意外と知らない法律や税金などの問題を、士業のプロに教えてもらう連載企画。難しい話も、自分のことなら大事な話! 未来の自分の役に立つかもしれない話を教えます!
裁判所や法務局に提出する書類を作成する司法書士と、官公署に提出する書類、権利義務または事実証明に関する書類を作成する行政書士。今回は、司法と行政それぞれに提出する書類作成のプロの仕事内容について勉強していきます。
Q.司法書士と行政書士は、同じ“書士”という漢字が付いているけど、
具体的にはどんな仕事をしているんですか? 2つの仕事の違いについて教えてください。
資格を持っている人でないとできない“独占業務”がありますが、司法書士と行政書士の仕事では、一部の業務内容において被っている部分もあります。それでは司法書士と行政書士が作成している書類について説明していきます。
■司法書士と行政書士の仕事の違いとは?
司法書士が作成する裁判所や法務局などに提出する書類と、行政書士が作成する市役所や官公署といった行政に提出する書類とは一体何なのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
●独占業務
不動産登記・商業登記
地方裁判所に提出する書類作成など
※登記とは…土地、建物等の不動産や会社の重要事項などを法務局の登記記録に記載し、取引の安全を図るための制度。
●独占業務
許認可申請書※1の作成
権利義務※2、事実証明※3に関する書類の作成
※1許認可申請とは…新しく事業を行うために都道府県や保健所といった行政機関から許可や認可を得るために提出する書類
※2権利義務に関する書類…会社を運営していく上でのルールをまとめた「定款(ていかん)」など
※3事実証明に関する書類…実際の建物の配置、構造などを示した見取り図の作成
司法書士と行政書士の仕事には上記のような違いがありますが、一方で、司法書士と行政書士のどちらもできる共同独占業務もあります。日本に住んでいる外国人が日本国籍を取得する際に提出する“帰化許可申請書”、検察が不起訴にした判断が妥当だったかどうかを、有権者からくじで選ばれた11人が審査する“検察審査会”で提出する書類の作成などは、司法書士・行政書士どちらも対応できます。
■具体的にはどんな書類を作っているの?
登記や許認可申請など、難しい言葉ばかりで想像しにくい人もいると思います。それでは、身近な例で考えてみましょう。
不動産の名義変更を行うための遺産分割協議書等の作成、登記申請代理を行う不動産登記。
会社を作りたい
会社を設立するための株主総会議事録、定款の作成、登記申請代理を行う商業登記。
認知症等で財産管理が難しくなった
後見人として財産管理を行うため、家庭裁判所へ提出する申立書の作成と提出を行う後見業務。
日本での在留許可申請をするための書類作成と申請を行う。
※申請については、別に研修を受ける必要がある
自分の飲食店を開きたい
飲食店を経営するための飲食店経営許可の申請。さらに、接客の種類によって、別の申請書を作成する場合もある。
車を購入した
車両を登録して初めてナンバーが付与される。そのための必要な書類作成から手続きまでを一貫して行う。
■まとめ
私たちの身近なところの法的なサポートをしてくれる司法書士と行政書士。将来、登記や新事業を始める時の許認可申請に困った時は、司法書士や行政書士にぜひ相談してみてくださいね。