慶応義塾大学大学院生の献鹿狸太朗(けんしかまみたろう)による小説『赤泥棒』 がSNSで話題となり、発売後即重版となった。三ヶ嶋犬太朗(みかしまけんたろう)のペンネームで漫画『踊るリスポーン』(ヤンマガWeb連載)を執筆していた著者にとって、『赤泥棒』は初の短編小説集。
町田康氏が審査員を務めた文藝賞の最終選考にいきなり残り、注目を集めていた著者の鮮烈デビューとなった。
言葉に幅があり、しかもそれが的確に使用されている。辛辣な個性とその周囲を無情に描いていてよい。――町田康(文藝賞選評より)
あらすじ
「捨てられたものを拾うのは泥棒ではない」と嘯き、女装をして女子トイレに侵入し、捨てられた生理用ナプキンを盗む百枝菊人。女装がバレたら心の性別をたてに被害者ぶろうと思っていたところ、同じ学校の明石睦美に目撃される。彼女は百枝が自分と同じく、性別に違和感を抱いていると思い急速に接近してきた。無理解と偏見がマイノリティを利用し、共感と愛情が暴力を肯定する……。表題作「赤泥棒」に加え、文藝賞最終候補に選ばれた「青辛く笑えよ」、「普通」を唾棄する高校生が才能の塊と出会い自我を崩壊させる「奇食のダボハゼ」をおさめた短編集。
書名:『赤泥棒』
著者:献鹿 狸太朗
定価:1980円(税込)
ISBN:978-4-06-531010-6