【インタビュー】執行役員兼 技術スタジオ部部長 藤田正人「表現の仕方が無限にあるところがVTuberの魅力」

さまざまな職業で活躍している人に迫るWorker’s file。第82回は、VTuber /バーチャルライバーのタレント事務所である『ANYCOLOR株式会社』の執行役員で技術スタジオを管理する藤田正人さんに話を聞きました。

【インタビュー】執行役員兼 技術スタジオ部部長 藤田正人「表現の仕方が無限にあるところがVTuberの魅力」

藤田正人(ふじた まさと)
2018年にANYCOLOR株式会社に入社。以前はネットワークエンジニアとして大手ネットワークを取り扱う会社で働いており、プロジェクトマネージャーも兼務していた。現在は、技術スタジオ部部長として、技術プロジェクトの開発全般、配信スタジオの運営全般を統括している。

 

◆表現の仕方が無限にあるところがVTuberの魅力

―仕事内容を教えてください。

技術スタジオ部は名前の通り、技術チームとスタジオチームに分かれており、そこの技術スタジオ部部長としてマネジメントを行っています。今回はスタジオチームの話を中心にさせていただきますと、スタジオチームは現在弊社が所有しているスタジオの運用管理が主な仕事です。配信収録スタジオ、3Dスタジオ、RECスタジオがあり、用途に応じたスタジオを手配し準備しています。

―現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

以前は大手ネットワークを取り扱う会社で働いており、様々なプロジェクトのマネージャーをしていました。そして、今の会社が新しいアプリケーションを作るために、プロジェクトマネージャーを探していて縁があり入社。アプリケーションをリリース後、技術部の部長、スタジオ部の部長を経て、その2つを統括した部署を立ち上げ、現在の役職となりました。

―VTuberの魅力を教えてください。

VTuberはリアルの人と比べて不自由な反面、表現の仕方が無限にあるところが魅力だと思います。VTuberの特性上、何かやりたいと言われてもできる範囲が限られてくるんです。例えば3D空間で卓球したいと言われても、色々課題があって見せ方が難しいです。卓球ってラリーが見えているからこそ楽しいはずなんですよね。そのラリーに必要な卓球の玉を3D空間上に起こすことがとても難しく、技術的なハードルが高いです。これはリアルと比べても不自由だなと思います。ただそこで技術的なハードルを僕らが乗り越え卓球ができた時、その後は卓球大会をやってみたり、ラケットを扇子にしてみたり無限大なんです。更にそこに“現実空間ではできないこと”が混ざってくると楽しいですね。卓球ではないですが、“ローションで人間カーリングをして、ある一定ラインを越えたら落ちる”とか、リアルだと大掛かりなセットを組まないとできないことも、3Dだと少ない工数で表現できます。気になったら「ローションカーリング」で検索してみてください(笑)。

―今後VTuber業界はどうなっていくと思いますか?

どうなっていくか示していく立場に僕たちの会社があると思っています。ただ僕がここで「今後VTuberはこうなっていきます!」みたいなことは言えないですね。そういうことを考える専門家は別にいるので。僕は技術とスタジオチームの統括という立場なので、どうやって示していくかを考えるのではなく、その専門家たちが考えた未来を”実現するため”考えて実行していくのが僕の仕事になってきますかね。

―仕事をする上で持たれているポリシーを教えてください。

楽しく仕事をすることです。つまらないなと思いながら仕事をしても良いものが作れないと思います。自分が楽しいと思いやっている仕事は、当たり前ですが、良いパフォーマンスが出るんですよね。そのためにも、仕事は楽しくやるべきだと考えます。ただ勘違いしないで欲しいのは、楽しく仕事することは“楽しい仕事だけをする”ことではないです。辛い仕事、キツイ仕事もやりながら、その中で楽しさを見出していき、“良い仕事をした”に変えていくことが大事です。

―仕事を楽しくするために意識していることはありますか?

自分だけが楽しくならないよう気を付けています。僕は立場も権限もあるので、楽しく仕事しようと思ったらいくらでもできるんですよね。ただ何も考えずにやってしまうと、必ず誰かにそのしわ寄せがいってしまいます。僕は権限も立場もあるからこそ、みんなが楽しく仕事ができる環境を作るという義務があります。そして、みんなが楽しく良い仕事をしたという結果こそが、僕の一番楽しい仕事だと思いますね。

―藤田さんにとっての働く意味を教えてください。

楽しく豊かに暮らしていくためですね。長い人生の中で、仕事がどれくらい自分の人生に食い込んでいるかっていうと、結構食い込んでくると思うんですよね。それなら、楽しく仕事をしたほうが人生お得ですよね。しかもさっき話した通り、楽しくするとパフォーマンスが上がって良い仕事もできるんですよね。一石二鳥です。楽しく良い仕事をした上でお金をもらって、楽しく豊かな人生にしていきましょう。

―エンタメ業界を目指す高校生が学生のうちからやっておくといいことはありますか?

多くのエンタメに触れることです。 “楽しい” とは基本的には自分の好きなことと、人の好きなことの掛け算した結果だと思います。興味のないものでも、とにかく色々なエンタメに触れて、なんでそのエンタメが生まれたか考えてみてほしいです。誰と誰が好きでそのエンタメが生まれたのか。そうすると、今までの自分になかったことが気付けるかもしれません。今まで自分が見てきたエンタメと、これから自分が目指していくエンタメでは何が必要で、どういったことを学んでいかなきゃいけないか、たくさん悩んでいってください。

―高校生にメッセージをお願いします。

“好き”という気持ちを大事にしてほしいです。会社がこれだけ成長できたのも、僕らの“好き”や“楽しい”という気持ちを、正しく仕事へ活かしてきた結果だと思います。自分は何が好きで、何をやりたいのか、軸となる部分をしっかり持って、いろいろなことを学んでいってほしいです。

お仕事言葉辞典 技術スタジオ部部長編

【キャリブレーション】 きゃりぶれーしょん
VTuberを3Dで動かす際に、モーションキャプチャスタジオでは毎回設備の調整が必要であり、その調整のことをキャリブレーションと呼ぶ。

お仕事道具見せてください

【インタビュー】執行役員兼 技術スタジオ部部長 藤田正人「表現の仕方が無限にあるところがVTuberの魅力」
AirPods Pro
ミーティングだけで1日が終わってしまうほど、たくさんのミーティングを行う藤田さん。オフラインだけでなく、オンラインミーティングに参加することも多く、その際にAirPodsは欠かせないアイテムだそうです。

 

INFORMATION

\藤田さんが技術スタジオ部部長を務める『ANYCOLOR株式会社』/
【インタビュー】執行役員兼 技術スタジオ部部長 藤田正人「表現の仕方が無限にあるところがVTuberの魅力」

公式サイト
https://www.anycolor.co.jp/recruit