YTJが注目するアスリートに迫る「YTJ Pick up Athlete」。今回は、数々の世界大会のジュニアタイトルを獲得し、オリンピックメダル候補としても注目を集める、プロサーファーの前田マヒナさんに迫ります。
アメリカ・ハワイ出身。1998年2月15日生まれの21歳。16歳の時に、ISAワールドサーフィンゲームス、World Surf Leagueのジュニアタイトルを獲得。2019年サーフィン強化指定選手にも選ばれ、東京オリンピックのメダル候補として注目を集めている。
―サーフィンを始めたキッカケを教えてください。
4歳からお父さんと一緒に、同じボードに乗ってサーフィンをする“タンデムサーフィン”をしていたので、小さい頃からサーフィンに触れる機会がありました。それからずっとサーフィンはしていて、12歳の時にISA(国際サーフィン連盟)のアンダー18に選ばれたんです。当時はアンダー18の中で最年少だったのですが、その時にプロとして頑張っていきたいと考えるようになりました。
―プロサーファーの定義を教えてください。
日本はJPSA(日本プロサーフィン連盟)に登録されるとプロになりますが、アメリカでは報酬を貰い始めたら、その時点でプロという扱いになります。だからプロサーファーの人数は結構多いんです。例えば野球とかだとマイナーリーグとメジャーリーグがあったりすると思うんですけど、サーフィンはそこが結構ぼんやりとしていて。上手ければプロっていう感じです(笑)。
―高校生活とサーフィンの両立はいかがでしたか?
サーフィンでいろいろなところに行っていたので、学校に通えない時もあったり、両立することは大変でした。最後の方ではオンラインスクールに通って、1年早く高校を卒業したりと、やっぱりサーフィンが中心の高校生活でしたね。
―メンタル面で常に心掛けていることはありますか?
サーフィンは勝者が1人しかいないので、負ける確率が高いんです。前は負けた瞬間に怒ったり、誰かのせいにして悔しさを発散させていました。だけどそういった精神面を鍛えないといけないと思ったので、最近は周りの声は気にせず、その時の状況を冷静に判断するようにしています。
―どのように精神面を強くしていったのですか?
実は3年前くらいから2年間スランプがあって。サーフィンってお金がかかるスポーツなんですけど、アメリカだとサポートを受けられる選手は少ないのです。当時、私はワールドタイトルを3個獲っていたんですけど、それでもお金がなくて。スポンサードも受ける事が出来ず、精神的に友達から正しいアドバイスを受けても、上手く聞き入れられないような状態でした。そんな時にメンターがとあるポッドキャストを聴かせてくれたんです。そのポッドキャストで、“未来のことを考えすぎてエナジーを使い切ってしまうのは良くない。それならば今できること、やるべきことに集中した方が良い”という話を聞いて。そのポッドキャストがキッカケで自分の考えを改めることができました。あとはサーフィンのことだけを考えていると頭がフリーズしてしまうので、柔軟な考え方をしていこうと思って。だからハワイに戻る時は友達と遊んで、サーフィンだけに熱中しないように休憩時間をしっかりと作りました。そうしたらオンオフの切り替え方が分かってきて、サーフィンを楽しく感じることができるようになりました。
―体力面ではどういったトレーニングをされていますか?
ヨガと柔術が混ざったトレーニングをしています。2年間のスランプの時に、インストラクターになりたいという気持ちが自分の中で出てきて。先生になってもっと若い世代に教えたり、いろいろな人に恩返しと言う形で教えたりしたいなと思ったんです。だからトレーナーにきっちりと教わって、スランプの2年間はインストラクターをやっていました。トレーニングってルーティーンで“次はこれ、次はこれ”というように決まっている場合が多いと思うんですけど、私のトレーナーは違っていて、次の指示もなく常に考えながらトレーニングをするように言われていました。汗もかくし、動物みたいな動きをするトレーニングなので、周りからは変な目で見られるんですけど面白かったです(笑)。
―毎日やっている日課などはありますか?
大会の日には場所ごとに毎回同じ朝ご飯を食べる。場所によって違うんですけど、オーストラリアならヨーグルト、日本なら卵かけごはんとかそういう感じです(笑)。それが崩れると緊張しちゃいます。さっきも言った通り、サーフィンのことにずっとフォーカスしていたら良くないので、同じ朝ご飯を食べていたら自分の気持ちをそっちにフォーカスできるんですよね。
―最後に今後の目標を教えてください。
WQS(Women’s Qualifying Series)には入っているのでWCT(Women’s Championship Tour)に入ってオリンピックに出ることです。WQSで戦うことが出来ていますが、女子はそこからトップ6に入らないとWCTには入れないので。今はそこを目指し、オリンピックに選ばれる選手になりたいと思っています。
※ポッドキャスト
インターネット上で音声や動画のデータファイルを公開する方法の一つ。インターネットラジオ・インターネットテレビの一種。