【和歌山県立神島高等学校】地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”

全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第54回は、地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”です。

【和歌山県立神島高等学校】地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”

◆自分とまちの接点が見つかると、今までの景色が180度変わる

 和歌山県立神島高校の“神島屋”では、地元の特産物である紀州南高梅や田辺地区で自生している海草“ヒロメ”を使った商品開発と、地元で行われているお祭りやイベントで梅を使った焼き鳥やお弁当の販売をしています。その他に、“神島塾”という地域課外授業も実施しています。

 神島屋の活動が始まったのは2011年。神島高校には商業系の学科があり、年に数回イベント販売をする機会があります。それまでは仕入れた商品を売っていましたが、“生徒たちが自信を持って販売できる商品があったほうがいい”と神島屋の担当で発起人でもある那須先生は考え、クラスの子に声をかけて商品開発を始めました。 その記念すべき初めての商品が“梅あられ”です。翌年から、経営科学科の課題研究授業で本格的に神島屋の活動をスタートさせました。2013年に梅酢を使った焼き鳥の販売を開始したところ、イベントで大人気になり、今では1年に4万本以上も売り上げる人気商品に。神島屋で商品開発に携わる生駒さんは「地域の方が商品を買いに来てくれて、リピーターにもなってくれる。『美味しかったよ』って直接お客様から感想を聞けるのが嬉しい」と笑顔で話します。最近では、地元の中学校で出張授業をし神島屋の活動を紹介。活動に興味を持って入学してくる生徒も増えてきているそうです。

 そして、神島屋の活動が11 年目を迎えた2022年。地域と生徒たちを繋ぎ、地域について深く考える機会を持ってもらうために新たに“神島塾”を開講しました。神島塾では、地元で働く方々を講師に招き、地域との関わり方を学びビジネスプランを作成します。普通科からも参加者を募り、20 人の生徒が1期生として学びました。運営から生徒に関わってもらい、講師の選定や日程の調整なども行っています。「私自身、昨年の神島塾の受講生で、受講してから自分とまちの接点が多いことを知り、まちの見え方が180度変わりました。神島屋の活動や神島塾を通して、地域や特産物の魅力を知ってもらえるような活動を今後もしていきたい」と神島塾の運営に関わる蟬さんは語ります。

 那須先生は「神島屋として有名になる事ではなく、活動に興味を持った子たちが活動できるように今後も継続していくことが目標。そして、生徒たちが大人になった時に自分の子供に買ってあげられるような商品を考えてほしい」と願いを語りました。

 地域の特産物を活用した商品を開発しながら、生徒と地域を繋ぐ活動を続けていく“神島屋”。まちの魅力を知った彼らが作る商品は、何十年後もたくさんの人に愛される商品になっていくことでしょう。

【和歌山県立神島高等学校】地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”
▲昨年から地域の特産物である海草“ヒロメ”の商品開発に携わっています。商品を作る上で、実際に作っている現場を見て、生産者の話を聞くことを大切にしています。
【和歌山県立神島高等学校】地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”
▲イベントで1日に2000本売れる人気商品梅焼き鳥。焼くところから販売まで自分達で行います。お客さまの「美味しかった」という感想が何よりの励みになるのだとか。
【和歌山県立神島高等学校】地域の特産物を使った商品開発や販売、学生と地域を繋ぐ取り組みを行なっている和歌山県立神島高校の“神島屋”
▲昨年初開講の“神島塾”。那須先生自身、生徒が集まるか不安だったそうですが、受講生は20人になりました。今年度も27人の受講生が参加し、生徒と地域を繋ぐための講義をしています。。
和歌山県立神島高等学校
和歌山県田辺市にある公立高校。普通科と経営科学科の2つの学科を有し、自分の進路によって学部を選択可能です。部活動にも力を入れており、特に写真部は写真甲子園3連覇を達成、強豪写真部として知られています。経営科学科には商業系専門の教師が多く、在学中に多くの資格を取得できるのも特徴です。