さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第22 回目は、映像制作会社スタジオギフト代表取締役の照沼さん。世界中で数多くの映像が発信される今、“プロ”としてさまざまな映像を創り出している照沼さんに迫ります。
福岡県出身。高校生の時に観た映画をキッカケに映画制作に興味を持ち、芸術系の専門学校に進学。卒業後はテレビの映像制作会社に就職し、その後専門学校時代の仲間と共に映像制作会社であるスタジオギフト有限会社を起ち上げる。現在は同社の代表取締役として、企業のプロモーションビデオやテレビCMなどさまざまな映像作品を手がけている。
“これでいいや”と思ったら、すぐ時代に追い抜かれる
ー仕事内容を教えてください。
スタジオギフトという映像制作会社の代表取締役をしています。スタジオギフトでは、主に企業さんのプロモーションビデオや、テレビコマーシャル、最近だとweb上で流れているようなコマーシャルを制作しています。
ー映像の仕事を目指し始めたキッカケを教えてください。
もともとは高校生の時、映画作りに憧れていたところから始まったんです。それまで映画は友達と観に行く娯楽の一つだったんですけど、高校2年生の時に『ニュー・シネマ・パラダイス』という映画を観てから、映画を作るということに興味を持って。だけど僕が高校生の頃は今みたいにいろいろな情報があったわけでもないですし、どうやったら映画の世界を目指せるのかも分からなくて。だからひたすら映画を観ようと思って、高校2年生から受験中も休まずに映画を観続けて、たぶん2年間で300本くらいの映画を観たんじゃないかなと思います。高校卒業後は、東京の専門学校に進学して、そこで映画研究会のようなサークル活動で映画を作り始めました。
ーその後はどのように今のお仕事に就かれたのですか?
専門学校在学中に、ある劇団を紹介してもらいそこで手伝いをするようになって、その劇団での縁もあり、ある映像制作会社の社長さんが僕をご自身の会社に引っ張ってくれたので、そこからはテレビ番組制作の業界に入っていきました。それと並行して専門学校時代の仲間と集まって映画を作ったりしていて、ある日自分たちの作品をCMコンテストに出品してみたんです。その時出品した3作品の内、1つがグランプリに選ばれて。それまでもいろいろなコンテストに作品を出してはいたんですけど、最高でも準グランプリまでしかいったことがなかったので、かっこよく言えばその時に初めて“頂”を見ました。そこからはその仲間と僕の3人でスタジオギフトを起ち上げたという感じです。
ーお仕事をされる上で大変だと思うことを教えてください。
僕らの仕事って、20 年前だったら映像を作るという時点ですごく敷居が高かったですし、撮影自体もスマホで気軽に撮れるという時代じゃなかったので、その頃と比べると今は撮影したものをその場で編集してアップロードできてしまう時代で。誰でもできることのように思われてしまうことも多いんです。さらにこういった技術って年々幅が広がっていくので、そこに“プロとしてやっている”というのをどうやって上乗せしていくかというのを常に考えています。“これでいいや”と思ったら、すぐ時代に追い抜かれるなという危機感はずっとありますね。
ー映像関係の仕事を目指している高校生が今からできることはありますか?
僕も高校生や大学生の頃って、早く技術を身に付けたい、技術があればどんどん仕事ができるんじゃないかと思っていて。ただ、その頃諸先輩方に言われたのが、“技術なんて現場に行くようになればそこからいくらでも学べる。それよりも自由な時間がある今は、感性を磨け”ということで。当時は何言ってるんだって思いましたけど、実際に僕も技術的なものって現場に入ってから学ぶことの方が圧倒的に多かったですし、学校で学んでいたことって本当に基本中の基本だけなんだなって思いました。技術はその業界で働くようになってからで本当に十分なので、たくさんの作品を読んだり観たり、高校生の時はそういう時間を持ってほしいなと思います。
お仕事言葉辞典>>>映像プロデューサー編
【ポスプロ】 ぽすぷろ
ポストプロダクションの略。映像作品や映画の制作における撮影後の作業の総称のこと。映像の切り貼りなどといった編集作業をはじめ、特殊効果などを加えるエフェクト、音の編集や色の調整、納品形態への書き出しなども含まれる。
お仕事道具見せてください!
撮影に欠かせないものはやはりカメラ。さらに、高い位置からの映像を抑えるため、クレーンも駆使するなど、“プロ”としての映像制作を徹底していきます。