【大阪偕星学園高等学校(大阪府) キムチ部】“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値

第70回の“全国高校生NEWS”は、大阪偕星学園高等学校のキムチ部。発足1年目で漬物グランプリを受賞、多数のメディア出演で注目を浴びる唯一無二の部活動を紹介します。

【大阪偕星学園高等学校(大阪府) キムチ部】“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値

◆“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値

部活動が多様化する昨今。運動部や文化部だけではなく、商品開発や販売など、さまざまな“食”を扱う部活動が全国各地に存在し、高校生を対象とした食のコンテストも多数開催されています。そんな中、ある一つの食品の名前がついた部活動が注目を集めています。それが、大阪偕星学園高等学校“キムチ部”です。

キムチ部の発足は、2022年春。学校がある大阪市生野区には大阪コリアタウンがあり、ここを偶然通りかかった現キムチ部顧問の太田専務が、「こういった環境を活かした学校独自の取り組みができないか」と考え、キムチ部が起ち上がりました。そこから生徒会の生徒に声をかけ徐々に部員が集まり、現在は1年生から3年生まで計17名で活動しています。

キムチ部の活動は、その名の通り“キムチを作る”こと。週に3回ほど学校の食堂を借り、キムチ作りを行っています。白菜を塩漬けにし、“キムチソック”といわれる合わせ調味料を調合。出来上がったキムチソックを白菜の層の間に入れ込みます。こうして作られるキムチは、浅漬けであれば3日ほど、正式に完成するには1週間ほど漬け込むそうです。同じ配合で作るキムチも、毎回味が同じというわけではなく、この味を安定させることがキムチ部の目標の一つになっています。

2023年4月には、部発足から1年というスピードで、“全国漬物グランプリ”に出場。さらに学生部門でグランプリを獲得し、テレビや新聞といったさまざまなメディアから取材を受けるなど、一躍注目を浴びます。その際に作られたものが、大豆ミートを使ったそぼろと、キムチを掛け合わせた『×(カケル)キムチ』です。キムチの中にそぼろが入っているという新鮮さ、ご飯によく合うという点などが好評を博し、地元企業からのオファーを受けて商品化。現在でも大阪を中心としたスーパーで販売されています。

現在キムチ部は、この『×キムチ』とは別の新しいキムチを開発しており、部員同士で意見を出し合っている最中。“部活動で大変なこと”として部長の山内さん(2年)は「ミーティングでは、良いキムチを作るために言い合いになることもあるため、それがとても大変」と話します。一方、太田専務は、部員の成長という点について「入部当初の生徒たちは、自分が考えたことに価値があるということに気づいていなかった。活動をしていく中で、自分自身で考えていい、感じていいんだということに気づき、それぞれの意見が出てくるようになる」と話してくれました。

学校の環境を活かした、他に類を見ない部活動“キムチ部”。キムチ作りやキムチの魅力の発信をしながら自身の価値を認めていくことができる唯一無二の部活動として、今後も躍進は続いていきます。

【大阪偕星学園高等学校(大阪府) キムチ部】“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値
▲買い出しは学校の近くにある大阪コリアタウンへ。『×キムチ』の開発中は、このコリアタウンにあるキムチ屋の店主からアドバイスをもらうこともあったそうです。
【大阪偕星学園高等学校(大阪府) キムチ部】“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値
▲定期的に行うミーティングの様子。部員の中には辛いものが苦手な人もいるため、辛いものが苦手な人でも食べられるキムチなど、新商品に対してさまざまな意見が飛び交います。
【大阪偕星学園高等学校(大阪府) キムチ部】“キムチ作り”を通して見出す キムチの魅力と自分自身の価値
▲全国漬物グランプリでグランプリを受賞した『×キムチ』。大豆ミートのそぼろとキムチが“掛け合わさる”、ご飯に“かけて”美味しいといった意味が込められています。
大阪偕星学園高等学校
大阪府大阪市生野区にある私立高校。進学教育とスポーツ教育の両面に力を入れており、特進コース・文理進学コース・進路探究コース・スポーツコースの4つのコースを設置。また、ICTを活用し、文理横断の探究的な学びを強化する『DXハイスクール』認定校として、Z世代にとって必要なデジタルスキルの教育に注力するなど、最先端の学びを提供しています。