【インタビュー】藤寺美徳「花奈ちゃんの悩みがすごく等身大で本当に彼女に共感するところが多かった」

1月から放送開始のTVアニメ『花は咲く、修羅の如く』で主人公・春山花奈の声優を務めている藤寺美徳さん。声優として活躍する一方、私生活では現役の高校生でもある藤寺さん。登場人物たちと同年代の藤寺さんから見るアニメの見どころは? また自身が演じる春山花奈との共通点とは? 今注目の声優、藤寺美徳さんに迫ります。

【インタビュー】藤寺美徳「花奈ちゃんの悩みがすごく等身大で本当に彼女に共感するところが多かった」

藤寺美徳(ふじでら みのり)
2006年12月18日生まれ。千葉県出身。プリティーシリーズ10周年プロジェクト「NEXT声優アーティストオーディション」で応募総数約1500人のなかからグランプリを受賞。TVアニメ『ワッチャプリマジ!』御芽河あうる役で声優デビュー。2025年放送のTVアニメ『花は咲く、修羅の如く』で主人公の春山花奈を演じる。主な出演作は『ひみつのアイプリ』青空ひまり役、『ワッチャプリマジ!』御芽河あうる役、ゲーム『ガーディアンテイルズ』シロキ役など。

-声優を志したきっかけを教えてください。
小さい頃から何かを表現することが好きでした。なかでも中学生の時に入った演劇部で、一つの作品を作る楽しさや、お芝居の面白さに心惹かれ、そういう活動をしてみたいなと思うようになったのが大きなきっかけでした。表現する活動をしていきたいと思っていた中学3年生の時に、小学生の時から好きなプリティーシリーズの10周年記念企画の一般オーディションがあることを知って。その作品にも出たいし、「私にはこれしかない」という気持ちでオーディションを受け、ありがたいことにグランプリに選んでいただき声優デビューすることになりました。

-演劇と声優で表現の違いはありますか?
声のお仕事をさせていただいて改めて表現することは難しいなと思いました。演劇だと舞台の上で体を動かしながら表現するんです。例えば、演劇部でミュージカルに挑戦した時は、歌いながら踊り、客席の一番後ろの人まで声を届けなければいけないため、大きな声を出すことを意識して舞台に立っていました。声優のお仕事ですと、大きな声を出す場面でもマイクを通して話すため、大きな声を出しすぎると逆に不自然になったり。作中のキャラクター同士の距離感もあるので、芝居によってアプローチの仕方が全然違うなと感じました。

-初めての声優の仕事での思い出を教えてください。
初めてのお仕事はアフレコの第一話で新型コロナウイルスの影響もあり、分散して収録を行っていたため、私含めて3人くらいで収録をしました。私のセリフは一言だったのですが、その一言を1週間くらいずっと練習して現場に行きました。ですが、いざマイクを前にすると家で練習したことが全然できず、監督さんや音響監督さんに言われたことにすぐ反応できなかったんです。その時にマイクの前に立つ緊張感ってすごいんだなって思いました。また、その日一緒に収録したキャストさんは私が小さい頃からアニメで活躍していた大先輩で、改めてプロの現場というのを感じました。声優になったからにはプロの自覚を持たなきゃいけないなと思っていたのですが、現場に行ってさらに頑張らなきゃなと思いました。

-藤寺さんが主人公の声優を務めるTVアニメ『花は咲く、修羅の如く』はどういった作品ですか?
放送部に所属する高校生たちが活動を通じて成長していくお話です。私が演じさせていただく春山花奈ちゃんは、小さい頃から朗読が好きな女の子。朗読している彼女の才能を見込んだ“すももが丘高校放送部”の瑞希が放送部に勧誘するところから物語が始まります。新しい環境に飛び込んだ花奈ちゃんが、朗読の技術も一人の人間としても成長していく姿が愛おしくて「頑張れ」と応援したい気持ちになるんです。“青春”という言葉が合う爽やかな作品ですが、声や文字と向き合う仕事をしている者としても共感する部分がたくさんあります。努力から来る実力や、圧倒的な才能を目の当たりにした時の複雑な思いなど、刺激を受けて学ぶことが多い作品です。

-藤寺さんと春山花奈の共通点はありましたか?
花奈ちゃんの悩みがすごく等身大で、一段一段階段を登るように自分に向き合うので、本当に彼女に共感するところが多かったですね。最初は花奈ちゃんのことを“内気で大人しい子なのかな”と思っていました。私もどちらかとういうと活発的な方ではないので、性格的に共感するところや似ているところがあると感じていました。でも彼女の“ここだけは譲れない”という想いが、お話が進むとだんだん見えてきて。想像するよりもずっと前向きなキャラクターだなと今は感じています。花奈ちゃんはとても素直で何色にでも染まれそうな真っ白な雰囲気を持つ素敵な子なので、私も花奈ちゃんが持っている感性を忘れずに持っていたいなと思います。

-藤寺さんの“ここだけは譲れない”というポリシーはありますか?
最近思うのは、“中途半端な音は出したくない”ということです。自分が台本を読んでいて思っていたセリフの長さやリズムが絵に合わせると合わないことがあります。枠が決まっているのでそれに収めなければいけないのですが、それに収めようとすると思っていたお芝居にならないと感じる時があります。なので先輩方がぴったり枠の中でお芝居されているのを見て、すごいなと憧れています。先輩たちの姿を見て、限られた枠で自分ができることを全部詰めたいなと思うようになりました。

-アニメの見どころを教えてください。
日常パートと朗読アナウンスパートの対比が見どころの一つだと思っています。日常パートでは、高校生のリアルな空気感が伝わるようにキャラクターそれぞれのやりとりをとても丁寧に作っています。例えば、作中に出てくるかっこいい名言みたいなセリフでも、言っている本人は当たり前のことを口にしただけだったりするんですよね。アニメになると“セリフを届けなきゃ”などと考えてしまうのですが、そういうことを考えずにさらっとしゃべることを意識していました。音響監督さんと「友達と話している時は深く考えていないけど、何気なく発した言葉が相手に刺さっているかもしれないよね」と話しながら作っているのでそういう雰囲気も感じてくれたら嬉しいです。また朗読アナウンスパートでは、朗読とアナウンスの部分を後日、再収録する時間があって、元アナウンサーの方に読み方を教えていただきました。その時に綺麗な読みが必ずしも正解というわけではなく、キャラクターの背景を踏まえていろいろなご指導をしてくださいました。花奈ちゃんは回を追うごとに成長していくキャラクターなので、物語の中で上手くなったところを見せるシーンの収録はいつも緊張します。花奈ちゃんの解釈や想いをどこまで込めるのか。細かい部分は何度もディレクションして調整しながら必死に食らいついて収録しているので、そこにも注目してほしいです。

-今後声優として挑戦したいことを教えてください。
男の子の役ができたら役の幅が広がると思うので、いつか挑戦してみたいです! アニメを見ていて私が好きになるキャラクターは中性的な子が多いため、そういう子を自分も演じてみたいなと思っています。また、お仕事を始めていろいろな方にお会いし、お芝居に対しての姿勢や人柄、尊敬、憧れなどたくさんの想いが出てきました。私も役者としても人間としても成長していきたいなと思っています。

-少し話は変わりますが、藤寺さんは学校ではどのような学生ですか?
体育祭や文化祭など行事は全力で楽しみたいなと思う反面、普段は結構おとなしいと思います。先生に推薦されて実行委員をやったことはあるんですけど、自分から率先してやるタイプではありません(笑)。

-高校生活の一番の思い出を教えてください。
高校2年の文化祭で実行委員をやった時に、どうしたら予算を越えないでできるかを友達とワイワイ言いながら準備するのがとても楽しかったですね。その時はゲームを楽しみながら食事もできるカフェをやって、ゲームで使う道具を自分たちでダンボールで作りました。また衣装の話ですと、お店の雰囲気に合う蝶ネクタイをみんなで買ったのですが、購入するならどこが一番安いのか、一から作るのが安いのか、材料もホームセンターで買うのか100均なのかとか調べて。最終的にネットで作られているやつを買ったのですが、結局みんな着けなくて(笑)。みんな自由に自分の思う衣装で働いていて、個性が出て楽しかったです。

-もう少しで卒業ですが、残りの高校生活でやっておきたいことはありますか?
放課後に友達と遊んだり、学校の授業を受けたり、といった当たり前に過ごしている時間を大切にしていきたいなと思っています。放課後は友達とゲームセンターに行くことが多くて、クレーンゲームでお気に入りのキャラクターのぬいぐるみを取ったり、自分が出演している作品のゲームで遊んだり。そのほかはカラオケやご飯を食べに行ったりすることが多いです。なので、卒業までに学生料金で行けるところに友達といっぱい行きたいです。

-高校生にメッセージをお願いします。
この作品は高校生の空気感を大切に収録していて、キャラクターたちが抱える悩みなどは、同じ高校生として共感できる部分が多いと思います。作中に登場する部員たちは個性豊かなので、共感する人物や感じ方は見てくださる皆さんそれぞれではないでしょうか。キャラクターたちと同年代で、より花奈ちゃんたちを身近に感じられる皆さんにぜひ見ていただきたいです。そして現在放送部に所属する高校生の皆さん。この作品には、朗読やアナウンスについて学んでいる人だとより共感できる表現やシーンがいたるところに散りばめられています。例えば、花奈ちゃんは入学時点でアクセントに関する知識がないのですが、作中にはアクセントに関するお話などが出てきます。また、花奈ちゃんの成長やちょっとした心情の変化を音で表現しているので、原作と併せて楽しんでいただけたら嬉しいです。

INFORMATION

藤寺さんが主人公・春山花奈を演じる
TVアニメ『花は咲く、修羅の如く』

【インタビュー】藤寺美徳「花奈ちゃんの悩みがすごく等身大で本当に彼女に共感するところが多かった」
日本テレビ・BS日テレほかにて、2025年1月7日から放送開始!
また各種配信サイトでも順次配信開始!
公式HP:https://hanashura-anime.com
公式X:@hanashura_PR