今回で13回目を迎える「お弁当甲子園」。高校生たちの大切な人に送る、想いのこもった個性溢れるお弁当たちを紹介します。
「癌に負けなかった父」へ「男と男の約束弁当」
愛媛県立松山南高等学校 木下大悟
1年前、父が進行性の大腸癌と診断されました。今まで、1度も入院したことのない、健康だった父。でも、父は癌に屈せず、「来年も、再来年もずっと家族で桜を見よう!」と言ってくれ、僕自身も父に「必ず自分の夢を叶える!」と固く握手を交わし、約束をしました。今回、そんな父の為にお弁当を作りました。好きな食べ物から食べる派の父。おにぎりは、具が分かるように工夫し、卵焼きは、以前父が作ってくれたものを真似ました。卵よりもネギがたっぷりでとても美味しかったからです。花より団子の我が家。普通はお弁当に入れない「おはぎ」を入れて、父の喜ぶ顔を想像しました。僕の作ったお弁当を持って、必ず来年も家族で桜を見に行きます!
特別審査委員賞
「姉と妹」へ「ハンバーグ弁当」
群馬県立沼田高等学校 熊川陽登
夏休み中、私は両親が仕事でいないのと、姉妹との仲も良くないためお昼ごはんは一人で食べることが多いです。そんな中、前日にあまり話すことのない妹がハンバーグを作ってとおねがいしてきました。私も最初は面倒くさかったのですが、なぜかその気になりお母さんにひき肉を買ってきてとおねがいしました。ハンバーグを作る当日になり、いざ始めようと思ったら、玉ねぎはないや作り方が分からないやで30分ほどたっていました。いざ作り始めても分量が分からず、ずっとハンバーグ作りのサイトを見てるだけでした。なんとか作り終わり、妹に食べてもらったら「おいしい」と好評でした。一つの弁当で妹との仲が縮まり食べ物ってすごいんだなと思いました。
「歯を痛めた母」へ「柔らか愛情弁当」
福岡県立東筑高等学校 田中一葉
私が幼稚園生のとき、階段が怖くて2階から降りられなくなったことがありました。2階の物置部屋で泣いていたら、「もう大丈夫やけん階段を見てみて!」という声が1階から聞こえ、階段に来て見てみると、色紙を切って作った花が一段一段に散りばめられていました。恐る恐る降りた私を、母は頑張ったねと言って抱き締めてくれました。これが私が覚えている母の最初の記憶です。あくまで私一人で降りられるように手伝ってくれた母の行動を、私は今でも尊敬しています。そんな母が先日歯を痛め、何も食べる気が起きないと言っていたので作ったのがこの弁当です。あまり噛まなくていいように出来るだけ柔らかく、愛情を込めて作りました。
優秀賞
「ともに酪農業に進む仲間」へ「やるぞ、酪農弁当」
北海道美幌高等学校 惣田健斗
私の実家は北海道のオホーツクで酪農業を経営しています。ですが、地元の同学年や同世代では酪農を志す人が少なく、酪農の話で盛り上がることが少なかったです。そのため、高校は家から離れた農業科へ進学しました。そこでは、同じ夢を持つたくさんの人に出会いました。中には、非農家出身で、「私の家に行きたい!」という仲間もいました。酪農が大好きなみんなと、酪農を盛り上げていく。これからは、私たちが酪農を盛り上げていく。材料は北海道産を使用し、特に牛肉は乳牛で最も多いホルスタイン種のオスの肉を使いました。今、とても苦しい酪農業界ですが、これからの酪農を私たちが明るくする。そんな気持ちで作りました。
「ご飯を全然食べない成長期の弟」へ『ドドン!「食べろ」と言わんばかりの顔をしている弁当』
鎌倉女子大学高等部(神奈川県) 谷田部真結
弟は、成長期真っ只中の中学生で、しかも運動部なのでエネルギーを沢山使います! ですが……なかなか食べず好きな食べ物ばかり食べているので、栄養は取れないし、憎たらしいことに私よりも身長が高いのに私よりも痩せています。そんな弟に残したら罪悪感を抱くようなお弁当を作りました。2つのおにぎりは大きめに作りました。きっとおにぎりを食べている最中シャケとたらこが無くなり味の少し濃いつくねを食べると思います。そしてそこまで食べれば最後まで食べたいと思える量にしました。そして副菜を食べやすい豚汁にしました。豚汁の中にはお肉をたくさんとにんじん、大根、ごぼう、厚揚げ、さといも、ねぎを入れました。
「仕事を頑張るお母さん」へ「週末の冷蔵庫の余りもの弁当」
横浜雙葉高等学校(神奈川県) 渡邊葉月
このコンクールに応募することを決め、何を作ろうと悩んでいたのですが、そんな時にお母さんがいつも「明日のお弁当どうしよう」と悩んでいたことを思い出し、「いつもお母さんがどんなことを考えながら作っているのか体験してみよう」と思い、何か買い出しに行くのではなく週末の1番冷蔵庫が空っぽの時に作る大変さを味わいました。例えばお弁当といえば彩りが大事ですがミニトマトなど手軽に赤を入れられるものがなく、考えて、今ある鶏むね肉ならピカタでケチャップをつけられるぞというように彩りを工夫しながら作りました。どれだけ忙しくてもおいしくて彩り豊かなお弁当を毎日私と父に作ってくれるお母さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
「家族」へ「集合弁当」
愛知県立豊田工科高等学校 澤田大晴
僕は幼稚園の時に母を亡くしました。そして、兄は仕事で遠くに行き姉は結婚して家を出ました。母に関してはあまり記憶になくどんなことをして一緒に過ごしたのかとても記憶が曖昧です。ですが母が亡くなってから1、2年は家族が荒れていたことを覚えています。僕は、お母さんの妹さんが僕の第二の母として沢山面倒を見てくれたり、学校に行く前のご飯は、お母さんの叔父と叔母がつくってくれてお父さんは、仕事に行く前に弁当をつくってくれます。そして兄と姉は、煽りながらも勉強を教えてくれました。この弁当には全員が食べたことがある叔父と叔母のまね料理を入れました。母を入れてまたこの幸せな家族でご飯を食べたいと思い作りました。
鎌倉女子大学と高校生新聞社が主催の、友達との絆や家族愛、感謝の気持ちといった自分の想いをお弁当で表現してもらうコンテスト。13回目を迎えた今大会では、全国307の高校から11,269作品の応募があり、年々応募数が増えています。自ら創作することの楽しさ、食・健康の重要性などを自主的に考える機会として家庭科の授業でも取り上げられています。
◆お弁当甲子園HP:https://www.kamakura-u.ac.jp/obento/