兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部「災害について学んだ高校生が作った 新感覚災害食“ふわ姫パン”」

第78回の“全国高校生NEWS”は、兵庫県立姫路商業高等学校の地域創生部。「商業高校フードグランプリ」でグランプリに輝いた災害食“ふわ姫パン”の開発や、地域活動に積極的に取り組む高校生を紹介します。

兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部「災害について学んだ高校生が作った 新感覚災害食“ふわ姫パン”」
災害について学んだ高校生が作った
新感覚災害食“ふわ姫パン”

昨年11月3日に開催された「第11回商業高校フードグランプリ」。このコンテストで兵庫県立姫路商業高等学校の地域創生部が開発した、7年保存が可能な災害備蓄用の缶詰パン『ふわ姫パン』が、グランプリに輝きました。『ふわ姫パン』は、「どこでも・誰でも・手軽に・そのまま・美味しく」の5つをコンセプトに取り入れ、災害時でも美味しく食べられる災害食として開発。阪神・淡路大震災の被災地である兵庫県の姫路商業高校と、東日本大震災で被災した宮城県の宮城農業高等学校の学生が連携して作りました。

『ふわ姫パン』の特長は、ふわふわとした食感と缶を開けた瞬間から感じるイチゴの香り。これまでの固く乾いた保存食のイメージを払拭するため、名前に“ふわ”を入れ、一目見ただけでパンの柔らかさが伝わるようにパッケージにもこだわりました。また、原材料として兵庫県産の卵と宮城県産のイチゴを使用。災害時に不足しがちなタンパク質とビタミンを摂取できるように食材も工夫しました。実際に購入したお客様からは「朝ご飯やおやつにも食べたい」という声もいただいているそうです。

そもそも地域創生部で商品開発を始めたのは、防災について学んだことがきっかけでした。部では阪神・淡路大震災と東日本大震災の2つの災害に注目。震災について語り継ぐ“語り部”の方に直接話を聞いたときに部活動として何かできることはないかと考えたそうです。そして調べていくうちに、災害時の食料の確保が課題であることが判明。阪神・淡路大震災を機に災害に備えて備蓄する人は増えた一方で、東日本大震災のときには備蓄していた食料の賞味期限が切れていて、たくさん廃棄されていたことがわかりました。そこで賞味期限が長く、且つ水を使わなくても食べられる食料を開発することにしたそうです。昨年4月には部活動の一環として、能登半島地震で被災した地域にボランティアへ。そこで改めて、今後起こるかもしれない災害に対して、姫路の人たちだけでなく全国の人たちに防災を意識してもらわないといけないと強く思いました。そしてボランティアでは耳の不自由な方とも交流。ものごとを伝える際には、さまざまな手段があった方がいいと気づくことができたそうです。

11月3日の大会当日。プレゼンでは、手話も取り入れて発表しました。「当初の予定では口頭でのプレゼンのみでしたが、備える大切さをいろいろな人に知ってもらいたいと思い手話を取り入れた」と毛利くん(2年)。また語り部の方の話も入れ、表現の仕方も工夫。その結果、プレゼンテーション優秀賞も受賞することができました。インタビューの最後に毛利くんは「災害に備えることは大事ですが、何より大事なのは災害が起きないこと。ふわ姫パンは7年保存なので、ぜひ7年後に食べてほしい」と語りました。

兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部「災害について学んだ高校生が作った 新感覚災害食“ふわ姫パン”」▲宮城県農業高等学校へ訪問し、意見交換会を実施。オンラインでのやり取りが中心でしたが、実際に会って話すことで、農業高校ならではの意見も聞けて勉強になったそうです。
兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部「災害について学んだ高校生が作った 新感覚災害食“ふわ姫パン”」▲グランプリで名前が呼ばれたときは涙が止まらなかったそう。顧問の北川先生は「コンテスト後、数週間は大会時の動画をおかずにご飯が食べられるほど感動する内容だった」と話しました。
兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部「災害について学んだ高校生が作った 新感覚災害食“ふわ姫パン”」▲昨年8月にフィリピンへ行き、現地の学生と交流しました。現在はストロベリー味のみ販売のふわ姫パンですが、このつながりからフィリピンのカカオを使用したチョコ味のものも開発予定です。
兵庫県立姫路商業高等学校
兵庫県姫路市にある商業高校。「自主 創造 友愛」の理念のもと、文武両道を目標に掲げ、ビジネスの学びを通して社会を活性化する資質・能力の備えた人材を育成。また文部科学省からDXハイスクールに指定されており、AI等の先端技術の研究にも取り組んでいます。キャリア教育に力を入れており、さまざまなことに積極的に挑戦し続けています。
◆兵庫県立姫路商業高等学校 HP:https://dmzcms.hyogo-c.ed.jp/himeji-chs/NC3/