佐賀県立唐津南高等学校 虹ノ松原研究班「学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原」

第74回の“全国高校生NEWS”は、日本三大松原の一つとして知られている佐賀県“虹の松原”の環境保全と啓発活動に取り組んでいる、佐賀県立唐津南高等学校の虹ノ松原研究班を紹介します。

佐賀県立唐津南高等学校 虹ノ松原研究班「学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原」
学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原

静岡県の三保松原、福井県の気比の松原と並ぶ、日本三大松原の一つである佐賀県の虹の松原。虹の松原は、景色がよい土地で知られている“名勝”の中で、特に価値の高いものとして特別名勝に指定されています。そんな虹の松原の環境保全と啓発活動に取り組んでいるのが、佐賀県立唐津南高校の虹ノ松原研究班です。2003年に発足され、今年で21年目となったこの活動では、松原内の清掃や、小学生までの子どもを対象としたワークショップの開催のほか、松原内にある有効資源を活用した商品開発などを行っています。また、農業高校生が自分たちの専門分野の活動成果を発表する“農業クラブ全国大会”にも出場。虹の松原を知ってもらい、後世につなげていくための活動に日々取り組んでいます。

虹ノ松原研究班の主な活動である松原内の清掃活動では、ボランティアを募り、清掃に参加した人のサポートなど、運営を行っています。ボランティアにはワークショップに参加した子どもをはじめ開発した商品の購入者が集まり、多い時には一度に600人近くになるそう。この清掃活動では、3年間で約170トンの松葉やゴミを集めました。

清掃活動で集めた松葉やゴミを使って毎月のように行うワークショップも、多い時は100人を超える参加者が集まる人気の活動です。松ぼっくりや松葉で作るクリスマスツリーや鯉のぼり、捨ててあったプラスチックを再利用して作るフラワーポットなど、季節に合わせた作品を作っています。ワークショップを行う時に大切にしているのは、“虹の松原のことを知ってもらう”ということ。ワークショップ開始前には、虹の松原の歴史や現状などを説明します。参加した子どもに興味を持ってもらうだけではなく、その親にも虹の松原について伝えるため、制作物にはQRコードが印刷されているシールを貼付。QRコードから活動をまとめたサイトに進むような導線を作り、webを活用したPR活動も積極的に行っています。

そして近年力を入れているのが、松葉を利用した商品開発です。「松葉を食べて守ろう」という思いから、松葉をパウダー状に加工し、飲料や焼き菓子に使用しています。地元のスーパーで販売中の『松葉サイダー』は、松の香りが広がり繰り返し飲みたくなる人気の商品! そのほか、ホップの育成から販売まで携わっている地ビール『KARATSU THE BEER』や、松葉が入ったクラフトジンを開発。品質をさらに良くするため、蒸留酒メーカーにインターンシップに行くなど、研究を重ねています。ワークショップと飲料開発を担当している岩本くん(3年)は「400年受け継がれてきた松原を僕たちの代で終わらせないためにも、松原を持続可能なものにしていく取り組みを多く作っていきたい」と夢を語りました。

佐賀県立唐津南高等学校 虹ノ松原研究班「学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原」▲小学校や地域のイベントで子ども向けのワークショップを開催。松ぼっくりや松葉を使い、クリスマスツリーや鯉のぼりなど、季節に合った作品を制作しています。
佐賀県立唐津南高等学校 虹ノ松原研究班「学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原」▲今年度から国際交流にも力を入れており、年度内に約20カ国の方と交流予定。後世へ虹の松原をつないでいくために、各国の環境保全などを学んでいます。
佐賀県立唐津南高等学校 虹ノ松原研究班「学んで、作って、時には食べて 後世に受け継ぐ虹の松原」▲佐賀県で開催された国民スポーツ大会で松葉パウダーを使用したクッキーを配布しました。配布前から列を作って待っている人もおり、大好評だったそうです。
佐賀県立唐津南高等学校
佐賀県唐津市にある公立学校。生産技術科・食品流通科・生活教養科の3つの学科を設置しており、農業と家庭の専門的な知識と技術を習得し、関連産業を担う人材を育成しています。また、虹ノ松原研究班など、地方公共団体や農業大学、NPOといった地域との連携を図り、地域貢献を実践。唐津に根ざした「開かれた学校づくり」に取り組んでいます。