もうすぐ夏休み。海やお祭り、テーマパークなど友達と行きたいところがたくさんあると思います。そして、楽しかった思い出は、写真に収めてSNSに投稿したいですよね。今回は、SNSに写真を載せる時の注意点を弁護士の先生に聞いてみましょう。
Q.友達と遊びに行った写真をSNSに上げたら友達に「勝手に上げないで!」と怒られてしまいました……。 撮影したのは私なのに、わざわざ許可を取ったり、ぼかしを入れて投稿しないといけないんですか?
■肖像権とはいったい何なの?
肖像権とは、自分の顔や姿をみだりに撮影・公表などされない権利です。また、被写体が芸能人やスポーツ選手のように著名人である場合には、著名人の氏名肖像などから生じる顧客吸引力の持つ経済的な利益や価値を財産と考え、その財産を排他的※に支配利用するパブリシティ権が認められる場合があります。
例えば、道端を歩いている赤の他人を勝手に撮影したり、SNSに投稿したりする行為は、その人の肖像権を侵害しているためやってはいけません。観光スポットや公共の場で撮影した写真も、写り込んでいる人の顔がはっきりわかる場合は、自分の顔や姿をみだりに撮影・公表されない権利を侵害する可能性があります。実際に、他人のSNSに自分の姿が写っていて、削除を要請したが取り扱ってもらえずに弁護士に相談するケースに発展することもあります。そうならないためにも投稿する前に、顔にモザイク処理をするなど顔がわからないようにしておきましょう。
最近は“推し活”の一貫として、アイドルなどのアクリルスタンドを撮影する人も増えていると思います。私的利用の範囲内でアクリルスタンドなどの撮影を楽しむことは、基本的に肖像権、パブリシティ権、著作権※侵害には該当しません。ただし、SNSに投稿するのは私的利用の範囲内とはいえないので注意しましょう。
また、風景写真を撮影する時は、電信柱や周りの景色などで、皆さんの行動範囲が特定されてしまう恐れがあります。個人情報の流出には十分気をつけながら写真撮影やSNSを利用してくださいね。
※排他的…部外者を押し退けること。
※著作権…自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されたりしない権利のこと。
■肖像権侵害になるケースを覚えておこう!
肖像権侵害の基準は、個人(被写体)の特定が可能か、撮影や公開の許可を取っているか、個人(被写体)の社会的地位、拡散性が高いか、撮影の目的や撮影方法・状態、撮影の場所や個人(被写体)の活動内容などにより判断されます。
肖像権侵害にならないように、写真を撮影する側もされる側も、以上のことを意識しましょう。
■こんなときは……
肖像権について理解することはできたでしょうか? 身近なケースとして、他人のSNSに映り込んでいるのを発見した、友人が許可なくSNSに写真を公開していたということがあった場合は、プライバシーや肖像を守るためにも、投稿者に相談してモザイクをかけてもらうよう相談してみましょう。
安全に楽しく、夏休みの思い出を写真に収めてください。