。1・2年生で学んだマーケティングの知識をフルに活用し商品開発ができるのは商業高校ならではの授業です。商品開発をするときに最初に行うのは、会社の強みや弱み、客層などを表にまとめること。そこから、自分たちで1からターゲットを絞って商品開発を進めるそうです。天野さんは「私が一緒に開発している企業さんは、30〜40代のお客様が多いお店だったので、“ご褒美”や“グルテンフリー”と売り出したら手に取ってもらえるかなと、ターゲット層から考え、地元のコーンを使ったスイーツを開発することに決めた」と語ります。
そして今年は、1学年上の先輩が開発した『函商生コラボ だでうめぇ!! 北のハンバーグ』で商業高校フードグランプリにも出場しました。自分たちの商品開発を進めながら、コンテストの準備を進めるのはとても大変だったそうです。特に、先輩から受け継いだ商品だからこそ苦労したこともありました。ハンバーグについて詳しくなるために、先輩たちのプレゼンを見て開発の経緯などを研究したり、実際にどんな風に作られているか見学しに会社を訪問。そうして、時間をかけてハンバーグを自分たちの商品にしていきました。当日は、多くの観客が見守る中堂々とプレゼンテーションを披露。努力の甲斐あって、審査員やお客様から質問された際には迷わず答えることができたそうです。松原さんは「試食販売では、初めてお客様から直接感想を聞くことができた。自分たちから商品を勧めるだけでなく、相手から質問してくれたのが嬉しかった」と思い出を話してくれました。
卒業後の学生たちの進路はさまざまで、簿記やマーケティングの力を活かして就職をする人、また目標のために進学する人とそれぞれの未来へ歩んでいきます。自身も卒業生だという志平先生は「年を重ねていったら、地域の人がどんな風に支えて、助けてくれたのかがわかる。いつか後輩のために力を貸してくれるような人になってほしい」と願いを託しました。
▲お客様に笑顔で商品を説明し、当日はたくさんの人が足を止め、商品を購入していました。また他校の生徒が商品を買ってくれ地域を超えた交流もあったそうです。
▲商業高校フードグランプリに出場した4名。写真左から:天野さん、松原さん、竹本くん、西畑くん。リーダーの天野さんと竹本くんが声をかけ、バランスが良く仲の良いチームができたそうです。
▲実際に工場に行き、ハンバーグが作られる過程を勉強し、時間をかけて自分たちの商品にしていきました。その努力がコンテストで大賞という形で実りました。
地域社会の発展のために、自ら学び、創造し、提案できる人づくりをする学校。全日制は創立137年を迎え北海道の公立高校の中で最古の歴史と伝統を誇る商業高校であり、定時制では働きながら学ぶ、学習意欲と向上心を持った人を支えています。「士魂商才」の校是のもと、商業人としての知識・技能の習得と人間としての在り方や生き方を学んでいます。