お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンターは、2022年1月18日(火)に都立農芸高校にて、チリメンモンスターを活用して生物多様性について学ぶ海洋教育出前授業を実施した。このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環のイベントである。
海洋教育授業概要
・開催概要 海と日本PROJECTの一環で、高校1年生を対象とした海洋教育出前授業を実施
・日程 2022年1月18日(火)
・開催場所 都立農芸高校
・参加人数 生徒:33名、教員:4名
●プランクトンってどんな生き物?
都立農芸高校緑地環境科の1年生を対象に海洋教育出前授業を実施しました。はじめにプランクトンについて解説をしました。プランクトンとは、「水の流れに逆らって泳げない、または泳ぐ力が弱い生き物」のことを指します。この定義に照らし合わせると、実は大きなエチゼンクラゲも「プランクトン」に区別されます。プランクトン以外に「ネクトン(遊泳生物)」や「ベントス(底生生物)」の用語についても解説し、いろいろな生活様式があることを紹介しました。また、プランクトンは海の中の生き物でもっとも量が多く、食物連鎖で大切な役割を担っています。小学校や中学校で学習したことを少し思い出してくれたようでした。
●チリメンモンスターを観察してみよう!
チリメンモンスターとは、ちりめんじゃこの中に入っている小さな生き物たちのことです。海には様々な生き物がいることを実感してもらうために、色々な生き物が混ざった状態で観察ができるチリメンモンスター(「チリモン」株式会社カネ上)を用意して観察してもらいました。魚の仔魚は生まれてから少しの間だけ動物プランクトンの仲間に入ります。小さなトレーの中にほんの一握りのチリモンを入れましたが、様々な種類の生き物が見えました。生徒たちにはここからじっくりと観察してもらいました。
●マクロレンズで詳しく観察しました
今回はチリモンをより詳しく観察してもらえるよう、マクロレンズも用意しました。タブレット端末やスマートフォンのレンズの部分に装着すると、細かな部分までしっかりと観察ができます。黙々と作業をしていた生徒も、レンズをつけて観察すると思わず「おぉ!」と声をあげていました。
●マイチリモン図鑑を作ろう!
生徒たちには、チリモンの分類をしてもらいながら、観察の記録としてマイチリモン図鑑を作ってもらいました。種ごとに分類し、いろいろな種がいることが一目で分かるように整理してもらいました。代表的なチリモンが掲載されている資料と見比べながら、どのような種がいるのかじっくりと考えている生徒もいました。小さいながらも形がしっかりしているチリモンにみなさん大変興味を示していました。
●生物多様性とは?
授業の最後に、今回一番伝えたかったメッセージとして生物多様性について解説しました。生物多様性は「種の多様性」、「遺伝子の多様性」、「生態系の多様性」の3つのレベルで整理することができます。今回は主に「種の多様性」について実感をしてもらえたのではないかと思います。授業を受けた生徒たちは緑地環境科に所属しており、普段は陸上の植物について考える機会が多いと思います。生徒自身には今の自分の専門性を高めてもらいながら、より大きな視点として「海」のことにもぜひ関心を高めてほしいと思います。
●内陸地域での子供たちでも海とのつながりを考えるきっかけに
お茶の水女子大学は海から離れた内陸地域の子供たちでも海とのつながりについて考えるきっかけを作ることができるよう、海洋教育カリキュラムや教材開発を進めたり、出前授業を行ったりしています。
過去の取り組みやプロジェクトの概要は以下のサイトもご覧ください。
https://sites.google.com/view/ocha-ocean