全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第62回は、日本政策金融公庫主催、 第11回 高校生ビジネスプラン・グランプリで審査員特別賞を受賞した静岡県立伊豆伊東高等学校の総合ビジネス科を紹介します。
◆伊東市の高校生からはじまるヤングケアラー支援の輪
1月7日、東京大学本郷キャンパスで第11回「創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会が行われました。過去最多の参加校数505校・応募総数5,014件から、静岡県立伊豆伊東高等学校の「伊東ヤンケアフレンズ友の会」がファイナリスト10組に選ばれ、審査員特別賞を受賞しました。
「伊東ヤンケアフレンズ友の会」が提案したビジネスプランは『全国に広げよう! ヤングケアラーの輪』。リーダーの平松さんの実体験をもとにプランを立てました。「私には歳の離れた妹が二人います。面倒をみる中で、特に大変だったのが食事でした。子ども食堂は増えていますが、必ずしも利用したい日に利用できるわけじゃありません。そういった経験から「子ども食堂毎日版」を提案しました」と平松さん。
このプランの主なサービスは「食事の提供」と「ヤングケアラーの状況把握と支援」の2つ。食事の提供では、ヤンケアフレンズに加盟している飲食店で一口100円のチケットを購入。チケットが10枚貯まると子ども一人に無償で食事が提供されるシステムです。予約システムで予め利用希望日と利用したい飲食店を入力するため、利用者が利用しやすいように工夫しています。実際に7月18日〜8月16日の約1ヶ月間で200枚20人分のチケットが集まり、3回に分けて「子ども食堂毎日版」の実証実験を実施。加盟店である飲食店「笑あん」で行われた実証実験には、7人の子どもが参加してくれました。「子ども食堂を毎日やってほしい、と子どもたちから励みになる言葉を聞けたことが本当に嬉しかった」と平松さんは笑顔を見せました。
そして「高校生ビジネスプラン・グランプリ」では、伊豆伊東高校から初めてファイナリスト10組に選出! 最終審査会までの準備期間は1ヶ月ほどだったそうです。統合前の伊東商業高校時代を入れてもファイナリストになったのは初めてだったため「最初は嬉しかったが気づいたらプレッシャーがすごかった」と大沼くんは苦笑い。当日は惜しくもグランプリを受賞することはできませんでしたが、審査員特別賞を受賞することができました。
今後このプランは企業の方々に引き継ぎ、全国に広げていくのが目標です。3人の高校生から始まった輪が、伊東市をつなぎ、東京へ、そして全国へ広がっていく。「このプランを知ったいろんな人に協力していただけて、5年後10年後とヤンケアフレンズの輪が続いていったら私たちの目標は達成です」と平松さんは語りました。彼女たちのプランはスタート地点に立ったばかりです。
2023年に、伊東高校、城ヶ崎分校、伊東商業高校が統合し、伊豆伊東高校が開校しました。旧3校の校訓を継承した「真理を尊ぶ人であれ」「価値を生み出す人であれ」「他者を支える人であれ」のもと、3校の伝統や意思を引き継ぎ、さらなる未来へと継承し、伊豆地域全体の活性化に役立つ有意な人材を育成することを目指しています。