第84回のWorker’s fileは、国内最大級のキャンプWebマガジン「hinata」、キャンプ用品お届けサービス「hinataレンタル」 など、幅広く事業を運営するvivit株式会社代表取締役の那須義生さんにキャンプを通じて学べることなどをお聞きしました。
1986年生まれ。埼玉県出身。東京理科大学大学院卒業。IT系ベンチャー企業にて、エンジニア、ITコンサルを経験し、外資系企業に転職、経営コンサルティング業務に従事。2020年11月に、友人の勧めで、vivit株式会社に入社。2021年11月に代表取締役に就任。現在に至る。
◆キャンプは、自分たちの力で成長できる最高のアクティビティ
事業内容を教えてください。
キャンプに興味のある人が気軽に体験でき、ゆくゆくはそれが当たり前になる世界を目指して、情報メディアやキャンプ用品のレンタル、穴場のキャンプ場が見つかるマップアプリなど、様々なサービスを提供しています。キャンプは経験の無い人にとって、ハードルが高いと思います。必要なモノやキャンプ場の予約、マナーなど、どうしたらいいかわからない、そんな方のために、Webマガジン「hinata」で『イチから学ぶ“キャンプ”の始め方』を公開しており、必要なものをキャンプ場まで直送。その場で返却できるようなサービスを展開しています。
現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。
大学では化学を専門に研究し、大学院まで進みましたが、商品化までの時間が長いことから、もっとスピード感のある業界に行きたいと思いIT系企業にエンジニアとして就職しました。その中で、だんだんコンサル業務の比率が増えていき、せっかくなら大手で挑戦してみたいと思い転職。そこでは、経営やリスクマネジメント、会計などいろいろと学ぶことができましたが、今度は経営の実務をやりたいと思うようになって。その時に、友人からvivitを紹介してもらい、アウトドアが好きだったことや、アウトドアを通じて人の人生を豊かにするという理念に共感したので入社しました。
コロナ禍でキャンプがブームとなりましたが、その時期に事業を拡大するための戦略などはありましたか?
キャンプ自体は、コロナ前から成長産業だったのですが、コロナ禍におけるブームの過熱感はすごかったですね。一方で、初めての人が大量に来るとマナーが悪くなるなど問題は必ず起こると思っていたので、メディアとして啓蒙していこうと使命を持っていました。ビジネスとしては、初めての人の流入が増えたことから、もっと使いやすくなるように、多数のキャンプ場と提携し、キャンプ場で「hinataレンタル」の商品を受け取り、返却できるようにしたことや、設営など困る方も多いのでカスタマーサポートの体制を強化しました。また、提携しているキャンプ場のHPにも、「hinataレンタル」が対応していることを分かりやすくしてもらい、相互に送客する仕組みを作りました。その結果もあり、サービスは大きく成長しています。
「hinataレンタル」はどういう場面で利用されているお客様が多いですか?
まだキャンプ用品を持っていない方はもちろんなのですが、最近だと、『家にテントなどを置けないけど、キャンプに行きたい!』という方々にも、頻繁にご利用いただいています。
キャンプって、テントや焚き火台、アウトドア料理の用品などを揃えようとすると家のスペースを圧迫します(笑)。また、雨が降ったら『テントが泥だらけ!』な時もあるので、清掃など意外と手間がかかる。その点、レンタルであれば、キャンプ場で受取できて、清掃いらず。さらに、その場で返却も出来る。キャンプをもっとライトに楽しみたい方々には、そういった点が喜ばれています。
高校生に利用してほしいサービスはありますか?
「hinataレンタル」でキャンプを体験してほしいです! 家族で利用するのはもちろん、友達同士でも! いつもと違う景色を見ながら焚き火をしたり、夜ふかしをしたりするのは、ちょっとした特別体験になると思います。ぜひ、一度キャンプを企画してみてください。困った時は、インストラクターが相談に乗りますよ。
那須さんが思うキャンプの魅力を教えてください。
自然の中で何もせずボーっとするのは、最高の贅沢じゃないですか。今の高校生は、毎日勉強やテストに追われながら、TikTokとかYouTubeを見たりと忙しそう。情報に埋もれて、疲れることがあると思います。大人もそうで、日々何かしないといけない、効率的にやらないといけない、とつい考えてしまいます。自然の中では、その時、目の前にあるもので楽しめばいいんです。仲間と綺麗な景色を見る、焚き火を眺めて普段話せないことを話してみる、五感で自然を感じながら、素敵な時間を楽しめるのがキャンプの醍醐味だと思います。たまには、キャンプでデジタルデトックスしてみませんか?
キャンプで学べることを教えてください。
チームワークや段取りを組む力、臨機応変に対応する力が身に付くと思います。テントを1つ立てるにも、指示係、ペグを打つ係、ポールを立てる係に分かれ、協力してテントを組みます。初心者が真っ暗闇でテント立てるのは本当に大変なので段取りが大事です。また、キャンプは自然相手なので、天気を読まなくてはいけません。テントを立てるにも、テントの選び方や配置、風向き、一つひとつ考えます。しかしいくら考えても、完璧にはいかなくて。どんなに事前準備をしても当日誰かが忘れ物したりするので、そういう時の臨機応変力が身につきます。
那須さんが体験したキャンプ中のハプニングを教えてください。
友人3人でキャンプに行った時に、強風でテントが壊れました(笑)。夜にテントの中で寝ていたら、突然ポールが折れてぺちゃんこになって使えなくなったんです。その時は友人のテントで寝ました。意外とテントが壊れるハプニングは多くて、テントが吹っ飛んでいるところも何度も見ています。それでも、キャンプはおもしろいのでやめられないんですよね(笑)。
現在の仕事のやりがいを教えてください。
サービスを実際に利用いただいている姿を見たときです。イベントでは、ひとつのキャンプ場で、うちの用意したテントが何十張りも置かれていて。みなさん思い思いに使ってくれている。そういった、喜んでいただいている姿が目に入ったときは、頑張っていてよかったなと、シンプルにやりがいを感じます。
仕事をする上で持たれているポリシーはありますか?
まずは自分が好きなことや関心が高いことを仕事にすること。そのうえで、社会や一緒に働いている人に、どういう価値を提供できるのかを考えることの2つですね。仕事は自分の生活の中で多くの時間を占めるため、好きなことをやったほうが単純に楽しく、時間と熱量をかけて行うので、意義を感じられるものが良いと思っています。
高校生にメッセージをお願いします。
キャンプが好きで会社を経営している立場として、キャンプの魅力を伝えると、キャンプでは、計画を立てたり、段取りよく行動したり学べることも多いです。仲間と一緒に時間を過ごして、綺麗な景色を見て、アクティビティをして、ご飯を作る。自分たちで計画したことを自分たちの手で丸っと体験できるのがキャンプならではの魅力だと思います。遊ぶ時は全力で遊んで、真面目に取り組む時は真剣に取り組む。キャンプは、自分たちの力で成長できる最高のアクティビティなのでぜひ挑戦してみてほしいです。
お仕事言葉辞典 アウトドア用品レンタル・メディア運営会社代表取締役編
【デジタルデトックス】 でじたるでとっくす
スマートフォンを置きデジタル世界から一時的に距離を置き、リアルなコミュニケーションや自然とのつながりに心を委ねて、心身の疲労回復を促す取り組み。キャンプが人気の理由の一つになっている。
お仕事道具見せてください
マウンテンパーカー
自然と向き合うキャンプでは、気温や気候が変わりやすいため、防水性や防風性、耐久性に優れた軽量のマウンテンパーカーを必ず持っていきます。
INFORMATION
\vivit株式会社で運営している『hinataレンタル』/
公式サイト
https://hinata-rental.me