【高校生のための士業入門】社会保険と労務に関する課題を解決する専門家・社会保険労務士について解説!

意外と知らない法律や税金などの問題を、士業のプロに教えてもらう連載企画。難しい話も、自分のことなら大事な話! 未来の自分の役に立つかもしれない話を教えます!

今回は社会保険労務士編!

社会保険と労務に関する課題を解決する専門家・社会保険労務士。通称・社労士は、健康保険や年金、雇用保険といった国の社会保険制度に関することと、賃金や人事、就業規則の作成といった会社の制度やルール等の労務に関する専門家です。社労士は、会社と労働者が安心して働ける環境を守るための重要な仕事をしています。
今回は、春に社会人や大学生になる高校3年生の皆さんにはもちろん、現在アルバイトをしている高校生にも知っておいてほしいことを紹介します。

Q.大学生になったらアルバイトをしたいと考えていますが、新しい環境で社員さんや先輩とうまくやっていけるか不安です。“こういうのはルール違反”や“こういう環境は気をつけた方がいい”といった例があったら教えてください!

A.アルバイトも労働基準法の対象であるため、働く際には最低賃金や労働時間、有給休暇などの権利を理解しておくことが大切です。大学生ですと、テスト期間やゼミ、急な体調不良など、アルバイトを突然休まなければならないこともあると思います。例えば、“テスト期間に休みたくても休めなかった”、“休むなら代わりのスタッフを探せ”と言われた、などという会社は良い労働環境とは言えません。一スタッフとして働く上で自分を守るために、少しでも労働環境に疑問を感じた時は専門家である社労士や周囲の人に相談しましょう。

こんな場合には気をつけよう!
前述したように、アルバイトも労働基準法の対象です。“アルバイトだから”といって、シフトを強要されたり、激しく叱責されて尊厳を踏みにじられていい理由にはなりません。3つの例を用いて、危険なアルバイト先の見極め方を学んでいきましょう。

<CASE1>
「休むなら代わりを探せ」と言われたり、休みを認められなかった……

学生生活を尊重してくれない会社は要注意!
勤務日のシフトを変更する場合は、本人と会社の間に合意が必要です。シフトの無理強いや代わりのスタッフを探せといった行為も基本的には禁止されています。スタッフを確保するのは会社の仕事なので、アルバイトには代わりのスタッフを確保する責任はないのです。シフトの問題にかかわらず、休みをもらえないなど学生生活を尊重してくれない会社には注意しましょう。

<CASE2>
辞めることを伝えたら「○月まで待って」と言われた……

退職を認めないことは基本的にNG! 2週間前には辞めることを伝えよう!
退職を認めない権利は会社にはありません。アルバイトや正社員問わず会社を辞めたい場合は、雇用期間の定めがある場合を除いて、2週間前に伝えれば法律上辞めることができます。一方、何も言わずに無断で辞めるのは、契約違反となり逆に訴えられてしまう場合もあるため絶対にしないようにしてくださいね。

<CASE3>
お客さんが見ているところで激しく叱責された……

疑問がある場合はすぐ相談を! 問題はそのままにしないで!
昨今問題になっているパワハラの定義は意外と広く、過度な叱責だけでなく、仕事の無理強いや、逆に仕事を与えないという行為、仲間はずれもパワハラに該当する可能性があります。誰にもあなたの尊厳を踏みにじる権利はないんです。少しでも異変を感じたら、一人で我慢せずに周りの人や社労士に相談しましょう。

■まとめ

上記で例を挙げているからといってその会社が悪いというわけではありません。アルバイト先の会社の人も、アルバイトとして入ってきた以上はチームの一員として皆さんを育てる責任があります。一つひとつの状況を自分で見極めて楽しく働いてほしいです。自分が成長できるアルバイト先にぜひ出合ってくださいね。

困った時は社労士に相談!

各都道府県の社労士会では、無料で相談できる総合労働相談所を設置しています!
https://www.shakaihokenroumushi.jp/consult/tabid/214/Default.aspx

監修:東京都社会保険労務士会
https://www.tokyosr.jp