さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第61 回は、警視庁第十方面交通機動隊の本宮凌さん。車両重量約300kg の白バイや、交通パトカーを駆使し、日々交通の安全を守る本宮さんに迫ります。
長野県出身。専門学校在学中に白バイ隊員を志し、卒業後の平成24年4月1日、警視庁に入庁。その後、王子警察署に配置され交番勤務、交通執行係白バイ乗務員としての勤務を経て、交通機動隊に入隊。現在は、警視庁第十方面交通機動隊員として、日々パトロールなどに従事している。
◆取締りの専門部隊として交通事故を未然に防げることが魅力
仕事内容を教えてください。
白バイや交通パトカーに乗車して、交通違反の取締り業務に従事しています。警視庁は東京都を10 個の方面に分割しており、私の担当は第十方面ですので、そのエリアのパトロールをしています。取締り以外にも、交通事故が起きたり、信号が消えていたりという、交通上で起きる事案については、素早くその現場に向かって事案の対応をするというのも、仕事の一つです。
白バイの養成訓練ではどんなことを行うのですか?
最初は、エンジンを切った状態でバイクを押したり引いたりする“取り回し”から始まります。とにかく基本が大事なので、基本の訓練を密にやりましたね。また、運転はもちろんですが、交通法規などの座学も行いました。
警察官になるまでの経緯を教えてください。
私は高校卒業後は公務員の専門学校に通っており、その際にはすでに警察官を志望していました。何をやりたいというのは具体的に決まっていなかったのですが、ちょうどその頃に中学時代の後輩が交通事故で亡くなってしまって。身近なところでも交通事故は起きてしまうんだということをその時に感じたんです。そこで、事故抑止に貢献したいと思うようになり、白バイ隊員を目指そうと決意しました。そこから、専門学校在学中に警察官の採用試験を受け、卒業と同時に警視庁に入庁しました。まずは全員が警察学校に入るのですが、そこで10 ヶ月警察官の基本を学び、王子警察署に配置され、最初は交番で勤務しました。その後、白バイ訓練所での養成講習を終了し、交通執行係という部署で警察署の白バイ乗務員として従事し、現在の交通機動隊へ異動となり今に至ります。
お仕事をしている中で、印象に残っている出来事があれば教えてください。
取締りで白バイに止められると、嫌な思いをされる方が大半だと思うんです。しかしそんな中でも、「事故を起こす前にお巡りさんに止めてもらえてよかったです」と言ってもらえることがあって。そういう時は、白バイに乗っていてよかったなと思います。あとは、無免許運転だったり、重大な交通事故に繋がるような事例を検挙した際は、未然に事故を防ぐことができてよかったなと感じますね。
仕事をする上で持たれているポリシーはありますか?
まずは自分自身が事故の当事者にならないようにというのは、心掛けています。あとは取締りをする中で違反者の方と接する際に、今後事故を起こさないようにしてもらうためにも丁寧な応対をするというのは、意識していますね。
本宮さんが思う、交通機動隊という職業の魅力を教えてください。
やはり取締りの専門部隊として、白バイや交通パトカーを駆使し、さまざまな交通違反や交通事故を未然に防ぐことができるというのは、この職業の魅力だと思います。
仕事をする中でのやりがいを教えてください。
先ほどのお話にもありましたが、やはり取り締まりをした時に「お巡りさんのおかげで、事故を防ぐことができてよかったです」と違反者の方に言ってもらえた時にはやりがいを感じます。あとは白バイって走っていると結構目立つので、白バイを見たお子さんとかに手を振ってもらう機会も多くて。そういったことは自分の励みになっていますね。
交通機動隊にはどんな人が向いていますか?
単純に車やバイクなどの乗り物が好きな人は良いと思います。ただ車やバイクなどの乗り物は便利でありますが、事故がよく起きるものでもあるので、そういった事故を未然に防ぎたいという想いがある人は、交通機動隊に向いていると思います。
高校生にメッセージをお願いします。
高校生の中には自転車などを使う方もいると思うのですが、交通事故は自分が当事者になる可能性もあります。自転車で事故を起こして人が亡くなられることも実際にあるので、交通事故を他人事と思わず、日々、交通安全に目を向けていただけたら幸いです。
お仕事言葉辞典 警察官(交通機動隊)編
【慣熟走行】 かんじゅくそうこう
白バイ隊員がパトロールに出る際、自身の身体と、バイクのエンジンやタイヤを温めるために行う走行。また慣熟走行を行うことによって、その日のバイクの状態や隊員自身の体調を確かめ、安全を確保した状態で勤務にあたることができる。
お仕事道具見せてください!
白バイ、グローブ、 ヘルメット
取締りに必要となる、さまざまな装備品を積んだ白バイの重さは約300kg。簡単な整備などは乗務員自身で行い、メンテナンスも徹底され、バイクの安全もしっかりと確保した上で業務にあたります。