全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第44回は、千葉県にある麗澤中学・高等学校のSDGs研究会。中・高70名ほどで構成されるSDGs研究会の中から、フェアトレードを軸に活動する3チームのリーダー、さらに顧問の瀧村先生にインタビューを実施しました。
― 活動内容を教えてください。
出店販売や、ドリップバッグの製作は引き続きやりつつ、今年度からは私がやりたいと思った“ウェルフェアトレード”というものを追加しました。“ウェルフェアトレード”とは、フェアトレードに福祉の視点を入れたもので、ドリップバッグ1つの販売につき10円が、医療的ケア児という方々が暮らす『すくすくハウス』の建設費用になるという仕組みを作りました。さらに全ての人が平等に働ける社会の実現に向けて、ドリップバッグの袋詰めの作業を委託したりと、就労支援ができる仕組みについても組み込んでいます。
― 活動へのモチベーションを教えてください。
“フェアトレード”という言葉がある以上、アンフェアな取引がされているという事実が裏にはあるので、将来的に“フェアトレード”という言葉が必要のない世界が訪れれば、やってきた意味があるのかなと思っています。去年、私たちの活動が東ティモールの在日大使の方に伝わって、来校してくださったんです。その時にいろいろなお話ができて、「やってきたことは間違っていなかったんだな」と思うことができ、今はそれが活動を続ける上でのモチベーションになっています。
― 活動を通じて学んだことを教えてください。
自分が“やってみたい”と思ったことを、周りの友達や先生に話してみることがすごく大事だなと感じることができました。やりたいと思っていることを周りの人に言うのって結構恥ずかしくて、言えないことも多いと思うんです。ですが、このSDGs研究会では、やってみたいと思ったことを発言すると、みんながすごく力を貸してくれるということに気づいて。そこからは自分が興味を持っていることや自分の夢を積極的に言葉にして、叶えたいことに少しでも近づけるようにしています。
― 活動内容を教えてください。
紅茶はそもそも商品を作るところから始めたのですが、たまたま柏市に環境への配慮と、ネパールへの社会的問題に対処されている紅茶専門店があり、そのお店と協働して商品を作りたいということで4月にプレゼンをしました。そこからは賛同してくれた部員と一緒に商品の開発を進めていき、8月の後半から販売を開始しています。
― SDGs研究会に入ったきっかけを教えてください。
小学4年生から中学1年生までイギリスにいて、いろいろな国の人と話していく中で、植民地政策だったりイギリスの負の面も知って。そういったことで困っている人たちに対して自分も何かできることがあるのではと思い、中学3年生の時にSDGs研究会の存在を知り、入りました。
― 活動へのモチベーションを教えてください。
私の友達には、SDGsに対して胡散臭いものを感じる人たちもいて。私自身もSDGsで矛盾している点はあると思うし、まだ足りていないこともあると思うのですが、SDGsって環境以外でも意外と自分達の生活に密接に関わってくるんですよね。そういったことを、わかりやすく伝えられたらいいなと思っています。
― 今後の目標を教えてください。
実は、中学3年生まですごく無気力だったんです。周りの人の勉強のレベルの高さとかを見て、自分に自信がなくなってしまって。だけどこの部活に入って環境も変わり、意外とみんな何事もポジティブに捉えているんだなと知りました。そこからは自分も良い意味で根拠のない自信を持っていいんだと思い、勉強も部活も割と上手くいくようになったんです。今後も、何事もポジティブに捉えて、苦しい状況に直面したとしても自分ができることから、積極的にやっていけたらいいなと思っています。
― 活動内容を教えてください。
私はフェアトレードコーヒーを使ったジェラートを作りました。協力してくださるお店を探していた時に、柏市にある『fa・a~i』というイタリアンジェラートの製造販売を行っている会社を見つけて。ホームページを見ていた時に、オーダーメイドでジェラートを作ってくれるというのを知ったので、直接お願いをしに行き、製造を進め、11月くらいに商品が完成しました。ただ、ジェラートは衛生上の問題で生徒だけで出店することができないので、委託販売という形で販売をさせていただいています。今は、市内で3店舗取り扱っていただいていて、その他に2つのスーパーとお話をさせていただいています。話し合いが進み次第、取り扱ってもらう予定です。
― 活動を通じて学んだことを教えてください。
私は自分が思っていることや考えていることを、具体的に表現することが大事だなと思いました。私たちが作ったジェラートは委託販売という形をとっているので、初対面の大人の方とお話をさせていただく機会が多くて。その時に自分が今何を考えてどんな行動をしているのかということを、一からちゃんと説明しないとわかってもらえないんですよね。そういう経験をすることで、自分が思っていることを説明する力がついたと思います。
― 今後の目標を教えてください。
これは企画の目標の話ですが、まだ商品が完成したばかりなので、委託販売先が本当に少なくて……。私の企画の目標である“広める”ということができる状況ではないので、どんどん販売先を増やしていきたいなと思います。あと、ジェラートは私たちだけでは出店ができないので、協力してくれるお店を探して出店を実現させ、さらに広めることができたらいいなと思っています。
“できるかできないか”で判断しないということですね。世の中で成功している人って、人よりもたまたま最初の一歩が早いだけなんですよ。10代の高校生たちはスキルはないですが、無限の可能性があります。“やりたい”という気持ちがある子は、この研究会での活動を通じて「やってみたらできた」とか、「失敗することって悪いことじゃないんだ」と感じてくれたらいいなと思っています。私は、“教育とは安全に失敗できる場所”という定義づけをしています。失敗したところからまた這い上がれるという意識を、生徒にはつけてほしいです。
麗澤中学・高等学校 SDGs研究会
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千葉県柏市にある私立高校。「言語技術教育」、「英語教育」、「自分(ゆめ)プロジェクト」などに力を注いでおり、地球規模のフィールドで物事を考え、様々な問題・課題を自ら見出し、周囲と協力しながら解決していける人材を育成しています。約41万平方メートルという広大な敷地には、校舎をはじめ、2つの体育館、広場やラグビー場、ゴルフ場などもあり、豊かな自然のなかで伸び伸びと学ぶことができます。