さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第81回は、プロ野球選手として中日ドラゴンズでプレーし、さらに日本代表としても活躍。昨年17年間におよぶ現役生活を引退した平田良介さんに夢やセカンドキャリアついて聞きました。
大阪府出身。大阪桐蔭高校時代、1年夏からレギュラーに選出。秋からは4番バッターを任され高校通算70本塁打を放つ。2006年に中日ドラゴンズに入団後、ベストナイン、ゴールデンクラブを獲得し日本代表としても活躍。2023年に現役を引退し、現在は野球解説者、野球塾講師として活躍している。
◆どんな選択をしてもその一つひとつを自分の力で正解にしてほしい
-仕事内容を教えてください。
将来、高校野球で甲子園出場やプロ野球選手を目指す小中学生に本格的にバッティングを教える『かっ飛BASE!BALL Academy』で野球指導をしています。その他に小学校やイベントでの講義や講演、トークショー、プロ野球解説を行っています。『かっ飛BASE!BALL Academy』は小中学生向けの指導なんですが、僕自身子どもと接するのが好きなので楽しくやらせてもらっています。
―野球指導や講演など現在の仕事のやりがいはどんなところですか?
携わってくれた人が笑顔になってくれるところですね。それは講演を聞いてくれた人や野球教室に来てくれた人はもちろん、それをやるにあたって携わってくれた企業の方やスタッフの人から「今回やってよかったよ」と言ってもらえるのがすごく嬉しいです。お世辞もあると思いますけど、「またやってよ!」とか感想を直接言ってもらえるのはすごく嬉しいです。喜んでくれる人が多い方が自分も嬉しいと思えるので、それが今のやりがいになっています。
―現役引退から現在の活動に至るまでの心境はいかがでしたか?
2023年に現役を引退して、正直そこから何をしていいかわからないというのが当時の心境で。選手としてプレーしていたときはプレーで見てくれている人に夢を与えられていたと思うんですが、引退してからはプレーで夢を与えることはできないので、だったらどうするかと考え今度は夢のサポートができたらいいなと思って。そこからそれをどう仕事にしていくかを考えならが2023年は行動していました。
-現役を引退されてセカンドキャリアに進むにあたり、自分の中で決めたルールはありますか?
携わってくれた人が喜んでくれることをやることです。『かっ飛BASE!BALL Academy』には野球に興味がある子が集まってくれますが、講演などにはそもそも僕を知らない人、野球をやっていない人、興味がない人ももちろんいます。そんな人たちに対しても僕と会って、話したりすることで夢を持ってもらいたいと思っています。先日小学校で講演をさせてもらったんですけど、全体の4割くらいが僕のことや野球について知らない子だったんです。それでも僕の経験や小学生の頃にしていたこと、こんなことをしておけばよかったみたいなことを話したら最後には僕を知らなかった子たちも興味を持ってくれたのか引っ付いてくれたりするんです。野球に興味がない子たちにも僕の経験を話すことで今後少しでもタメになるのかなと思うとすごく嬉しいですね。
―現在は講演もされていますが“話す”というのは得意だったんですか?
自分では話すことが得意かは今でもわからないです。でも講演に関しては準備などはせず当日来てくれている人の層を見て話す内容を決めさせてもらっています。終わったあとに「良かった」とか「楽しかった」という声をいただけているので、僕もよかったなと思っています。現役時代はヒーローインタビューで話す機会もあったんですけど、どうすれば目立つことができるかを考えたときに、新聞の見出しで書きやすい言葉を残すようにしました。こう言ったらこう書いてくれるかなって勝手に想像しながら2〜3つのフレーズは出すようにしていましたね。
―では、講演などで話すこと・伝えることの難しさはありますか?
技術を教えるときは言葉プラス形で説明ができるんですけど、話だけとなるとあまり言葉を知っている方ではないので、自分が知っている少ない言葉でどう伝えていくかが難しいなと感じています。伝わり方って同じ言葉で伝えていても100人いれば100通りあると思うので、そこが本当に難しいですね。
-講演ではどんなテーマでお話しをされるんですか?
子どもたちに対しては夢とか目標の話が多いですね。以前、若い経営者に向けて講演をしたことがあるんですが、そのときは中日ドラゴンズの簡単な組織図みたいなのを実際の会社に当てはめて話しました。これは結構おもしろがってくれていたと思います。その日に何を話すかは本当にひらめき頼りなんです(笑)。でも僕の講演を聞いてくれてる人で居眠りしている人やあくびをしている人って本当にいないので、今のところ話のチョイスはうまくいっていると信じています(笑)。
-プロ野球選手になるという夢を叶えた平田さんの新たな夢について教えてください。
僕は“プロ野球選手になること”が夢ではなくて“プロ野球選手になって活躍すること”が夢だったんです。なので、プロ野球選手になったことで夢が叶ったというのが全然なくて。結果的にはプロ野球選手として夢半ばで飽きらめた感じなんです。だから今新しい夢を追いかけています。夢はいくつかあるんですが、一つは、野球を教えている子たちが高校野球で甲子園に出場するとかプロ野球選手になってくれることですね。
―少し話は変わりますが、平田さんが野球をはじめたキッカケは何だったんですか?
実家の前が公園だったんです。その公園が少年野球チームの集合場所になっていて。小学1年生のとき毎週日曜の朝になると同じユニホームを着た人たちがいっぱい集まって来ていたのでいつも見ていたら「着いてこないか?」って誘われたんです。着いて行ってやってみたら、それが野球チームで、おもしろかったので、それをキッカケに野球をはじめるようになりました。父親はラグビーをやっていたので僕にラグビーをやらせたかったみたいですけど(笑)。最初はそこまでの思いもなく始めたんですが、小学2年生のときにプロ野球という存在を知って。そのときは何でも1番になりたい性格だったので、野球をやっている自分の1番はプロ野球なんだと思ったんです。それでプロ野球選手になりたいと思うようになりました。
―では、どんな想いで引退を決意したのですか?
引退か自由契約の選択を迫られたときにまだ引退したくないという気持ちが大きくて。なので自由契約を選んだんです。他球団の編成部長にも「平田良介いりませんか?」と直談判もしたりしたんですけどお声はかからなくて。そのときにプロ野球の世界に自分は必要ないんだなと思って引退を決めました。家族会議もして期限を決めて動いていましたし、それまでに次の球団が決まらなければ次のステップに進もうと決めていました。
―今後どのような活動をしていきたいですか?
今みたいな感じなんですかね(笑)。きっとこれって感じで固まらないんだと思います。ただ、常にいろんな人と関わってその人たちが幸せになってくれたらいいなって思っています。本当に人は一人では生きていけないと思うので、これからもいろんな人への感謝を持ちながら活動していきたいですね。
-高校生に応援メッセージをお願いします。
一つひとつの事柄に対して後悔しない選択をしてほしいと思います。僕自身も決めていることなんですけど、“あのときこうしておけばよかった”と思わないようにしているんです。なので、みなさんにも“あのときこうしていれば”という思いが一つでも少なくなるような選択をしてほしい。そしてどんな選択をしても、その一つひとつを自分の力で正解に変えていってほしいです。
お仕事言葉辞典 野球解説者(元プロ野球選手)編
【タコ】 たこ
出塁できずに凡退を繰り返すこと。諸説あるが、相手ピッチャーに手玉に取られて「骨抜きにされる=軟体動物」からタコという表現が始まったと言われている。
お仕事道具見せてください
名前入りのバット
『かっ飛BASE!BALL Academy』は小中学生に向けてバッティング専門の野球指導を行っているので、かかせない仕事道具です。そしてバットには平田良介の名前入り!
INFORMATION
\平田さんが指導する『かっ飛BASE!BALL Academy』(本部校・愛知県一宮市)/
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