2020年7月19日、本来であれば、リアルライブを開催する予定だったKT Zepp Yokohamaにて、SKY-HIにとって無観客としては最大規模となるライブを開催。
本来は観客が動員されるはずだった客席フロアには、多くの照明機器とカメラが配置され、レーザーが会場全体に縦横無尽に張り巡らされるなど、「無観客」だからこそ可能な演出システムが実装された。
今回のライブの冒頭シーンは、新たな感覚でリアルと別次元のディレクションを持つARライヴいう位置付けで「この渦中だから、仕方がなくオンラインで観るというライヴではなく、この渦中だけど、それと関係無くオンラインで演る意味のあるライヴを。」という全体コンセプトのもと、プロジェクションやセンシング、人工知能など多くの最先端テクノロジーを駆使し、CESやMUTEKなどの世界的イベントでイマーシヴ(没入型)なXRコンテンツを発表してきた「2ndFunction」「REALROCKDESIGN」「AVC」らと本人による綿密なミーティングを経て完成した。
SKY-HIがMCでも「1ができないなら1よりかっこいいAとかBをお届けすると自宅ワンマンから考えてきた」と言ったように、熟考を重ねて可視化された演出となった。まるで映画を観ているかのような壁などの制限を感じさせないスペーシーな世界観からスタートし、オンラインならではのアングルを活用した、一人称と三人称視点が行き交う演出には、ファンからもインターネット上に驚きの声が上がっていた。
ベストアルバムのリリースを控えたタイミングだからこそ、新旧の楽曲、そして映像による演出をも織り交ぜたステージは、この瞬間を体感した誰もが感慨深いものになっただろう。
ライブは、17日にアルバムに先んじて配信された新曲『Sky’s The Limit』からスタート。
初披露を予告していただけにファンからの期待も高かったこの楽曲も、こだわり抜いた演出でMusic Videoとは一味違う妖しさを纏って披露。ファンも一曲目に期待を煽ってきた新曲を持ってくることに対し、配信上のコメント欄はもちろん、「のぞき見同時配信」をしていたYouTube、Twitterでも驚きの声が多く上がった。
パーティーチューン『Limo』は前半はアコースティックアレンジで披露。椅子に腰掛けて、あたたかさのある光に包まれ高らかに歌う姿には、ファンからは「演出と楽曲の融合っていう感じ」「その場にいなくても温度が伝わってくる」と感嘆の声が上がった。
メジャーデビュー曲『愛ブルーム』をはじめ、”-RESTART-“ という名に倣う様にキャリアで発表した楽曲の隅々まで、今SKY-HIが持ち合わせるあらゆるスキルを全て駆使して披露していく。
『スマイルドロップ』ではドラムを叩きながらフロウを放つという「SKY-HIならでは」の唯一無二のパフォーマンスで魅了。
バンドメンバーと、ラップや歌だけでなく、己のでき得る楽器スキルをも遺憾無く発揮していく。
これに留まらず、久しぶりとなったバンドメンバーとの共演からライブが出来る歓びは溢れ出ており、オンラインライブ「だからこそ」の距離感で、音に、光に、映像に、言葉に包まれ、楽しそうにそこに身を委ねて生まれる世界観を画面いっぱいに詰めこんだ「オフラインライブに敵わないこそできる、オンラインライブの最高クオリティ」が間違いなくそこにあった。
オンライン上では音に包まれるSKY-HIを見ることができ、「幸せそう」「楽しそう」というコメントが多く見られ、多幸感をより間近で感じられ、また映像による演出でより伝えたいメッセージを前面に打ち出し、投影されているビジュアルを指差し、まるでその言葉を吐きながら浴びるようにしてパフォーマンス。
客席で言えば最前列を優に超えた位置からのカメラワークも合いまって、「オンラインならでは」の距離感で視聴者へメッセージを届けていった。
SALUとの楽曲『SS』は和風かつクラシカルなアレンジとこの日のために書き下ろした新しいヴァースを披露。
これを皮切りに始まる感情的なラップゾーンは、身振り手振りとも共鳴する映像やフロアをフルに張り巡らされるレーザー、世界観に包まれながら、世界観を生み出しながらパフォーマンス。
2ndアルバム『カタルシス』に2つに分かれて収録されている楽曲『フリージア』は、前後半でまとめながら、画面越しの視聴者へ訴えかけるように言葉を放っていく。
MCでは「決してポジティブなことが続くわけではない」「この世の中は最高のことばかりじゃないが、最高に近づくことができる。そういう存在が俺たちだと思う。」と語り、今、こういう最中にライブを行うことの意味、伝える意味を、「音楽家として」改めてここに提言。それを経て、「優しい歌を」と話し、本編はラストスパートへ突入。
感情たっぷりに歌い上げる『アイリスライト』、そして「音楽は止められない!」と言って『#Homesession』を軽快なステップと披露。「自分のことは一番自分が分からなくなっちゃう。でも自分と一番近くにいる人間は自分。そして、自分と違う人間を一人でも愛せたら。」と話すSKY-HI。この言葉の後に続けた”愛の歌”『Marble』は気持ちをこめて伸びやかに、あたたかくも力強く歌い上げていた。
ライブでは定番となってきている、続けての『I think, I sing, I say』では、改めてここに自身の ”友達” として共に音楽を創り上げたアーティスト仲間へ感謝と愛を示し、踊れるラッパーだからこその軽快なステップでステージを隅々まで縦横無尽に楽しみつつ、フリースタイルラップを披露。
視聴者に向けて「調子はどうだ!」と投げかけると、見切れないほどの「最高!」がコメントとなって返ってきていた。
本編は残すところわずかとなったところで、「生まれた感情に罪はない。人生やり直すことはできないけど、”生まれ直し”はできる気がする。」と話すSKY-HI。
全身を使ってこの言葉から始まった『New Verse』をまるで言ってきかせる様に歌う。
コメントでは「この曲が今日は一段と刺さる」「その言葉に救われている」などの声が数多く寄せられた。
そして定番、ファンに最も支持されている楽曲『カミツレベルベット』。
この日1番の笑顔と、煌びやかなライトに照らされてカメラに向かって耳を傾ける。コメント上でのシンガロンは言霊となってステージ上のSKY-HIの耳に届き、まるでそれを還すかのように
ひとりひとりにこの曲を届けるようにパフォーマンスをした。
本編ラストを飾ったのは、3rdアルバム『OLIVE』に収録されている『リインカーネーション』、この選曲にファンも感極まった様子。
“輪廻・転生“ を意味するこの楽曲タイトルにあるように、「何回でも会いにいく」と締め括り、本編が終了した。
SKY-HIとしては異例となる「アンコール」は胸キュン必至のラブソング『Blanket』からスタート。
アンコールへの喜びと「まさか」な選曲にファンのボルテージは最高潮へ。
そしてタイのポップスター・STAMPとのハッピーチューン『Don’t Worry Baby Be Happy』へ続く。
いよいよライブも佳境、手を掲げろと言ってバンドメンバーと拳を掲げて『Seaside Bound』、続けた『Double Down』では「アンコールやったからには休ませないぜ!」と視聴者を煽り、最後の楽曲『Snatchaway』へ。
ライブではシャウトが生まれる部分では画面越しにステージと視聴者が一体となり、「Everybody この世界を遊べ!」と最後のフレーズでリミッターが外れたところで、歴史を変える一夜は明けた。
オンラインライブはオフラインライブの代替品には絶対ならない ー
来年開催予定のツアーへの期待とファンとの再会を約束して、自身最大規模の無観客ライブは終焉。
約2時間半、全35曲、キャリアをかけた「今出せる」最高のパフォーマンスと最新技術をもってして生まれた、日本音楽史を変えるオンライン生ライブの最高傑作であった。
この模様はチケットを購入すれば、8月2日23時59分まで下記から見ることが出来る。
今からでも視聴して、前代未聞の融合を是非体感して欲しい。
また、ライブ前半の「のぞき見」はYouTubeで視聴可能。こちらも併せてチェックして欲しい。
【SET LIST】
Intro
SKY’s The Limit(初披露)
Simply Yourlife
Doppelgänger
Persona
Run Ya
何様
F-3
Limo
TOKYO SPOTLIGHT
Tumbler
Chit-Chit-Chat
愛ブルーム
スマイルドロップ
ナナイロホリデー
Name Tag
Walking on Water
SS
As A Sugar
フリージア
Young, Gifted and Yellow
LUCE
そこにいた
Over the Moon
アイリスライト
#Homesession
Marble
I Think, I Sing, I Say
New Verse
カミツレベルベット2020
リインカネーション
Blanket
Don’t Worry Baby Be Happy
Seaside Bound
Double Down
Snatchaway