【高校生のための士業入門】土地家屋調査士ってどんな仕事?

意外と知らない法律や税金などの問題を、士業のプロに教えてもらう連載企画。難しい話も、自分のことなら大事な話! 未来の自分の役に立つかもしれない話を教えます!

今回は土地家屋調査士編!

地図の作成や土地・建物の位置・状態調査を行う調査測量など、不動産の表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士。土地家屋調査士の仕事は、不動産の状況を正確に登記記録に反映するための申請手続きを行うことです。そのために土地の面積などを測量し、土地の境界を明確にするのも土地家屋調査士の仕事になります。法務局に提出する測量図の作成などといったデスクワークをする一方、現地調査や測量では、屋外で専用の道具を使い作業をするため、作業着を着用して仕事をすることもあるのが、土地家屋調査士の仕事の特徴です。
それでは、土地家屋調査士の仕事についてもっと詳しく勉強していきましょう。

土地家屋調査士の仕事の流れを知ろう!(土地編)
土地に関する相談から、測量、登記まで、土地家屋調査士が行う仕事はたくさんあります。それでは、具体的な仕事の流れについて説明していきます。

●相談から登記までの流れ

❶土地に関する相談対応
隣接する土地との境界確定や、土地を分割したいといった土地の境界線に関する依頼を受け、解決するための相談に乗る。
❷資料収集・事前調査
現在の登記情報や現地状況を確定させるために、法務局や市区町村役場から土地の図面などの境界に関する資料を収集する。
❸現地調査・測量
現地に出向いて、土地の境界を示す“境界標”が設置されているかを確認。隣接地との境界を明確にするために、トータルステーションなどの専門的な測量機器を用いて調査する。
既存の境界標がある場合は位置を確認し、ない場合や位置が不明な場合は新たに設置する必要がある。
❹隣接地所有者との協議、境界標の設置
境界標がない場合は、土地の所有者と隣接地の所有者の立ち会いのもと、境界線の確定を行う。双方の合意が得られた場合、境界標を設置。あらためて物理的に境界が明示される。
❺測量図の作成
境界確定後、土地の形状や面積、境界の位置を正確に記載した測量図という図面を作成。測量図には、登記申請で必要になる「地積測量図」や不動産取引で必要になる「現況測量図」「確定測量図」といった種類がある。
❻登記申請・完了報告
測量図など関連書類が揃ったら、法務局で「地積更正登記」や「分筆登記」の申請をし、登記が完了。こうしてあらためて確定した境界が法的に認められる。

土地家屋調査士が土地の境界や面積を確定させ、不動産の状況を正確に登記記録に反映することは、将来的な境界トラブルの防止に役立ちます。

土地家屋調査士が使用する道具を見てみよう!
士業の中でも、専門機器を使用することが多い土地家屋調査士。測量の際に使用する道具の例を見てみましょう。

トータルステーション


距離と角度を同時に測定できる測量機器。測定したデータをもとに土地の面積を計算したり、境界標の位置を出したり、図面を描いたりする。
巻き尺


10メートル以上の長い距離を測る際に使用する。
関数電卓


土地家屋調査士試験の必需品でもある関数電卓。多様な関数を備えており複雑な計算をスムーズに行えるため、測量図を作成する際に役立つ。

■まとめ

土地家屋調査士の仕事の流れや道具について理解することはできたでしょうか?
土地家屋調査士は、そこで暮らす人たちが安心して生活できるように境界を明確にし、土地という財産を測る仕事をしています。土地の境界に関する疑問は土地家屋調査士にぜひ相談してみてください。

監修:東京土地家屋調査士会
https://www.tokyo-chousashi.or.jp