第2回目のテーマは“土木における最先端技術”についてです。
講師は第1回目に引き続き、東急建設株式会社の水野麻香さんです。
菅生:水野さんご自身も、現場で仕事をされることがあるんですか?
水野:現場の経験はあるんですけど、今はICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)推進グループに所属し、現場を支援する仕事をしています。ICTを現場に導入して
現場の働き方改革をするというのが主な業務です。
菅生:“土木”というと、どちらかというとアナログな作業というイメージが僕の中では強かったのですが、今はICTが導入されているんですね。具体的にどういった内容ですか?
水野:例えば、この正面図・平面図・側面図(図1参照)を見て、どんな立体ができるのかすぐに想像できますか?
菅生:僕、図面の立体化って一番苦手なんですよね(笑)。
水野:2D(二次元)だと、それを見た人それぞれが頭の中でイメージを作ってしまうので、正解が全員一緒になるとは限らなくて。イメージを共有するのがとても難しいんです。
菅生:確かにこの図を見ても訳が分からないですね。
水野:しかし、あらかじめ3D(三次元)になっていると、直感的にイメージが湧くので、二次元図面が理解出来ない方ともイメージが共有できるというメリットがあります。さらにその3D図面に、様々な情報を与えることができるんです。
菅生:3D図面に情報を与える? どんな情報があるんですか?
水野:例えば、これが木材を使用した構造物だった場合、材質がヒノキなのかヒバなのか、また産地はどこなのかだったり、いつ施工したのか、その強度など、建設にまつわる必要情報の多くを管理することが出来るんです。これを「BIM/CIM(ビム/シム)」(右記参照)と言います。ちなみに、測量ってありますよね。今までは基本、測量を見る側と、基準点を置いて合図する側の2人1組でやっていたんですけど、ドローンを飛ばして写真撮影することで、短時間で3D(三次元)測量が出来るようになりました。
菅生:ドローンが導入されているんですか!? しかも3D(三次元)! 今までの“土木”に対してのアナログなイメージが覆りました。最先端の技術が導入されるということは、現場で働く方々の安全も、今まで以上に確保されることに繋がりますね。
BIM/CIMは、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としています。
最新のICTを活用して、建設生産システムの計画、調査、設計、施工、管理の各段階において情報を共有することにより、効率的で質の高い建設生産・管理システムを構築します。
それにより、ミスや手戻りの大幅な減少、単純作業の軽減、工程短縮等の施工現場の安全性向上、事業効率及び経済効果に加え、副次的なものとしてよりよいインフラの整備・維持管理による国民生活の向上、建設業界に従事する人のモチベーションアップ、充実感等の心の豊かさの向上が期待されています。
出典: 国土交通省BIM/CIMポータルサイト
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimsummary.html
菅生:最後の質問になるのですが、水野さん自身が“土木”の仕事に携わって感じる“土木”の魅力を教えてください。
水野:“土木”って人々の生活に必要不可欠な仕事なんですけど、自分自身も、この意識って“土木”に携わってから実感が湧いてきたんです。やっぱり人々の安全や安心、快適な生活環境を守るために仕事ができているというのは、今の私のやりがいですし、誇りに思います。それが“土木”という仕事の一番の魅力ですね。
幼少期より”歌うこと”をライフスタイルとし、大学在学時はアカペラサークルに所属。現在配信している自身のYouTube番組「こっちのけんと毎週土曜18時」では、歌唱力を披露すると共に、彼女や家族のことなどをテーマとした雑談を展開中。実兄は菅田将暉(俳優・歌手)。
水野麻香(みずの あさか)
東急建設株式会社 土木事業本部技術統括部土木設計部 ICT推進グループに所属。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の活用を推進、支援することで、”土木”の現場における働き方改革の実現、生産性向上、現場の施工監理の高度化を目指す。