VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部

第37回目のSpotlightは秋田県立羽後高等学校の「郷土芸能部」です。羽後高校の郷土芸能部は、古くから羽後町に伝わる郷土芸能“西馬音内盆踊り”の演舞を日々行っています。かがり火を囲んで行われる幻想的な郷土芸能“西馬音内盆踊り”を通じて、地域の魅力を発信する高校生を紹介します。
VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部西馬音内盆踊りって?
およそ700年前に始まったと言われる、秋田県羽後町に伝わる郷土芸能。1935年、東京での初公演をきっかけに形式が整えられ、1981年には、高い芸術性を有する民俗芸能として国の重要無形民俗文化財に指定されています。お囃子の音色に乗せて、編み笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り手が、かがり火を囲んで踊り、囃子方、踊り手、かがり火が繰り広げる夢幻の世界に観客は酔いしれていきます。

VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部夢幻な雰囲気を作り出す西馬音内盆踊りは、踊り手全員が見事に揃った踊りと、その踊りの美しさが重要。指の先にまで意識を集中させ、綺麗な形を徹底していきます。
VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部この日は秋田県の高校が参加する「郷土芸能日本音楽合同発表会」のリハーサルにお邪魔しました。舞台には大きな満月が浮かび会場はさらに幻想的に。

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― 郷土芸能部に入ったキッカケは?

佐藤夏姫: 私は中学校で盆踊りクラブに入っていて、盆踊りが楽しいなと思っていたんですけど、そんな時に姉が羽後高校の郷土芸能部に入ったので、私もこのまま盆踊りを極めたいと思って高校入学と共に郷土芸能部に入りました。

佐藤潮音: 私は小学5年生の時からおばあちゃんの影響で地域で西馬音内盆踊りを踊ってはいたんですけど、高校ではホッケー部のマネージャーをしていました。ただ、郷土芸能部の踊り子が少ないこともあり、最初は助っ人として参加したんです。そこから本格的に人数が少なくなってきたので正式に部員になりました。

― 実際に部活動として西馬音内盆踊りをやってみてどうでしたか?

佐藤夏姫: 部活では部員同士で踊りを教え合うことが多いのですが、今まで人に教えるという立場を経験したことがなかったので、最初はすごく難しかったです。どうすればいいのかが全然分かりませんでした(笑)。その中でもどうにか教えていくことで、人への伝え方などを学ぶことはできましたね。そもそも最初は自分自身が覚えるのも大変だったんですけど、もうそれは練習を重ねて体で覚えていきました。

佐藤潮音: 私は小学生の時から地元の盆踊り大会で友達と一緒に踊ったりしていたんですけど、部活に入るまではそこでしか踊ったことがなかったので、いろいろな場所に行って踊るということ自体が初めてでした。地元の人以外にも西馬音内盆踊りを見てもらえる機会が増えたので、良かったなと思っています。

― お二人が思う西馬音内盆踊りの魅力を教えてください。

佐藤夏姫: 傘や頭巾を被って顔が隠れた状態で、かがり火に照らされて踊るのがすごく幻想的に見えるので、そこが一番の魅力だと思います。

佐藤潮音: 小さい子はその頭巾が怖いっていう子もいて、それはちょっと申し訳ないなって思ったりするんですけどね(笑)。でも大人の方はカメラを向けてくださったり、終わったら“すごく綺麗だった”って声をかけてくれたり、興味を持ってくれる方も多いので、そういった部分がすごく嬉しいです。

― 郷土芸能部としての今後の目標を教えてください。

佐藤夏姫: 羽後高校の郷土芸能部は人数が少ないので、まずは部員を増やしたいです。まずこの郷土芸能部、西馬音内盆踊りに興味を持ってもらって、踊りやお囃子をやる人が増えてくれれば良いなと思っています。

佐藤潮音: やっぱり人数は、この郷土芸能部の一番の課題でもあります。今の部員たちには踊りはもちろん、お囃子も覚えてもらって、新しく入ってくる人たちに“こういうものがあります”というのをきちんと紹介できるようになってほしいなと思っています。

VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部

VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部踊りの際にはこの「彦三頭巾」という黒い布をすっぽり被ります。「目穴」を目の位置に合わせ、頭巾を止めるために手ぬぐいなどでハチマキをします。
VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部こちらも踊りの際に被る「編み笠」。イグサで作られている半月状の傘で、前後に大きな反りが入っているのが特徴です。
VOL.37 秋田県立羽後高等学校 郷土芸能部踊りを行う際に囲う“かがり火”。羽後町で行われる西馬音内盆踊りでは、長い道に何個も連なったかがり火を囲い、細長い一つの輪が作られるそうです。

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