2021年が始まり、1ヶ月を終えました。冬は学生の皆さんにとっても入試や定期試験など、頑張らないといけないイベントが多いですね。このような情勢ではあるものの、きっと素晴らしい新生活が待っていますから、疑わずに前を向いて取り組んでいただきたいと思います。私たち税理士にとって冬の一大イベントというと、確定申告です。皆さん“確定申告”という言葉を聞いたことはありますか? 簡単に説明すると、1年間でいくら稼いだかを集計して国に報告することを言います。その歴史を辿っていくと、日本史などの教科書に出てくる“年貢”で、「1年間でこれだけお米が収穫できたので、大名様にこれだけお米を納めます」という行為の現代版ということになります。
高校生も確定申告が必要?
高校生の皆さんも確定申告をしないといけないか? という問いですが、答えは場合によってはYESです。しかし、ほとんどの人は確定申告をする必要はないでしょう。それはなぜか、解説をしていきます。今の時代、高校生でも自分でビジネスをしている人がいるかと思いますが、一般的にはアルバイトをしてお給料をもらっている人が多いと思いますので、そういった人に絞ってお話しをしましょう。アルバイトをしていた人で、下記に該当する人は確定申告をする必要があります。
●2020年中にアルバイトを辞めた
●2020年中にアルバイトを掛け持ちしていた
なぜ、確定申告をしなければならないかというと、実はこれ以外の人たちはアルバイト先で勝手に“年末調整”という手続きを通して確定申告をしてくれているからです。アルバイト先は、皆さんにお給料を払う立場ですから、1年間で皆さんにいくら給料を支払ったかは当然把握しています。この情報をもとに皆さんの年間で払うべき税金の金額を計算し、代わりに税金を国に納めてくれています。
一方で年の途中でアルバイトを辞めたり、掛け持ちでアルバイトをしていると、そのアルバイト先は皆さんの年収を正確に把握することができないため、年末調整を行うことができません。したがって、皆さん自身で確定申告をする必要が出てくるというわけです。
確定申告=税金を払う?
冒頭で、確定申告とは、1年間でいくら稼いだかを集計して国に報告する行為だと説明しました。稼いだ金額に応じて税金がかかりますから、確定申告と納税はある意味セットと考えてよいでしょう。
(1)1年間の収入を計算する
(2)税金を納める金額を計算する
(3)納税をする
しかし、確定申告が必要な場合でも、納税をしなくてよいパターンが存在します。
そもそも税金を支払うほど稼いでいなかった場合
前払いの税金が多く、追加で税金を払う必要がない場合
ケース1は、日本において年間の給料の合計が103万円以下であれば、税金を納める必要がありません。(一定の要件を満たした場合には130万円以下であれば納める必要がない)。そしてケース2についてですが、税金の前払いをしている場合に該当します。
どういうことかというと、日本には“源泉徴収”という制度があり、毎月一定額以上の給料を受け取る場合には、あらかじめ税金を天引きしておきなさいというものです。なので、もしかしたら皆さんも税金の前払いを行っている可能性があり、その場合にはケース2のように追加で税金を払うどころか、逆に前払いの金額が多すぎた場合には払いすぎた税金を返してもらえる可能性もあります。
ただ、ケース1にしてもケース2にしても自身で確定申告をしないといけないですし、ケース2で払いすぎた税金を返してもらう手続きも確定申告が必要だということは覚えておいてください。
さてさて、長くなってしまいましたが、皆さま理解できましたでしょうか? そういえば、前号の文末にお年玉をたくさんもらった人は確定申告が必要かも! というお話をしましたが、基本的には税金はかかりません。ただし、親せきに大富豪がいて、毎年お年玉は100万円なんて場合には“贈与税”という税金が発生しますから気を付けてくださいね!