第68回の“全国高校生NEWS”は、宮城県の公立高校で唯一観光科がある宮城県松島高等学校。
ホテル実習やガイドを行い、松島の魅力を多くの人に発信する高校生に話を聞きました。
◆日本三景の土地を活かした学びとビジネスマナーを身につける
宮城県松島高等学校観光科は、生徒たちがツアーガイドとなり観光客へ松島の魅力を発信しています。瑞巌寺や円通院といった歴史的建造物が多くある土地を活かし、将来的に観光産業に携わる人材を育成する目的で2014年に新設されました。そして、東日本大震災からの復興という面において、観光客を増やすことで内側から宮城県を元気にしていこうという想いがあったのではないかと、観光科の岩本先生は言います。
観光科の授業の特徴は実習が多いこと。1年生は販売実習、2年生はホテル実習があり、10日間から2週間、ベッドメイキングや温泉の掃除、配膳など、一般的な宿泊業の仕事の多くを体験します。その中でも1年生は、ビジネスマナーを中心に松島の歴史や知識をつけるため、独自のガイドノート作りが主になります。2年生ではそのノートを活かし、観光客に対してガイドを実践! 実践を繰り返しながら、ガイド中のポイントや発見を書き込み、知識をアップデートしていきます。また研修で京都へ行き、旅行好きの人をターゲットに松島を知ってもらうきっかけを作るため、宮城県の観光をPRすることにも取り組んでいます。そして3年生は、自分たちだけのオリジナルのガイドルートや企画を作成! そのガイドプランを観光商品として旅行会社を通じて一般客に販売します。赤坂さん(3年)が考えているのは、松島の花を使ったハーバリウムボールペンを作れる体験型のプランです。複数のアイディアから一つのプランを作成するため採用されないものもありますが、生徒たちの多くが地元の特産品を利用したアイディアを考え、それらは全て松島への愛がこもったものになっています。
また社会人にも負けない徹底したコミュニケーション力とビジネスマナーを学べるのも観光科の魅力。観光客と話すことが多く自然とコミュニケーション力が身につき、そのスキルは実生活でも役に立つそうです。ビジネスマナーの面では、授業の前に服装や頭髪、爪など、身だしなみの確認をするビジネスマナーチェックを実施。挨拶の声、お辞儀の仕方といった細かい部分まで確認します。社会に出ると挨拶で第一印象が決まることが多いため、松島高校では初対面の人に好印象を与え、誰にでも愛されるような人材を育成しています。
最後に赤坂さんに松島の魅力を教えてもらいました。「日本三景として有名な松島は、住む人たちの人柄が優しく、つながりを大切にしています。食べ物もとても美味しく、特に牡蠣カレーは松島でしか食べることができないおすすめのメニューです。夏になると円通院のバラ園が、秋には瑞巌寺の紅葉が素敵です。夜にはライトアップされてとても綺麗なので、ぜひ松島へ遊びに来てください。」
宮城県宮城郡松島町にある公立高校で、普通科と観光科の2つの学科があります。観光科では、普通科との共通科目の他に、専門的な知識学習として「地元学」「観光基礎」「観光実践」といった独自の科目を多く設定。ガイドや実習などの経験を通してコミュニケーション能力とビジネスマナーを学び、未来の宮城県の観光産業を支える人材を育成しています。